38 メインクエストは無視して素材集めするの楽しいよね
「現在このアクウィリスはドラゴディアと戦争中だ。」
アキトを救出し、全員席に着いたのを確認してクラウスが告げる。
「どゆこと?めっちゃ平和に見えるんだけど・・・」
「タカヒロ殿、此処はアクウィリスが首都だからな。国境の村々等は戦場になっておる。
今はまだここまでの進撃は許していないが・・・」
「厳しいのかしら?」
「っ!えぇ・・・そう言わざる負えないでしょう。サナダ殿。
彼我の戦力差は歴然であり、頼みの綱とも言える龍神様は現在このアクウィリスの有る迷宮ヴリドラ宮殿の奥深くに姿を隠していまわれました。」
「どうしてなの?神器をくれるくらい仲良くやってるのでなくて?」
現状、この国の騎士や兵士等、一定の力が持つものであれば龍神に会い、神器とされる龍鱗を与えられる。その龍鱗の効果は、基礎ステータスの上昇と、『竜との意思疎通』を可能とさせる効果であり、その効果を発揮して飛竜等を配下・・・いや、友になり、飛竜騎士として国の守護を努めているのだが・・・
「それはそうなのですが・・・ドラゴディアの宣戦布告の後『いつの世も戦乱 我は疲れてしまった』との言葉を残し、居城たるヴリドラ宮殿の奥深くへとお隠れになられたのだ。
人の世の業に疲れていらっしゃったのだろう。それに、我らは十分に龍神様の恩恵を受けている。
この国の建国には龍神様の力無くしては叶わず、善良なヒューマンとの邂逅も無かったであろう。」
「ふぅん・・・同盟国とかは?」
「現在同盟を結んでいる国は居ない。過去は居たのだが、神器欲しさに一悶着あってな。
それ以来は北方の北国と交易するぐらいが関の山だ。一応我らが王は救援の願いを北の国へ送ったらしいのだがな・・・使者は未だ帰らず、戦端は広がるばかり。そんな時に、伝説の・・・」
「レイっちが来た・・・・か」
「左様だ。もはや運命とすら感じられる。そして王から謁見を希望するとの声が出ているが・・・レイ殿、いかがであろうか?一度王と話してみて貰えないだろうか?」
懇願する様なクラウスの視線。レイは深く考え込む様に俯く。
流石にこの真剣な空気を感じたのか三人組は押し黙り、姉妹とサナダはレイの心のままにとレイへ優しい瞳を向けていた。
ルトは何か考えているのか、目を瞑り黙っている。
「ん・・・一度会ってみようと思います。アキト達の事もあるし、タマモも関わってるみたいだし・・・・・なにより」
「なにより・・・?」
アキトがレイへと問う
「悪い人達に見えないし、クラウスさんは僕らを捕らえよう(・・・・・)としなかった一度も。」
「レイ殿・・・感謝を。私は王に伝えに行きます。この銀嶺の憩いは宿屋も併設しているので出来れば此処にお泊り下さい。恐らくは何日かした使者が迎えに参ります。」
返答を聞き、クラウスはそっと立ち上がると一礼の後、颯爽と店を去ってしまった。
ルトはクラウスの姿が見えなくなるまで敬礼し、視界からいなくなったのを確認してからレイへと疑問に思っていた事を聞く
「レイ殿、何故捕らえるか否かわかったのでありますか?」
「ん、ルトさんもそうだし、街の人そうだけど・・・僕らよりずっと強い(・・)のに、嫌に視線は一度も無かった。来るのは、なんというか・・・友愛の視線・・・?」
「そう・・・ですか・・・・」
再度考え込むルト。すこし落ち込んだ様な雰囲気を出しており、そこにアキトが
「え!?そんなに強いのか??さっきとあんちゃんも??」
「えぇ☆そうねぇ・・・多分レベルが二十は違うんじゃないかしら?」
「マジ??」
「ん・・・多分戦いにすらならないと思う。さっき怒ってた時も、小さい子に叱る様な顔だったし。」
「いや・・・すげえ殺気だったんだけど・・・」
「それはアキトがあの人の彼女にぶつかったからだろ。スカートだったし」
「誰でも怒るだろ?でも手は出さなかった。」
「だから、力になれるなら、なるよ。これも冒険の醍醐味・・・でしょ?」
レイは少しためてから高校生三人組に言うと
「おう!やっぱ主人公はこうだな!」
「ゲームで言えば定番なんだよなぁ・・・」
「最近の勇者とかだと大体バットエンドすっけどな・・・」
「タカ!ばかやろう!それはお前が読んでるラノベだろが!!」
「うお!叩くなアキ!仕方ねえだろ!ご都合主義勇者より、過酷で残酷で優しい魔王様のが面白えんだからよお!」
「それな」
「それ・・・な」
「「「お?」」」
とっくみあいしながら巫山戯る三人にまじりレイは小さく「それな」と同意した。
三人はニヤニヤしながらレイに絡み、「そうだよな!男だもんな!・・・男だよな?」
と嬉しそうに頭を撫でる。何故か良い匂いにドキドキし、そのもふもふの耳から手が離せなくなる三人であったが・・・
レイも嬉しそうになすがままにされる。
やはり男の子の心の中には、皆勇者で主人公で、困った人を助ける正義の心がある様だ。
「ふふ、ほんと男の子ね☆
でも・・・皆ちゃんとわかってるのよね?これは戦争って事。」
サナダが微笑みつつも、真剣な表情で一同に問うた。
じゃれ合うのを辞め、レイと三人組はサナダに返答する。
「ん、ちゃんとわかって(・・・・)る。」
「ああ、大丈夫さ、まーさん」
「そうだな、ちゃんと覚悟はしてる」
「ま、その手の本はすでに読破済みだぜ?」
「まぁ・・・及第点としておきましょうか。せっかくのゲーム(・・・)なのだし。
皆心のままに正しいと思った事をなさい。尻拭いはしてあげるわよ☆」
「「「あ!あざーすっ!!」」」
なぜか感じる臀部の恐怖に手を押さえながら三人組は綺麗な敬礼をするのであった。
「そういえば・・・ログアウト出来る様になったんでしょ?それと新しいジョブ?」
「あーレイ!良く覚えてたな!俺は忘れてたぞ!」
「いやいや、まずはジョブ確かめる為にギルド探しでも行こうとしてただろ、お前」
「いや、すぐに止められたじゃん。タカヒロに。」
「そりゃ止めるだろ。話し終わってねえし。場所わかんねえんだから。百パー迷うぞ?アキなら。こんな広い街で。それ探すの俺らぞ?」
「あー・・・アキなら迷うよなぁ・・・」
「うむ。俺なら迷子になるな・・・・」
「自身満々にお前が言うんじゃねえ!せいっ!」
「ちょりそっ!!」
タカヒロがどこから取り出したのか、辛いソーセージをアキトの口に突っ込んだ。
「んと・・・それじゃあとりあえず宿を取って、ギルド行く感じかな?
それとも三人は一旦ログアウトしとく?」
「あ、じゃあ宿取れたら一回落ちるわ」
「俺も」「じゃあ俺もだな」
「ん、了解。僕とマーちゃん達で周辺の地図とか迷宮の情報仕入れとくよ!」
「「「おけー」」」
「じゃあ、とりあえず宿を・・・「ちょっとまって欲しいであります!」ん?」
ルトが急に声を出した。
ずっと目を閉じて黙想していたので、一同は眠ってしまったのかと放置していたのだが・・・
「先程、龍の尖兵と、申しておったのはお三方ですな?」
アキト、タクミ、タカヒロをじっと見つめ尋ねるルトに、三人は「お、おう」と
少し引きながら応える。
「それは我ら竜人だけがなれるジョブであります。」
「ま?」「は?」「お?」
「恐らくでありますが・・・お三方は龍神様に会う必要があります。
龍の尖兵は、龍神様で無ければ転職出来ないであります。それに、これも恐らくではありますが
お三方は龍人へと至る可能性があるのです!!」
「龍人ってなんぞや?」
「竜人よりも龍神様に近い人種・・・・と伝承では言われています。」
「竜人にはいないんですか・・・?」
「竜人は卵より生まれいずる者でありますから。龍人とは人より龍へと転生して者であり。そして最後に居た龍人は・・・・ユスティア様でありますから。」




