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浄弓の巫女サクヤ 〜里の因習なんて無理なので御神力を使って鬼を倒しに行きます〜  作者: 一角獣
第2部 進化〜進撃の巫女姫〜

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鬼狩り

おはようございます。

結局朝投稿に落ち着きそうです。


 ここ最近、造作部は忙しい。その中の破魔寮は更に忙しい。破魔寮の頭新七は、コノハが開発した御力回復薬の使い過ぎで中毒症状が出たため、現在休職中である。そのせいで、破魔寮で最も力量がある伊都が頭代理を務めていた。


「いくら何でも、この量は無理です、安澄ちゃん。販促寮は飛ぶように売れて、嬉しい悲鳴でしょうけど、こっちは本当に悲鳴をあげてるの。」

「そうかぁ。頭も倒れてるし、受注を停止するしかないかもねぇ。」

「そうしてください。私もソロソロ限界です。」


 伊都がこんなにも大変なのは、最近鬼の出没が増え、鬼狩り達からの破魔の矢の注文が殺到しているからである。


「そうだ。サクヤに相談してみようか。サクヤなら力量があり余ってそうじゃない?」

「あり余ってるかなぁ…。でも、サクヤさんならそうかも…。」

「よし、私が聞いてみてあげるよ。」


 そう言って安澄は破魔寮を飛び出した。


(大丈夫かなぁ?それより、受注停止してくれるのかなぁ?)



 翌日、安澄がサクヤを連れて、破魔寮にやってきた。最初嫌がっていたサクヤだが、今は新七が休職中と聞いて、快く来てくれた。


「はい、これ。」

「えっ?何?」


 サクヤは徐に布袋を伊都に渡す。


「重っ!何が入ってるのこれ?」

「鏃だ。色んな種類が混ざっているが、どれにも御力が籠めてある。正直、処分に困ってたから助かる。」


 サクヤは、今でも寝る前にギリギリまで力量を減らすようにしている。未だに空を飛ぶという目標を捨てていないのだ。

 最近は、5秒程度は浮けるようになってきた。それでは何の役にも立たないが、跳躍距離を伸ばしたり、高いところから飛び降りた際、着地の瞬間に使うことで衝撃をなくしたり、意外と便利だと思っている。

 そんなわけで、サクヤは鏃に御力を籠めまくっている。自分でも使うのだが、流石に消費量と矢の製作が追いつかない。

 そもそも、サクヤの矢の消費量は少ない。まず外すことがないうえ、ほぼ一撃で倒すことができるからだ。練習や狩りに御力を籠めた矢は使わないので、全然消費できていないのだ。


「恐ろしい量を持ってきてるけど、サクヤ曰く、これでも半分くらいだって。」

「いや…、流石にこの量は、私でも10年はかかるわ…。でも、サクヤさん、ありがとうございます。これで製作が捗ります。」


(よく考えると、やる度に力量は増えるのだから、毎日やっていれば、1日に籠めれる量も増えるのか。なら、5年くらいでできるかも。)



「邪魔するぜ。なんだ、あるじゃねぇか。これ、貰ってくぜ。」

「ちょっと待ちなさい!誰ですか貴方は!ここの矢は販売先が決まっています。勝手に持っていかれては困ります。」

「あぁ?俺だって破魔の矢50本注文してんだ。お前等がいつまでたっても寄越さねぇから、態々取りにきてやったんだ。こうしている間にも、鬼は人を襲うんだぞ。」

「販売しないとは言っていません。ですが、順番があります。」

「俺より弱い鬼狩りに売ったって無駄になるだけだ。俺なら有効に使ってやる。そもそも、鬼を倒す為の矢を、こんな高額で売ってるのが気に入らねぇ。人の命も金次第だっていうのか?」

「破魔の矢は、希少な材料に、我々が御力を籠めて作る為、数が作れません。単純に材料費だけでも、それ相応の価格になります。」

「ふんっ、偉そうなこと言って、結局金が欲しいだけだろ。」


「おい、お前。矢が50本いると言っていたな。その50本で何体の鬼を倒すつもりだ?」

「あぁ?そんなこと分かるか!外れることもあれば、一本で倒せないこともある。精々20匹倒せれば上出来だろう。だから数がいるんだ。四の五の言ってないで、早く寄越せ。」

「効率が悪過ぎるな。矢が50本もあれば、最低でも40体は倒して欲しいところだな。」

「あぁん?!お前は馬鹿か?そんな神業みたいなこと、できる奴がいるわけねぇだろ!」


((いるのよねぇ、ここに…。))


「なんだ、鬼狩りというのはその程度か。もう少し期待していたんだが…。」

「てめぇ、喧嘩売ってんのか?」

「いくらで買う?いくらでも売ってやるぞ。あぁ、そうだな。一緒に鬼狩りに行き、同じ数の矢でどちらが多く鬼を倒せるか、勝負してみるか?」

「やはり馬鹿か?鬼狩りは基本組織戦だ。最低でも前衛と後援の2人はいる。矢の数だけで決まるものじゃねぇ。まぁ、中には近接戦専門の一匹狼もいるが、俺は弓使いだ。前衛抜きで戦うなんてありえねぇ。」

「両方やればいいだけだろう。自分が近接戦に弱いのを常識のせいにするな。まぁいい。では此方も前衛を一人用意…、いや面倒だ。一対二でいい。」

「とことん人を馬鹿にしやがって…。よし、いいだろう。だが、もしてめぇが負けたら、俺の女になってもらうからな!」

「いいだろう。私に勝てる男がいるのなら、望む所だ。では、お互い10本ずつでいいか?今、何処に鬼がでるのだ?流石に頭に一言伝えておかないと、後が面倒だろうしな。」

「此処から北に1日歩いたところにある里が鬼に占拠されている。10匹以上いるらしいから、もう少し戦力がいるぞ。せめて前衛は連れてこい。俺が勝ったときに言い訳にされるのもつまらんからな。」

「そうか。じゃあ念のために後詰を連れて行こう。2小隊もあれば充分だろ。」

「てか、お前。そんな権限があるのか?」

「私は弓寮の隊長格だ。問題ない。」

「え?!隊長格?お前まだ10代だろ?」

「14だが、どうかしたか?」

「14!?まだ餓鬼じゃねぇか!大人びて見えるから、10代後半くらいかと思ったが…。そんなの俺の女にしても、俺は変態扱いだ!どうなってる、この里は?そんなに人がいないのか?」

「サクヤはこの里で1番強いと思いますよ。この間も熊の妖魔と武士団を1人で倒したらしいですから。」

「はぁ?あの噂になった妖魔か?確かにこの里の山兵が一人で倒したとは噂に聞いたが、お前?冗談だろ?」

「さっきからお前は失礼なことばかり言いやがって。そんなことはどうでもいいから、早く出立するぞ。」

「馬鹿言え!鬼の占拠した里を制圧するんだぞ。何日かかると思ってるんだ!それなりの準備がいるんだよ!」

「たかが十数体の鬼なら、半刻もかからんだろ?必要な物はこちらで用意してやる。昼餉後に出発だ。仲間も集めてこい。宿場町で集合だ。矢はその時渡してやる。特別に今回は無償で提供してやろう。」


 鬼狩りの男は、追い払われるように出ていった。


「サクヤ、大丈夫なの?頭に叱られない?」

「どちらにしても放置できる話ではないしな。里が全滅してるから、依頼がないだけで、このままでは他の町にも被害がでる。鬼狩りは戦力の足しだと思えば、こちらの負担も減るし、いくらか役に立つだろう。」

「うわぁ…。考え方がえげつないわ。でも、負けたらアイツの女になるのよ?」

「私があんなのに負けると思うか?」

「…思わない。」




「だから、なんでそんな話になるんだ?!」

「事情と状況は言った通りです。戦力の足しになるのですから、好都合ではないですか。」

「どうせ、ついでにちょっと鬱憤を晴らしてやろうとか思っているんだろ。」

「ふふ、頭も分かってきたじゃないですか。」 

「はぁ~。で、前衛はどうする?」

「千代を連れていきます。」 

「はぁ?千代?何故後衛を連れていく?お前が前衛をやるのか?」

「それもいいですけど、今回は弓矢で勝負しますからね。千代には前衛をやってもらいます。私が仕込んでますから、下手な槍兵より余程強いですよ。」

「お前、いつの間に…。まぁ、サクヤが言うなら大丈夫だろう。後詰は勘助と小平太でいいのか?」

「充分です。どうせ出番はありませんし。」

「…だろうな。」


 昼餉を済ますと、サクヤ達討伐隊は里を出発した。

 今回、サクヤの前衛を務めることになった千代は、サクヤの一つ下の巫女弓兵である。サクヤに憧れて弓寮を希望し、見事配属された。小柄だが身体能力が高く、目端もきくので、サクヤも傍においてよく面倒を見ていた。人にものを教えるのが下手なサクヤだが、千代も感覚派だったのか、サクヤの教えをよく吸収した。時には猿也の指導も受けたりし、小太刀の扱いは弓寮ではサクヤに次ぐ程になっている。因みに隠密寮の頭である猿蔵の孫でもある。


「千代、今回は前衛後衛を気にしなくていい。臨機応変に対応していく。」

「判りました、サクヤ様。」

「…だから、様はやめろ。」

「判りました、サクヤ様。」

「…もういい。」



「おい、たったそれだけか?10を超える鬼の討伐だぞ!」

「お前の仲間は、その3人か。1小隊増えたと思えばいいか。」

「まて、お前勝負のこと、忘れてねぇだろうなぁ。」

「あぁ、そう言えばそうだったな。鬼狩りの実力とやら、しかと見せてもらおうか。」


「そちらが、赤犬の社の隊長か?随分若いが…。申し遅れた。私はこの鬼狩りの組長で馳遊馬という。騎重郎が迷惑をかけたようだ。この度は、ともに討伐ができると聞いてな。しかも、物資まで用意してくれると言うので、礼を言わねばと思っておったのだ。」

「赤犬の社の山兵で、サクヤと言う。其方はきちんと人語を解するようで安心した。」

「おい!どう言う意味だ!」

「はははは、面白い御方だ。本当に色々御迷惑をおかけしたようだ。申し訳ない。とは言え、騎重郎の言う通り、これでは流石に少ないのではないか?」

「充分だ。後詰も連れてきただけで、ただの見学だ。私と、この千代で対応する。」

「えっ?貴方方御二人で?二人共弓使いではないのか?というか、二人共女人で、しかもかなりお若いとお見受けするが?」

「私が14で、千代が13だ。どちらも近接戦は得意なので問題ない。」

「…。まぁ、判った。とにかく行ってみよう。話はそれからだ。」


 馳遊馬は困惑顔を隠せなかったが、熊の妖魔を一人で倒したという山兵に、強く興味を持った。

次回、強敵登場です。

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