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浄弓の巫女サクヤ 〜里の因習なんて無理なので御神力を使って鬼を倒しに行きます〜  作者: 一角獣
第2部 進化〜進撃の巫女姫〜

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迦具夜竹の弓

おはようございます

書き留めていたものが一部消えてしまっていたので、更新が遅くなりました。

 社に戻ったサクヤ達は、宮司のもとへ行き報告を行った。


「若かい者たちの成長を実感しました。私などおらずとも、しっかりやっています。」

「うむ。だが、お目付け役がおらねば、誰がサクヤを止めるのだ?」

「私がおったところで、サクヤを止めるのは無理だということも実感できました。」


 藤十郎は遠い目をして答える。


「ま、またサクヤが何かやらかしたのか?」

「いや、穏便に済ますことができることも判ったのですが、多分にサクヤの機嫌に左右されるうえ、止めるすべがないのです。日輪宮の宮司を懐柔したかと思えば、国守にはとりつく島もない対応で。将軍とは上手くやっていましたな。」

「まさか、国守が亡くなったのは、サクヤが…。」

「違います!私ではありません。」

「私ではない…。なぜそのような意味深な言い方になるのだ?」

「国守は疫病で亡くなった。それ以上でも以下でもないということです。」

「うむ…、この件は深く関わらぬ方がよいみたいだな。」

「あと、龍神の社の宮司の娘にいたく気に入られたようで、こちらに留学したいと申しておりました。」

「龍神の社の…、サクヤは相変わらず女子にモテるのだな…。」

「…。」


「そうだ、サクヤ。其方の弓が組み上がったと知らせてきた。調整の為にも一度見て欲しいとのことだ。」

「分かりました。今から行きます。」

「いや、今からでなくとも。流石に疲れただろう?」

「いえ、問題ありません。寧ろ早く見てみたいです。」

「ならば行ってくるがいい。」

「では失礼します。」

「私達も失礼します。」


 サクヤに着いて千代、小平太も部屋を出た。



「宮司、冗談抜きで、私の役目は終わったように思います。」

「何を言うのだ、藤十郎。」

「今回の国府への帯同でよく分かりました。サクヤの判断は結果として間違っていません。我々がついていけないだけです。国守は我々から見ても愚かな男でしたが、結果として命を狙われることになっても、何とかできると思ったからあの対応だったのでしょう。」

「い、命を狙われた!?」


 藤十郎は経緯を説明する。


「国守を脅して撤回させるとは…。」

「サクヤの人を見る目は確かです。恐らくですが、サクヤは穢れや邪心が見えるといいますから、邪な心を読み取り判断材料にしているのかと思います。」

「いや、私も穢れや邪心は見えても、その心根などまでは読めぬぞ…。」

「そこがサクヤの凄いところでしょう。」


 それまで黙っていた藤馬が口を開く。

 藤馬は宮司藤三郎の長男で、25歳になる優しげな顔の男だ。普段から控え目で目立たないが、禊祓の腕も確かだ。


「私から見ても、サクヤ殿の御力は桁外れです。一度にあれだけの人数の禊祓をやってのけ、それを酒を飲むだけで、1日に何回も熟すのです。また、あの強さに薬の効力。小平太でなくとも妖かと思わせるほどです。」

「うむ。私はもうそれについて考えるのをやめることにした。」

「へっ?ち、父上?」

「考えたところで解決することなどないではないか。ならば心労の種になることなど考えるだけ無駄だ。」

「そ、そうですか。」


 藤馬があっけにとられていると、弥九郎が口を開いた。


「宮司、私はやはり弓頭を辞めようと思います。もはや、一緒に戦っても私が指揮をとることなどありません。頭である必要がないではないですか。」

「ま、待て。それは困る!それでは誰がサクヤを止めるのだ?」

「止めずともいいのでは?判断を誤ったことなどないではないですか。」


 弥九郎の言葉に宮司は返す言葉が出てこない。


「私が見るに、サクヤ殿はもはや弓寮の枠を超えているのではないでしょうか?外部との交渉から医療、禊祓まで熟す山兵など聞いたこともありません。」

「藤馬?な、何を言い出すのだ?」

「いっそ、山兵の別働隊というか、何か別の組織を任せてはどうでしょうか?事実、そうなっているわけですし。弓寮の頭である弥九郎殿が手に負えないと思うのは、そのせいもあると思うのです。」

「確かに。弓寮どころか、山兵の枠も超えているな…。」


 藤十郎も同意する。


「…そうだな。それは一考の価値があるかもしれん。検討してみよう。その時は藤十郎、其方に顧問をやってもらうぞ。」

「…まだ解放して貰えませぬか?」

「弥九郎は弓寮の頭だしな。其方しか適任者がおらぬ。」

「…わかりました…。」


 弥九郎は微妙な顔になったが、どこか肩の荷が下りたような気分だった。





「お、サクヤ殿。帰られたか。」

「ご無沙汰です、親方。弓が組み上がったとか。」

「形にはなった。取り敢えず見てくれるか?」

「勿論です。」


 サクヤは弓を手に取る。

 弓の長さは従来と変わらない短弓で、強さを増すためか、やや全体的に太くなった。

 サクヤは軽く弦を引くが、それだけで張りが強くなったのが判る。


「試してみてよいですか?」

「勿論。裏に行こう。」


 裏の的場に行き、用意されていた矢を番えた。


(やや張りが強いな。連射するには少し難しいか…?)


 サクヤは迷う事なく矢を放つ。

 矢は的の中心に刺さる。いや、刺さるのではなく貫いた。


「凄いな…。特に御力を籠めていないのだが、この威力か。」

「ははは、凄まじいですな…。」

「千代、試してみろ。」


 サクヤは千代に弓を渡す。自分が無意識に御力を籠めていたかも知れないので、千代に試してみて欲しかったのだ。


「サクヤ様、これを引いたのですか?」

「どうした?」

「いえ、このような剛弓、私の力ではとても引けません。」

「単純な腕力は、私も千代も大差ないだろう?」

「サクヤ様、もしかして筋力強化の御力を使っているのですか?」

「えっ!?いや、そんなつもりはないのだが…。そうなのだろうか?」


 サクヤはもう一度弓をとり矢を番える。


(完全に御力を絶って…。)


 サクヤは意識して御力を封じ込める。

 改めて引くが、殆ど引けない。

 サクヤは自分の御力の使い方の非常識さに愕然とした。


「…まったく無意識だった…。」

「やはりそうですか…。いったいどれだけの御力を使いこなしているのですか?」

「…判らん。まったく意識してなかった…。」

「多分、他にもそんなところがあるのでしょうね。やはり規格外です。」

「千代まで私を妖扱いする…。」

「いえ、そんなつもりはございません!サクヤ様は神様に愛されてらっしゃるだけです。」

「そうなのだろうか…。」


(…懐かれてはいるけど…。)





 その後もサクヤは何度も矢を放ち、細かい改善点を親方に伝えた。


「この程度の調整なら3日もあればできる。また来て頂けるか。」

「分かりました。」



 こうして弓の調整を終えたサクヤは、ようやく自宅に帰った。


「母様、ただいま帰りました。」

「お帰り。お腹空いてない?」

「うん。あ、薬ありがとう。急だったのに大変じゃなかった?」

「貴方が大量に作り置きしてたのを渡しただけだからね。なんてことないわ。薬草園の方も問題はないけど、次行ったときに御力を籠めておいて。」

「分かった。」

「で、国府はどうだった?」


 サクヤは『簡単』に説明する。


「まぁ、どうせ端折ってるんでしょうけど、無事に帰って来たのならいいわ。明日からはどうするの?休暇?」

「そう言えば特に聞いてないから、普通に行く。」

「そう。大変ねぇ。」


 サクヤはコノハに今まで敢えて聞いて来なかったことを聞くことにした。自分の御力の謎を解くには、どうしても必要だと思ったからだ。


「ねぇ母様、ソロソロ私の父様について教えてくれない?自分の御力について判らないことが多くて。最近は周りも変な目で見るんだよ。」


(とうとう来たかぁ〜。どの道時間の問題よね。もしかしたら彦次郎様もサクヤの存在に気がついているかもしれないし…。)


 少し考え込んだ後、コノハは決意を固めた。


「そうね、そう言う時期よね。」

「正直父上が誰でもいいんだけど、御力については知っておかないと困ると思うの。」

「うん。そうよね。わかったわ。」


次回、サクヤの出自です


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