表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浄弓の巫女サクヤ 〜里の因習なんて無理なので御神力を使って鬼を倒しに行きます〜  作者: 一角獣
第2部 進化〜進撃の巫女姫〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
172/196

御前神楽

おはようございます

 謁見を終え、サクヤは神楽殿へ赴く。

 神楽殿では神楽寮の面々が着々と準備を進めている。


「伊都、準備は順調?」

「サクヤさん。謁見は終わったのね。」

「なんとかね。でも、問題は山積みよ。」

「うわぁ、聞きたくないなぁ。」

「大丈夫。現状と大きく変わらないから。」

「よかった…サクヤさんの話方、機嫌を損ねず済んだみたいね。」

「あぁ、不敬な言い方だけど、思ったよりまともな人だったから。」

「フフフ。確かに不敬だね。」

「でも、帝であっても中々思うようにはならないみたい。あれはあれで大変そうだわ。」

「そうか…。

 サクヤさんも稽古しておかなくていいの?」

「それ!早く着替えなくちゃ。」



 サクヤは巫女達の楽屋に行き、稽古着に着替える。

 化粧も省いて舞を合わせた。


「多忙なところ申し訳ないが、演目の確認もしてくれ。」


 神楽寮の頭である竜造が声をかけてきた。


「今日の演目は華やかさを、明日は楽しんでもらえる内容であれば、なんでもいいと思いますよ。そう言えば安澄は間に合いましたか?」

「何とかな。隠密寮の護衛付きでやってきたぞ。」

「そうですか。それはよかった。」



 夕暮れを迎え、舞台脇に篝火が焚かれる。

 華やかさな演出を狙い、舞台は複数の護符による光で照らされた。


 観客席には仮設の小屋が設置され、帝はそこで鑑賞する。

 観客となる公卿達は、舞台の明るさに度肝を抜かれていた。


「何故あのように明るいのか?」

「あれも御力なのか?」



「ハハハ、驚いてる驚いてる。こんな演出、俺達も初めてだもんな。サクヤさんはやることが派手だな。」


 神楽寮の者達もこの演出には驚いたが、自分達が驚いた分、ひとが驚いている様を見るのは楽しいらしい。


 帝が小屋の裏手から入場し席につく。


 それに合わせて楽達が舞台に上がり、観客に向け一礼するが、今回は相手が帝である為、全員が一度正座してから深々と礼をした。


 其々の席に着くと、伊都が笛を掲げる様に礼をして演奏が始まる。


 最初の演目は例によって四方祓い。それから巫女舞、神々の降臨、鬼退治と続く4演目の予定だ。

 サクヤは最後の演目のみの出演で、こちらも例によって神役だ。


 四方祓いで伊都が笛による浄めを行った後と神楽は滞りなく進み、巫女舞で鼻の下を伸ばす公卿達に呆れながら、サクヤは出番を待った。


 客席に座る公卿達は男だけではない。退屈を持て余した女達も共に鑑賞する。

 また、神宮や大社の関係者達も共に鑑賞していた。


「田舎神楽と侮っておったが、中々のものだ。」

「巫女も美しかった。」

「あの笛には心洗われたようだ。」


 演目の間合いで各々感想を零す声が聞こえた。


 そして最後の演目を迎える。


「さて、行きますか。弥助さん、火傷に気を付けてね。」

「へへ、あんな演出誰もやったことがないだろうからな。ただ、結界術を受けるのは怖ええな。」

「大丈夫ですよ。締め上げなれば痛みはありませんし、矢も直前で消しますから。」

「頼むぞぉ。」



 楽に合わせて神役の2人が舞台に出る。


「あれが『神産みのサクヤ』か…なんとも…美しいな…。」


 サクヤの舞に観客達は確実に惹き込まれていく。

 話も勧善懲悪で誰が観てもわかりやす、客席は水を打ったように静まり返る。


 しかし、鬼との戦闘が始まると様相は一変した。

 鬼役が鬼術として、通常なら蜘蛛の糸を放つところを、護符を使って火を放出する。サクヤは直ぐ様結界を張って防御し、クルクル回転しながら円を描く様に舞う。

 そして、サクヤが鬼に向け結界の矢を放つ。矢は当たる直前で消えるので、実際に刺さることはないが、鬼役の派手なアクションで、観客達は本当に射抜いたのではと思わず声を上げる。

 最後は結界で拘束し、神2人で斬りつけて、幕の中で藻掻きながら、鬼は力尽きた。


 鬼を退治し終わると神の嬉舞で締め括る。

 そして、いつも通りサクヤの微笑みで観客は蕩けた。



「いつもながら、凄い破壊力だな…。」

「サクヤにかかれば、民も公家も関係ないようだ。」

「弥助さん、よい演技でしたよ。」

「いやぁ、本当にヒヤヒヤしたぜ。」

「仮に刺さっても、直ぐに治しますから大丈夫ですよ。」

「いや、痛いのは勘弁してくれ。」

「しかし、今までにない演出だな。よく考えついたな、サクヤ。」

「いえ、夜神楽ならこうしたらいいんじゃないかって、伊都と安澄が言い出したのであって、私の案ではありません。」

「それはサクヤの結界術ありきの演出だから、一番の功労者はサクヤよ。でも、護符の使い道は色々ありそうだから、夜神楽はうちの売りにできそうね。」

「相変わらず商魂逞しいな。」



 ワイワイと楽しそうな神楽寮に対し、公家達は驚愕と魅了でパニックとなっていた。



「神楽に妖術を用いるとは…。なんと恐ろしい者達だ…。」

「いや、そんなことより、あのサクヤ殿の美しさよ…。」

「確かに、あれは美しかった…。最後の微笑みは天女の如きであった。」

「しかし、あの矢はどうなっておったのだ?何もないところから放たれ、射抜いたように見えたが…。」

「あれも御力なのか…?」




「如何でしたか?帝。」


 帝は呆然としていたところを、豊秋彦の声で我に返った。


「う、うむ。なんと申したらよいか…。言葉では言い尽くせぬな。

 だが、この上なく素晴らしい物を観た。」

「それは良うございました。帝が満足されていたとサクヤ殿にも伝えておきましょう。」

「うむ。何か褒美を取らせたい。何がよいだろうか?」

「それとなく確認しておきましょう。」

「明日は都の民に観せると聞いたが?」

「はい。サクヤ殿の申し出です。」

「そうか、民も喜ぼう。民に受け入れられれば、サクヤの願いもよい方向にいくやもしれぬな。」

「それも狙いなのでしょう。」

「ハハハ、強かであるな。あのような強かさが我等にも必要なのだろう。」


 帝は楽しそうに舞台を見ていた。

 舞台には整列して礼をするサクヤ達の姿がある。


「彼等は明日の公演の後は如何するのか?」

「日輪大社へ参拝すると聞いてます。」

「そうか。朕も久し振りに行ってみるか。良い日取りを調べておいてくれ。」

「畏まりました。」




 翌日は都の民向けの公演を行った。

 より多くの民が観れるよう、仮設の小屋も撤去し会場を広くしたが、それでも開場と共に席は埋まった。

 午前と午後で完全に入れ替えれるよう、入れなかった人に整理券を配った。


 

 民向けの演目は3番目にチャリ(お調子者の男が、軽妙なトークで面白可笑しく場を盛り上げる)の出る演目を選び、最後はサクヤも出演する鬼退治物。

 2番目の巫女舞にはサクヤも急遽出演して、伊都と共に会場全体への浄めを行った。


 神楽公演は大いに盛り上がり、好評のうちに終えることができた。

 当然サクヤの魅了は炸裂し、都の民の心を掴むことに成功した。


 再演を望む声も多かったが、最後の挨拶で、


「是非赤犬の社の定例祭に足をお運びください。」


 と売り込んでおいた。

 後にこの売り込みが大変な事態を招くことになるのだが、それは別の話で。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ