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正義が勝たないデスゲームから脱出しよう【R15】  作者: かざみはら まなか


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519.増える部活仲間からの留守電の特徴。ヨッシー、ナマハラくん、マタニくん、クレくんとそれから?弟を見ていると、俺のかつての過ちが。

「弟さんの部活仲間の中で、弟さんと一番仲が良いのは、ヨッシーさんですか?」

とカガネ。


「そうです。

タイミングが合わなくて行けないという連絡のついでに互いの近況報告をして、次の機会に会おうという話をします。」

と弟。


「タイミングが毎回合わないことがあるのか。」


互いにタイミングを合わせようとはしないのか?


「俺にもヨッシーにも、部活仲間以外との予定もあるから、会うのは会えるときでいいんだよ。」

と弟。


弟の口から何気なく発せられた言葉を聞いたとき。


俺の過ちを掘り起こされたような気になった。


正義が勝たないデスゲームに参加する前の俺は。


いつか会うつもりでいたから。


佐竹ハヤトが生きている間に。


佐竹ハヤトと会うための時間を作ろうとしなかった。


年をとっても、笑いながら話をしている遠い未来を想像していたけれど。


その未来を思い描いていたのは、俺だけだった。


いつか、が永遠に来ない可能性など、俺は考えていなかった。


弟は、正義が勝たないデスゲームに参加する前の俺と同じだ。


死は、遠い未来のまだ先にあるもので。


死について思い悩むことも、永遠の別れを現実にあるものとして考えたこともない。


弟が口にする考え方や振る舞いを目の当たりにすると。


佐竹ハヤトが亡くなった事実と知る前の俺を外から見ているような気になる。


「ユキミがヨッシーくんについて知ると同時に、ユキミがどうしているかについても、部活仲間からヨッシーくんに伝わるようになっているのか?」


「うん。俺だけ置いてきぼりになることはないよ。」

と弟。


弟にとって、卒業後も続く部活仲間との付き合いは、悪くない人間関係だということがうかがえた。


部活仲間とは、気兼ねなくものが言える間柄なのかもしれない。


弟に、友達には会えるうちに会っておけ、とは言わない。


部活仲間だけでの情報共有にとどまっていたなら。


仲間意識を喜んでやれた。


だが、俺から見た現実では、喜ぶところが見当たらない。


弟は。


寿命以外で迎える死をまだ知らない。


人生の終わりを想像したこともなく。


日常が変わる瞬間に気付かずに毎日を生きていく。


連絡が取り合えることは、いつでも会えることを保証しているわけではない、ということを。


弟に話しても、今は実感がわかないと思う。


それがどういうものかを理解するのに、経験ほど強烈なものはない。


俺は、知っている。


佐竹ハヤトと俺のやりとりの中で。


佐竹ハヤトは、俺の情報を近況という形で欲しがらなかった。


俺が、弟にヨッシーくんと連絡を取れと言わないのは、ヨッシーくんのやり方に納得がいかないからだ。


佐竹ハヤトが俺にしなかったことを、ヨッシーくんは弟にしている。


弟の部活仲間で、弟と一番仲が良く、外国に行っていたというヨッシーくんは、弟の近況報告を弟と会うことより優先しているのではないか。


「部活仲間で、ユキミの近況を共有しているのか。」


「俺とヨッシーだけじゃなく、全員がある程度の近況を共有し合っているよ。」

と弟。


ヨッシーくんだけではなく、部活仲間全員が全員の情報を共有している、か。


ぬけがけ防止か?


いや、脱落防止、か。


「弟さんとナマハラさんとの連絡頻度は、ヨッシーさんとよりも多目ですか?」

とカガネ。


「俺とナマハラとの連絡頻度は、俺とヨッシーよりも少ないです。


ヨッシーから連絡がきたタイミングで、ナマハラからも連絡がきます。俺は返事をしているだけなので。」

と弟。


「マタニくんとクレくんに返事はしているのか?」


「二人には、タイミングが合えばとだけ返しているよ。」

と弟。


「マタニさんとクレさんが留守電にまでメッセージを残したのは、これまでの二人の行動から外れていると感じますか?」

とカガネ。


カガネも俺と同じ懸念を抱いている。


カガネの質問は、弟の部活仲間が既に取り込まれていないかの確認だ。


「マタニとクレは、ヨッシーやナマハラが留守電にメッセージを入れるのを真似したのかもしれません。」

と弟。


「四人が、ユキミ宛に留守電へメッセージを残すことはこれまでになかったのか?」


「なかったよ。」

と弟。


「その場でユキミが聞いているように話していたのは、留守電を使う側が留守電に慣れていないから、か?」


固定電話の留守電を利用するよう、四人に指示した人物の存在を俺は疑っている。


「慣れているかどうかは知らないよ。俺は使わないけれど。」

と弟。


弟の部活仲間も固定電話に不慣れだったとしても、指示したやつが使い慣れていれば、使うか。


「弟さん、自宅にいる友達を呼び出す手段として、固定電話へかけることは思いつきますか?」

とカガネ。


カガネの質問が変わった。


「どうしても連絡をとりたいのなら、直接家に行きます。行けない距離じゃないので。」

と弟。


「部活仲間は、誰も地元から引っ越していないのか?」


「一人暮らししているやつから急ぎで返事が欲しいときは、連絡がつく友達に間に入ってくれるように頼むよ。」

と弟。


ピピピ、ピピピと固定電話が鳴る。


「またかかってきた。」

と弟。


「留守電に切り替わるのを待つか。」


勢いのある声が聞こえてきた。


「おーい、金剛、きこえているよなー?」


「金剛、呼ばれているぞ。逃げられないみたいだから、早く来い。」


「ちょっとそこまでの支度にどれだけかけているー?」


「早く家から出てこいよー。」


四人分のメッセージがかわるがわる吹き込まれていき、留守電が切れた。


「一言ずつ吹き込んでいった四人も、四人ともユキミの部活仲間か?」


「うん。俺の同期全員分の声が留守電に揃った。」

と弟。


「同期の結束は強いのか?」


高校までの俺は、学校を卒業したときに、学校で知り合った全員との関係が切れている。


「ヨッシーが来たからお前も来い、と全員が同じタイミングで催促の留守電を入れるほどの熱さはなかったよ。」

と弟。


弟は肩をすくめた。


弟も、同期全員から留守電が入ったのは異常だと認識している。


「弟さんの部活仲間は早く家から出ろと言うだけで、目的地については、一言も口にしていないわ。」

とカガネ。


「ユキミが家から出た後の行き先について。


誰も知らないから、か?」

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