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個営小隊-ランペイジ  作者: カイガラ商店
一章 合流
3/12

1-3、会敵

異能バトル書こうと思っているのに書く気が起きない…

なら方向転換すればいいじゃない!と言うわけで次回から(更に)自由に書きます。

誤字脱字は脳内保管で。

私は悪魔だ。正確にはアークデーモンという悪魔の中の下位種だ。名前はない。

私たちの種族の住む魔界には名前なんて貴族専用の物だし、それを与えられるような例外的な強さを持っている訳でも無い。

私は魔界どころか、悪魔の種族の中でもかなり弱い部類に入る。

ただ、現世を支配している人間という種族相手なら楽勝だ。あいつらは魔力も身体能力も、私にはどうあがいても届かない。使える魔法だって桁違いの威力を持っている。

恐れるべきなのは科学の兵器、特に昔見た大砲という物は要注意だ。あれほど貫通力に特化した物を作れるのだろうか。しかし、それも見つからなければどうとでもなる。

私が現世に来たわけは、魔力を強化するためだ。人間の魔力は特徴的で、その魔力は成長する。数百年に一人ぐらいは弱肉強食の魔界を支配できる魔力を持つ人間も生まれる。我々魔界の住人は魔力が成長しない代わりに、平均的に高い魔力を持っている。

魔力は体内の核となる場所に蓄えられる。悪魔なら角で人間なら心臓

しかし、それでも優劣はつき、私のように弱い者は力を求めて、人を食べる。魔力の成長の理屈は知らないが、確かに人を力は増した。


「でも……割に合わない。」


バレないように人をさらい、まずい心臓を我慢して食べる。その苦労の割には魔力の成長は微々たるものだ。

なら、一人の人間から大量に魔力を採れるようにしよう。

人間を植物に変化させ、魔力を心臓ではなく実に着けさせよう。書籍によると魔力の籠もった実の魔力の成長率は誤差程度だ。でも、総計で考えれば効率も量も十倍はいくだろう。

場所は人が寄りつかないところにしよう。田舎の森なんかちょうどいい。

周りの植生にあわせて人間はリンゴの木の形にさせよう。たとえ見つかっても実を採られるだけだ。

さらう人間は面倒だけど、遠くの都会からにしよう。田舎だと人数の減少がすぐにバレてしまう。

長い時間をかけて、ゆっくり、ゆっくり、魔力を成長させよう。私の時間はとても長い。人間の一生なんて私からすれば蝉の成虫と同じような物だ。

そうだな、とりあえず五百年は続けてみるか。

さすがに飽きるから、リンゴ料理のレシピ集めておこう。




なんなんだこいつら。

飛鳥の国の戦闘種族、鬼。巨人、魔族と並び神に挑戦したことのある種族であり、生粋の戦闘種族だ。こいつが私より強いのは分かる。でも魔力を使わないただの跳躍で二千は飛んだぞ。そんなやつ魔界にもそうそう居ない。

そして、このガキ。この私を覆っている膜から感じる魔力、あり得ないほど強力だ。あの一瞬でこれほどの魔力を込めてさらに平然としているとは。


「黙れ!!それ以上本を馬鹿にすればお前でも許さないぞ!!」


気絶から目を覚ませば、なんだこれは。


「上等だごらぁ!!ナリスごときに負けるわけねえだろうが!!」


二人は、経緯は知らないが喧嘩を始めよとしている。それも、周りを顧みない災害のような喧嘩を。

鬼は刀を抜き、耀く刀身を抜く。ナリスと呼ばれたガキは着剣したアサルトライフルを召喚し構える。

二人から感じる魔力は膨れあがっていき、今にも殺し合いが始まりそうな空気を痛いほど震わせる。空気中に魔力が溢れ出し、再び意識がなくなりかける。

沈黙の衝突が続き、互いに戦いの構えを取る。


「はいそこまでー。血の気多すぎよ。」


その間に場違いな、津波に抗うミジンコのような少女が割って入る。

よく見ればさっき私を追ってきたニンジャだ。人にしては力を持っているが、あの二人の間に入れば文字通り消し飛ぶぞ。


「別にいいだろ!こいつぶん殴ってやるんだ!」


「水を指すな。」


「……ったくもー、返してもらうわよ。」


「あっ!何すん…だ………ふぇぁ~…」


鬼の手に触れたとたん、鬼は糸の切れた操り人形のように崩れ倒れた。

そしてあのニンジャが私を追いかけるときに足場にしていた雲を出し、それで鬼を包む。梱包材に包まれたような荷物が出来上がる。


「………ちっ、お預けか。」


「はいさっさと仕事しなさい!夕飯作ってあげないよ!」


「む、それならしょうが無いな……。追いそこの悪魔、お前のさらった奴を戻しな。」


今、これを手放したら今までの苦労が水の泡だ。町の人間に成りすましたり、会社を設立したり、ばれないようにあの手この手を尽くした。だからといって抵抗すれば、間違いなく死ぬだろう。戦闘種族の鬼、魔王以上の実力者、おまけ。私では何度奇跡を起こしたところで勝ち目はないだろう。

この四百年である程度力もつけられた。寿命も二倍以上伸びた。また一からやり直せばいいか。


「………あなたの魔力を、さっき私の場所をバラした木に流し込めば元に戻るわよ。」





ゲート、異世界から現世に移動することの出来る時空の割れ目。

自然の力により開く場合、意図的に開く場合、力の衝突による干渉により開く場合の三つの方法で開くことがある。

魔法が人間の世界に浸透するまでこのゲートによる被害が相次いでいた。自然に開いたゲートから出てきた魔界の住人による神隠し、疫病、災害など、当時の科学では証明できない事柄の半分以上がゲートによる物と考えていい。人を食う悪魔や、魂を集める邪神、現世に進行する種族。

しかし人類は戦う力を身につけた。

魔法という名の力を。一人の人間が見つけた法によって。

いつどこで誰が、何も知られていないがある時代を逆目にゲートの被害が著しく減少している。


「ゲートを人間が開くことは無い。」


凜とした、重圧を感じさせる声が辺りに響く。

私が魔界でも感じたことの無い、すり潰されそうな気配。目の前のナリスの魔力を軽くあしらうような絶大な魔力量。いや、私が感じ取れているのはほんの上澄みに過ぎないだろう。

圧倒的、それしか言葉で表すことができないだろう。

ナリスが臨戦態勢を構える。流れる魔力が活性化されていき、発せられる気配が強くなる。が、それすらもかき消さんとばかりの魔力量を持つ人間が、こっちに向かってやってくる。


「開くこと自体は簡単だ、魔力もそこまで使わないしな。しかし人間にはある魔道士がかけた呪いがある。」


森の奥から一人の陰が歩いてくる。


「……有名な童話だな。『罪深き救世主』という絵本で知られている。」


ゲートの向こうには人間の文明が求める物がほぼ無限に存在する。それを狙って人間はたくさんのゲートを開き、旅立った。しかし人間は非力で帰ってくる者はおらず、魔界の住人が流れ込んできた。

そこである魔道士がすべてのゲートを閉じ、人間達に『ゲートを開けば死ぬ』呪いをかけた。

人間は子孫に至るまで、呪いによる死を恐れ、ゲートを開く者は居なくなった。


「けど、赤髪のチビにはそれが見えねえんだよな。」


圧力、巨人に踏みつぶされていると思えるほどの殺気がその陰から浴びせられる。


「…これはまた、私と同レベルの者と会えるとは。」


「ナリス……私は逃げるわ。義輝かついで逃げるわ。」


森の奥から影はその姿を現す。

土色のコートが目を引くが、竜の尾のように纏められた、蠢くその髪から目が離せない。


「チビで悪かったな、あいにく私はこの世界の住人じゃ無かったんだよ。」


「…なるほど、まあ犯人がお前じゃ無いのはわかっていたさ。」


「ほう?私の魔力を感じ取れば「お前は血有魔法だけだろ?」


「…………何者だお前。」


「クレイスと呼びな、チビ。」


一触即発とはまさに今の状況だろう。命知らずどころか風も二人の間に入ることを拒むような、気迫と魔力、殺気のぶつかり合い。

おそらく二人とも現世で最強の二人。

クレイス、ナリス、二人の間には見えない力が衝突し合い、今にも戦端を切らんばかりだ。


「そこのアークデーモンをよこしな。俺に泥をつけたこと後悔させてやる。」


狙いは私。冗談はよしてくれ。私が何をしたというんだ。


「駄目だ。コイツは警察に引き渡して今月の食事の糧になってもらわないといけない。」


そんな理由で私を追っていたのか…


「ほう……」


クレイスの着ているコート、服の裾や長い髪が風で煽られているように、しかしゆっくりと揺れ始めた。白いオーブが幾つも空中に現れる。


「つまり、奪えばいいんだな?」


明確な攻撃の意思。ナリスは無言で、私の時と同じ魔弾を視界いっぱいに展開する。

さっきまで殺されるかと思った相手のことを応援することになるとは思わなかった。でもクレイスに私が捕まれば………想像したくない。


「斉射っ!!」「消し飛べ!!」


おそらく、この世界で最も危険な殺し合いが始まった。

二人は一歩も引かず、何度も衝突を繰り返す。

クレイスのまわりには出現していたオーブが、板のような形状を持ち、シールドとしてナリスの魔弾をはじく。その手には形を成さない光の輪がいくつも形成されている。

一方のナリスは無数の魔弾を絶え間なく、まるで軍隊が行うような濃密な弾幕を展開し、シールドを削ろうと攻撃の手を手緩めない。

距離を詰めようとしても圧倒的な手数で押し戻され、撃ち抜こうとすれば弾かれる。

クレイスのシールドが壊れればたちまち蜂の巣にされ、魔弾の手を緩めれば粉砕されるだろう。

手数で対応するナリス、一撃を狙うだろうクレイス。どちらも殺気をむき出しにして力を振るうことをやめようとしない。


「───」


クレイスの詠唱は異常に短く、聞き取ることか出来ない。しかしくりだされる魔法は超が付く上級魔法ばかりだ。しかもシールドを展開しながらの事だ。あんなの自転車に乗りながら逆立ちして料理をするような事だ。不可能と言った方がいい。機械か何かじゃないのか。

シールドの隙間から放たれる赤い球体、それが二人の中間に達した所で爆発した。青と赤の混同する爆炎が魔弾を飲み込む。それを幾千、幾万の魔弾がかき消していく。

このような均衡が瞬きを繰り返すたびに起こされている。あのナリス、私のスピードについてこれないとか言っていたくせに目で追えないスピードで動いているじゃないか。なんか恥ずかしくなってきたぞ私。

しかし、この世界の頂上決戦とも言えるのに、やけに静かだ。

拳が時空を歪め、銃身が大地を切り裂いたはずなのに、すぐ近くの木には小鳥が休んでいる。

いや、よく見れば周囲の木にも傷が無い。

しかしその中には魔弾が飛び交っている。消滅へと導く脅威が飛び交っている。


「うわー、初めて見た…魔力の相殺なんて実践で見られるものなのね。」


魔力の相殺、同じ量で同じ出力で、一切のずれが無い状況で魔力同士を衝突させることで起きる現象だったはず。

相殺された魔力は例え魔法として行使されていても一切この世界に干渉することは無い。

ただ実験施設でのみ確認されており、実用性は皆無と言われている。


「…どうしてお前がここに居る?」


「いや、この球体の中一番安全だし。」


「そうではなくて……」


「私、こう見えてもあの化け物の仲間よ。なめてもらったら困るわね。」


仲間だったら化け物呼ばわりしないだろ。…いや、こいつさっきから精気を感じない。あながち冗談ではないかもな。


「しゃらくせぇ!!」


「っちぃ!お前は戦車か何か!!」


どちらも一歩も引かずにインファイトを続けている。

私が言うのも何だが、捕まれば何をされるかわからないクレイスに捕まるよりナリスに捕まえられた方がましだと思う。多分。

と言うわけでナリスを応援していたわけだが、徐々に押され始めていた。クレイスが一度距離を取ったかと思えば、ファランクスのようにシールドを前方に集中させ、音を超えて突撃してきた。

あっと言う間にナリスに掴みかかれる距離に接近し、有利に戦況を展開している。

元々手数で圧倒していたが、正面から弾幕を突破されてはその利点も生かせないらしい。

魔力で強化された体は、例え被弾しても魔力の相殺を起こし、ダメージを与えることが出来ない。

ナリスの攻撃手段は魔弾のみであり、近接戦闘を展開しているクレイスに押され始めたのだ。


「──空は好きか?」


「っなぁ?!」


ナリスに生まれた一瞬の隙、詰め寄られバックステップをした瞬間のことだ。

タックルのように飛び込み、ナリスの腹に抱きついたと思えば、何かの魔法で打ち上げた。


(無詠唱?!まさかあいつ…!)


「──その力我に有り、我は王なり、故に覇者である、永劫の定め、道を開け」


大地の理、クレイスが唱えたのは覇王道と呼ばれる「神言」の一つ……この世で扱える者が存在していた魔法だ。

単純ながら、要求される魔力量がケタ違いであるがゆえに使用できない強力な魔法。


「──カンクロッサ」


生み出された大剣、それは形を定めずただただそのときを待っている。

クレイスはそれを振りかぶり、振り下ろした。

ナリスは咄嗟に防壁を展開した。即席とはいえ、魔力の凝縮具合を見る限り私が一生かかっても破壊できないであろう強度を持つ防壁だ。が、バターのように侵食され、その体の肩から腹に赤い線を走らせる。


「無駄だ、そんなもの関係ない。」


(クレセント……まさか……)


音も無くナリスは落ちてくる。


「こいつは目標だけを斬る事ができる。まあ、お前の防壁もよかったよ。」


(あり得る……あの力…)


赤い線から、真っ赤な花が花を開かせる。


「俺の勝ちだな、ナリスちゃん。」


真っ赤な花は花びらとなり、空を、地面を赤く染め上げた。

頬に伝う赤い血を舐めるその姿は、私より悪魔らしかった。


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