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裁きの王城帰還

創国祭の日、王城の大広間は以前よりもずっと明るく、そして醜く見えた。


私はルシアン公爵の隣で階段を上がる。新しく仕立てた深緑のドレスは辺境の色だ。逃げ場を捨てるために選んだ。


貴族たちのざわめきは相変わらずだったが、前回とは違う。今の私は切り捨てられる令嬢ではなく、証拠を持って戻った公爵夫人だ。


アルベルト殿下は私を見るなり、作り笑いを浮かべた。


「久しいな、エレノア。まだ感情的になっているなら、今日は大人しくしていた方が」


「ご心配なく。今日は数字だけを話します」


その言葉に、彼の口元が引きつった。


少し離れた場所で、セシルが相変わらず聖女の微笑みを振りまいている。けれど私には分かる。彼女の胸元の宝石箱から、辺境の救済印と同じ光が漏れていた。


開会前、アルベルト殿下が人払いをして私へ近づいてきた。


「今ならまだ戻れる」


何を言い出すのかと思えば、彼は当然のように続けた。


「公爵との話はなかったことにする。君が私の婚約者へ戻るなら、横領の件も不問にしてやる」


あまりにも都合がよくて、逆に感心した。


「殿下」


私は静かに答える。


「私が欲しかったのは地位ではなく、信用です」


「私は王子だぞ」


「ええ。だからこそ、信用を失ったんです」


彼が怒鳴る前に、ルシアン公爵が私の前へ一歩出た。


「これ以上、私の妻へ私的な接触をしないでいただきたい」


“私の妻”という言葉が、大広間のざわめきよりはっきり胸に落ちる。


もう十分だ。今日で終わらせる。


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