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浄弓の巫女サクヤ 〜里の因習なんて無理なので御神力を使って鬼を倒しに行きます〜  作者: 一角獣
第2部 進化〜進撃の巫女姫〜

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【閑話】奇跡の人

おはようございます

「じゃあ宜しく頼むぞ、小平太。」

「ああ、確かに預かった。」


 小平太はサクヤから預かった静と絢音への祝いと土産を持って、白狐の里を出発した。

 小平太達を見送ったサクヤと龍子もすぐに出発する。


「良い子にしていたようだな。毛並みが良くなっている気がするぞ。」


 龍馬を撫でながら櫛の国から東へ向う街道を進む。


 途中で櫛の国府で一泊、以前野盗を実験台にして討伐した美川の宿で一泊、そこからさらに咲良矢の里で一泊する予定だ。

 途中にある御神域に御力を籠めたり様子を見たりするのも目的のひとつだ。




 そんなサクヤの帰路の旅だが、宿泊先でのサクヤは毎夜あることに悩んでいる。


 力量の消費だ。


 力量を増やす為には力量が尽きるギリギリまで使い切らなければならない。


 里にいる時は御神域に返したり、布団に入ったあと、コノハが寝静まるのを待って僅かに浮いたりして消費している。

 というのも、あまり神域に返しすぎると、神域の御神力がサクヤの御力に染まりかねないと、アカイヌヌシが心配したからだ。

 浮いて消費するのは、宮司と藤馬の話からヒントを得てから始めた苦肉の策であった。


 しかし、旅先ではそうはいかない。


 大抵の場合、御力の使用に敏感な千代達がいるからだ。


 迂闊に浮いた状態でバレたら、御力の理について追求される恐れがある。

 本人は色々隠しきっているつもりではあるのだが、千代にはかなり疑いの目で見られているのをサクヤ本人は知らない。

 なので、今でも何とか隠し通そうとしているのだ。  

 尤も理がバレたところで、誰もサクヤのようには使えないということをサクヤは理解していない。それでもイズマとの約束を律儀に守っているのだ。恐らく、そのイズマはもう忘れている、或いはどうでもよくなっていると思われるが。イズマとしても、サクヤがこのようなことになるとは想像していなかったので、仕方がない部分的もあるのだが…。



 そんなサクヤは、皆と同じ様に力量を消費する為に、黒曜石に御力を籠める振りをしながら、勝手に大地に御力を籠めたり、宿場を浄化したり、病の人や怪我人にあったらこっそり治癒したり、浴場の湯に治癒の御力を籠めたり、あらゆる手段で力量を消費している。



 ただ、こんなことをすれば、当然各地で騒ぎが起こる。

 その場で気づかれれば千代にバレるので、サクヤは時限的に御力を発動させるという技まで身につけて隠蔽を図っていたのだが、あくまで時限的な措置なので発動自体は当然する。


 そうなると、突然大豊作に見舞われたり、病や怪我が治ったりという事態が発生する。


 そして、その原因を探った人達の共通する要因が、「赤犬社のサクヤ様」となるのだ。



 特に『兵六童子神化事件』以来、サクヤの噂はサクヤの巡った国にとどまらず、各地に広まりつつあった。

 更に、それまでにサクヤが起こした『咲良矢の里事件』や『咲舞の里事件』の話も広まり、その他の騒ぎまで伝わるようになる。


 サクヤは見た目も映えるので、一種のアイドル的存在だ。サクヤに会っただけで自慢話になるほどの存在になるのは自然と言えた。


 特別大きな事件を起こさなくても、『力量消費』の為にあらゆる宿場で奇跡を起こすサクヤは、自分では嫌がっているのに、確実に神格化に近づくよう、自分で自分の首を絞めていた。



 そんなサクヤは、一度訪れた宿場等では当然神様扱いになってしまう。


 今回、梟社までに立ち寄った櫛の国府では国府の兵からも崇められ、以前浄化して貰った国府館の者達も同様だった。

 

 美川の宿では野盗を退治した英雄であったし、咲良矢の里は言うに及ばずだ。


 宿泊先ではどこも歓待を受けたし、宿代も受け取って貰えない。

 サクヤとしては気が引けてしょうがないし、ゆっくりできないので気も休まらない。

 

 それでも寝る前には力量を消費する為に、また新たに何かをやらかしたり、宿代の代わりにとんでもない利き目の薬をあげたりしているので負のスパイラルに陥るのだ。



「もう諦めるなり開き直るなりした方がいいんじゃないかい?どう考えても今更だろう?」


 龍子に窘められるが、サクヤは往生際が悪いので、何とか誤魔化せないかと策を弄する。実際には何の効果もないどころか逆効果になることの方が多いのにだ。

 しかも、上手く誤魔化せたと本人は思っているから始末に悪い。


(この子は頭が切れるのか阿呆なのかよくわからんな…。)



 初めて2人で旅をしてみて、サクヤの凄さとズレ具合を再認識する龍子だった。


短いお話になりました

元気があれば、今夜もう一話あげたいと思います


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