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ラヴィアン・ワールド  作者: てろめあ
湖の底に沈む虹
35/41

33 妥協しつつ先へ進むと大抵強敵で一回詰む。

■ 宮元家 本邸 執務室


「だめよ!なんの為に私が『会社』を作ったと思ってるの!!」


「しかしな、昔世話になったのだ。不義理は出来ん。」


「そんなの私は知らないわ!」


「冷夏、当主として私は言っている。」


「ッッ!」



零の叔父、無我は厳しい顔つきで娘の冷夏へと告げる。

原因は明確であり、しかして以前世話になった手前断り辛いならまだしも

明らかに宮元家の損失に繋がりかねない問題であり、そして何よりの問題が・・・


「メイド(・・・)なんて断固拒否します!」


声を荒げ、昔は深窓の令嬢等と言われていた娘が恥も羞恥も関係なく

徹底交戦の構えを取っている。

もう話しはじめて何時間たったろうかと時計に目をやり、溜息を無我は吐いた。


「お前の我儘で代々仕えてきたメイドをお前の立てた(・・・)会社で雇わせた

 もう十分だろう?」


「零に悪影響だわ!留学のメイド姉妹(・・)なんて!」


「零ももう良い歳だ。それに、お前も気が付いているだろう?悪化している(・・・・・・)事に」


「それはっ!・・・・・・」


ついに言葉を詰まらせる娘に追い打ちをかける。


「早ければ来週、二人をこの本邸で受け持つ。当然零を含めメイドとして世話をして貰う

 悪い話しではなく、寧ろ我が家としては感謝すらしなくてはならん。その事はお前もわかって

 いるだろう?話しは終わりだ。お前もいずれ家を継ぐのだ。大人になれ。」


「ッッ!」


バタン!と大きな音を立ててドアを閉めた娘に、無我は溜息をつく。


「本当・・・誰に似てしまったのか・・・はぁ」


最愛だった彼女を思い浮かべながら、無我は哀愁漂わせ、深く椅子に背を預けるのであった。



■


「ーーーーー!!!」


枕に顔を押し付け、思いっきり叫び、じたばたと手足をベットに叩きつけるが

胸に去来した不快感は消える事が無い。


(これは、由々しき事態だわ!零に悪い虫が寄って来てしまう!!

 最近会社(・・)の押さえが効かなくなって来ているのも問題だし!あーもう!)


冷夏は自身が創設した化粧品会社R・S・K(零は世界一可愛い)にて、元メイド達が

零への接触を図る為、あの手この手で様々な計画を実行しており、その妨害と阻止

さらには運営と多忙を極めており。

血みどろの戦いを繰り広げているのだが、割愛しておこう。


(まさか!こんな手を使ってくるなんて!!)


今回の元メイド達の一手は狡猾で、そして逃れようの無い一手であった。

元々名の執事・メイド専門学校生であった彼女等には広いメイドネットワークが有る。

世界中に存在するその卒業生達は独自の仲間意識と結束を培っており

現在宮元家で雇っている竜堂ですら、在学した経歴を持っている。

宮元家としても、切っても切れない関係性であり、色々と便宜を図り図られと

つかず離れずの距離感であった。


彼女らの心に有るのはただ一つ『再び零様のお世話をする』事。

冷夏は会社を設立するまでは兄妹含めお世話していたのだが、ある時(・・・)を堺に

姉である冷夏の妨害から始まり、あれよあれよと何故か会社勤務。

元々優秀であった為か会社も業績をぐんぐんと上げてしまっている。


そんな中、元メイド達は逆襲の一手を打つ

メイドネットワークを駆使し、在学中のメイド候補生を宮元家へと留学させる事だ。

これは代々行われてきた行事の様な物であり、更にはこの留学を受け入れる事は

世界的にも評価は高い。

北欧に有るその学園は、世界の名家や数の少なくなった王家で務める執事・メイドを

数多く排出している事も一因している。

その留学希望を突っぱねる等論外であり、最悪関係の有る各所から信用を失いかねない。

次期当主である冷夏は重々理解はしている。理解はしているが・・・


「納得出来るわけがない!!」


その以上なまでの固執にはもちろん宮元家全員含め理由がしっかりあるのだが・・・

何よりもの問題が一つ、頭を過る。

ベットの上で暴れるのを辞めて、急に静かになった冷夏は呟いた。


「零の・・・悪化・・・ね」


年々弱るその肉体。

過去に受けた傷は、発展した医療でも治癒する事叶わず

徐々にその肉体の自由を奪っている。今年に入ってからは遂に足も悪くなってしまい

その内に車椅子が必要になる事だろう。

冷夏は車椅子に座りながらも、笑顔を向ける零を想像し、胸が締め付けられる。



「こんな事で悩んでいる場合じゃあないわ。

 最悪メイド留学は目を瞑りましょう。そんな事より、今は・・・」


ある家(・・・)の嫌がらせ対策に、零の身体を癒やす事の出来る医療機関の捜索

やるべきことは数多存在し、立ち止まり癇癪を起こす時間等ないのだ。

まずは来るであろうメイドに厳格なルール(零に近づくな)と父親に留学の許容を条件に

零への接触禁止の解除の交渉に行かなくては!



「その前に・・・補給ね・・・」


すぐに部屋を飛び出そうと長く綺麗な髪と、そのふくよかな胸部を揺らし

部屋に保管された零の使用済み(・・・・)衣類を厳重な保管庫から取り出し

肺いっぱいに空気をその美麗な鼻孔から思いっきり吸い込む。


「うへへ・・・お姉ちゃん頑張るわ・・・」


ニチャァと笑いながら、大切な弟の為に邁進する姉であった。



■ 宮元家 零の自室


「情報はこんなもんかな?・・・っ!なんか背中がヒュンってした・・・

 なんだろ?」


昨日よりも動かしずらい(・・・・・・)足をなんとか使い、水分補給、栄養補給やトイレ、

シャワーと必要最低限な事すませ、攻略サイトの巡回をしていた零。

何故か何かから逃げなくては!と感じたが、気にすること無くALIOSよりラヴィアン・ワールド

を起動するのであった。



「そろそろ、竜堂さんに歩きずらいの相談しなきゃ・・・あ!今度ご飯が美味しかった(・・・・・・)事も伝えようっと!」


恐らく宮元家、元メイド達が聞いたら泣き噎びそうな事を呟きながら意識を

ゲームへと飛ばすのであった。



「うっ!零様・・・爺は嬉しく思います・・・」


部屋の直ぐ側で無く執事の事は誰も知らずに・・・・



うぅ・・・現実部分書くの難しい・・・・

ゲーム行こ(現実逃避)

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