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正義が勝たないデスゲームから脱出しよう【R15】  作者: かざみはら まなか


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523.公安とカガネと俺。帰省して分かったこと。家族の安全が見逃されてきた原因は、俺自身にある。俺は、何を敵とするかを間違えない。

俺の人生の分岐点は、大学で佐竹ハヤトと仲良くなったときだ。


俺の家族の人生の分岐点は、俺が佐竹ハヤトと仲良くなったとき。


支援団体に捻じ曲げられた人生なら、十分見てきたと思っていた。


地獄を見てきた人の人生を教えられて、十分知った気になっていた。


話を聞いただけで、自分の中の肥やしを増やしたと錯覚して。


最も見やすい場所にあり、すぐに見えるところで何が起きているか、に俺は目を向けていなかった。


一番近くて遠かったのは、俺の家族。


俺の見ようとしてこなかった中に、既に捻じ曲げられた人生がいくつもあった。


お父さんお母さんは、自分達の人生が急に捻じ曲げられた理由を知っているだろうか?


家から出ていった長男を取り込むために張り巡らされた網に、家族だからと絡め取られていることを知らされていただろうか?


それとも。


理由は知らないまま、理不尽だけを飲み込んで今日まで?


弟は、まだ、理不尽を引き起こしている支援団体について誰からも知らされていない。


支援団体という単語は、口に出すタイミングが重要だ。


その存在は確かにあるのに、語ることが憚られるなど、これほど黒幕に相応しいものはないと考えるのは、皮肉が効きすぎるか。


弟の人生を利用したり歪ませたりしたいやつらが、弟の周りにいる人の人生を捻じ曲げて、弟の近くに手先となる人物を配置している。


弟が自分で気づくには、まだ、衝撃が足りていない。


今日、帰省してきて分かったことがある。


公安は、俺の身の安全を優先してきた。


俺の安全のために人をつけていたと言えば聞こえはいいが、監視をつけていたとも言い換えられる。


公安が監視だけで済ませてきたのは、支援団体が俺に接近したり、俺が支援団体に興味を持つようなことが起きなかったから。


俺と支援団体が、急接近しようとしたら、監視だけでは終わらなかったのではないか。


今の今まで、公安には身を守られているという認識が強かった。


守られているぐらいだから任せておけば大丈夫だろう、という公安への信頼は、俺の驕りだった。


家族を守りたいと俺から公安に頼んだこともなければ。


家族を守らせてほしいというお伺いを公安からたてられたこともない。


俺の身勝手な思い込みは思い込みでしかなかったと、今日、明らかになった。


俺の家族の安全は、公安に見逃されていた。


公安が何を把握していて、何を把握していなかったかを俺は知らない。


正義が勝たないデスゲームを脱出して、帰省する計画を立てていた頃の俺が知ったところで。


俺の家族の人生の軌道は、既に死地へとズラされていた。


今日、帰省して、弟と顔を合わせて話さなかったら。


俺の家族の身に起きていることを、現在進行形で俺が知る機会はなかった。


無事な弟とカガネの三人で、立て籠もることが出来ているのは。


俺の帰省に同行したカガネが、俺の実家までついてきたから。


俺が正義が勝たないデスゲームに参加する前の公安と、今の公安の方針は変わってきていると思う。


俺と共に正義が勝たないデスゲームを脱出したカガネの働きが、公安の変化に大きく関わっている気はする。


個人の判断で動ける範囲が広くないと、公安の仕事はやっていけないのではないか?


正義が勝たないデスゲームに参加していた期間、正義勝たないデスゲームの外で起きていたことに、カガネは関わっていない。


正義が勝たないデスゲームを脱出する前のカガネは、俺に何かを見出したと言っている。


俺に賭けるのが最適解だと考えて動いているカガネにとって。


俺の家族が人質にとられることを公安が危惧しなかったことは、最適解ではなかったのだと思う。


公安が俺の絶対的な味方にならないと感じることがあったときに。


公安以外に俺の味方になることを匂わす誰かが現れて。


俺が公安とその誰かを秤にかける動きを見せたら、何が起きるかをカガネは見通したのではないか。


今、公安の中で、誰を信用するかと聞かれたら。


俺は、間違いなくカガネの名前をあげる。


カガネは、俺からの信頼をなくすような真似はしない。


俺のカガネに対する確信は、カガネの性格的なものが根拠ではない。


カガネが公安だからだ。


正義が勝たないデスゲームの中と正義が勝たないデスゲームの外でのカガネの言動に、公安として信用できない動きはなかった。


俺とカガネが正義が勝たないデスゲームで出会う前から、カガネは公安だった。


サバイバルゲームの最中に、公安として俺の前に立ったカガネ。


俺がカガネという個人に信用をおくには、カガネという個人を担保するものがいる。


公安として立っていないカガネを俺は知らない。


公安と意見の不一致を起こして、孤立し、孤独に悩む局面になっても。


カガネに縋るようには生きたくない。


その理由は二つある。


一つ目。誰かに縋れば、俺の人生での優位性を手放すことになるから。


俺の意地もあるが、縋ることで俺の自由度がなくなることを俺は望まない。


二つ目は、俺が縋るようになれば、俺とカガネの関係性が今のようではなくなるから。


俺がカガネに縋ることを考えるとすれば、先を見通して動くカガネのやり方に俺がついていけなくなったとき。


俺は、今のカガネと俺の関係性を気に入っている。


佐竹ハヤトとは違うが、快適な関係だと感じている。


話していても、話していなくても、近くにいても、連絡していなくても、カガネを忘れることはない。


カガネが俺に合わせて距離をはかっているのだとは思うが、カガネの距離の取り方は心地よい。


カガネが動くなら合わせるのもやぶさかでないと今の俺は言い切れる。


正義が勝たないデスゲームに参加する前から俺に人をつけていた公安が、俺の家族を守るよう動かなかった理由は簡単に説明がつく。


俺の家族に人質の価値がないのではない。


家族の安全に俺が無関心でいたからだ。


家族と連絡を取り合っていなかったのに、家族が無事でいると思い込んでいた俺は。


正義が勝たないデスゲームを脱出してから今日まで。


一度も、家族の安否を確認しようとしなかった。


それが答えだ。


俺の家族に対する執着は、守るための人手をさくほどのものではないという判断が、公安の中で下りたのだと思う。


公安のその判断は、決して間違いではない。


家族を頼ろうだとか、家族と仲良くしようだとか、家族に頼られようだとか。


俺が考えなくなってから、もう十年以上は経っている。


困ったことになっても家族は頼りにならないから、困らないように自分で立ち回る。


それを当たり前にして、俺は生きてきた。


俺という人間をよく観察しているほど、家族の身の安全にまで手を回すことが必要だという結論には至らない。


正義が勝たないデスゲームに参加して変わる前の俺の振る舞いはそうだった。


そのような考え方をしていた。


だから、現状には納得している。


俺は、敵を間違えない。


これからの俺がしていくことは。


味方を増やすことでも、味方との結びつきを強めることでもない。


何を敵の位置に置いて、何を敵の範囲に入れないかを間違えないことだ。


味方にならないから、敵だと思い込まないこと。


敵ではなく味方に牙を向けた瞬間に、俺は破滅へとトップスピードで走ることになる。

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