空も飛べるはず
サクヤが試行錯誤して、暴走する回です。
お楽しみください。
鼬の妖と別れ、薬草を集めたサクヤは、帰宅すると裏庭の畑に向う。
(御力の回復薬は、『月読夜草の花』が必要だけど、まだ量が足りないんだよね。種はやっと芽を出したけど、どうすれば早く増やすことができるかなぁ。)
サクヤは月読夜草の芽を睨みながら考える。
(栄養が足りないのか、土地の御力が山の上に比べて少ないのか?ん?!土地の御力かぁ。畑に御力を流したら、早く育ったり、山の上と変わらない効能を引き出せたりしないかなぁ。)
思い立ったらやらずにおれないサクヤは、深く考えずに実行に移す。
(どのくらい籠めたらいいんだろ?『浄化』の時と同じくらいでいいかな?)
変化は直ぐに現れる。月読夜草の芽はみるみる伸びて、他の薬草もどんどん成長する。
(おおおっ!これは凄いかも。でも、この畑にはこれ以上籠められないような気がする。これ以上籠めても、範囲が広がるだけかも。)
「サクヤ!コレは一体…。あぁっ!貴方、畑に御力を籠めたでしょ?」
「流石母様、御名答!どう?凄くない。」
「…ちょっと、中に入りなさい。」
サクヤはコノハに連行される。
「サクヤ、貴方のやりたいことはわかるけど…。もう、私は貴方が怖いわ…。」
「ええっ!?何で?畑に御力を籠めただけだよ。」
「ううん、普通は畑に御力を籠めようと思わないの。貴方が普通じゃないことは、薄々、いえ、嫌なくらいわかってるけど、貴方の使い方は、普通じゃないって自覚して欲しいの。」
(鼬さんに聞いた話なら、これは普通のことだと思うんだけど。皆の普通じゃないっていうのはそうなんだろうなぁ。)
「うん、わかってる。ちょっと試してみただけよ。次から気をつけるわ。」
「少なくとも、人目につかないように…って、畑が激変したらわかるわよねぇ。もういっそ、山の中に秘密の薬草園でも作るしかないかぁ?」
「あっ、それいいね。やってみたい。」
「貴方は楽しそうでいいわね…。私は胃の臓に穴が空きそうよ…。」
「その時は、私が『心を込めて』胃薬を作ってあげるよ。」
コノハはサクヤをジト目で睨むと、両の拳でサクヤのコメカミをグリグリし、サクヤは半泣きになった。
しかし、サクヤの計画はこれでお終いではなかった。夜寝る前に、力量をギリギリまで減らすつもりなのである。
(ギリギリまで減らして一晩寝て回復させる。これを毎日繰り返したら、力量が増えて、いつか空が飛べるはず!)
サクヤは、新たな目標に瞳を輝かせた。勿論、コノハの預かり知らぬことだが。
翌日、サクヤは早速山の中に秘密の薬草園を作る為、開墾に相応しい場所を探しに行く。
出来るだけ人目につかず、水場が近くて、開けた土地。条件に叶う場所を探して山を彷徨うサクヤだったが、あることを思い出す。
(そう言えば、小さい頃かくれんぼして、誰も見つけてくれなかった秘密の場所があったよね。)
そこは、崖の下にあるため人目につきにくく、辿り着くには岩の隙間と洞窟を通って行かなければならないうえ、洞窟の中に水が染み出している。平地の面積は50mプール程度だが、サクヤ1人で開墾するなら丁度いい広さといえた。
「久々に来たけど、ここなら条件にぴったり。早速耕してみよう。」
サクヤは持って来た鍬で開墾を始めた。
(流石に大変だぁ。何か良い方法はないかなぁ?鍬に御力を籠めたら、楽になったりして。)
思い立ったらやってみるのがサクヤである。
「むふー、上々じゃない。」
その後はサクサクと開墾し、取り敢えず8畳程度開墾できた。
「じゃあ、早速持って来た苗を植えてみよう。」
サクヤは畝を作ると、そこに持って来た苗を植え、洞窟から汲んできた水に御力を籠める。
(畑に籠めるのもいいけど、水に籠めたらどうなるのか、試してみたかったのよね。でも、毎日水遣りするのは私だけじゃ大変だから、母様にも相談しなきゃ。)
サクヤは畑仕事を終え、家路についた。
勝手に開墾したことを、コノハから叱られたが、半分諦められていた。コノハは水遣りを請け負ってくれたので、水への御力の籠め方を説明する。
「貴方ねぇ…。そんな簡単に言うけど、普通はできないの。私は普通の人だから、そんな事できません。次行ったとき、貴方が畑に籠めておいて。」
サクヤの研究は、あっという間に頓挫した。
第1部も残り1話です。
第2部へのモチベーションアップの為に、
評価、感想を宜しくお願いします。




