32 腹が減ってはなんとやら
■幽玄の間 居住区 大広間 昼
「いぃただきまーすっ!」
アキトが大きな声で手を合わせながら叫ぶ。
「はらはら ちゃあんと噛んでたべなんし」
タマモが上座から全員を見渡しながら告げる。
現在、レイ サナダ ルディ アディ アキト タクミ タカヒロ
が広間にて集まり、タマモが達が用意してくれた食事に舌鼓を打っていた。
「和食だ・・・家の母ちゃんの5億倍は美味い・・・ファンタジーで和食・・・ありだな」
「それな」
「おまえら、黙って食べなさい。」
高校生三人組が和気あいあいといつもの様にふざけながら食べ
「三バカは元気ねぇ☆野菜も食べなさいよ?あっ、この煮付けは美味ね☆」
サナダがやれやれといった様子で若干教師の顔と女子力的な何かを出していた。
「・・・・・・」
「レイ様?いかがなさいましたか?足りませんか?でしたら私のお揚げを」
「レイ様?でしたら私のお肉も」
甲斐甲斐しく世話を焼こうとする姉妹がレイへと視線を向けると、その顔を見て
言葉を失った。
「あら?アディにルディ?どうしたのん?☆レイっちもどうか・・・し・・・」
そしてサナダも箸を止めて、レイへと視線を止めた。
「おいしい(・・・・)」
涙を流し、じっと食べ物を凝視するレイ
「どしたー?確かにすげえ美味えけど、泣くほどなのか?」
アキトが気軽にレイへと問うた。
その声にレイははっとし、頬を伝う涙を拭いながらアキトへと笑顔を向けた。
「僕・・・向こう・・・現実じゃ味がわからないんだ。だから、その、びっくり
と言うか、なんというか・・・嬉しくて・・・さ。」
「っ!そ・・・そうなのか・・・なんかごめんな」
「ううん!僕の方こそごめんなさい!」
「いや、気にしないでくれ!美味いメシは大勢で食えば美味いし!な!」
「アキが何が言いたいのかわからんが、そうだな。レイ、気にすんな!沢山食べろ!」
「そうか・・・ラヴィアン・ワールドでは障害者の肉体も健全な状態に・・・・
レイ、沢山食べるんだぞ」
三バカが良い意味で空気を読まず、レイへと激励の言葉を送った。
その光景にサナダはぐっと泣きそうになるのを堪え、そして一番反応しそうな奴が
何もしていないなと思い、視線を動かすと、タマモ(・・・)が音を立てず立ち上がり
レイをそっと抱き寄せた。
「たあんと たあんと お食べ」
ふわっとレイを抱き寄せながら、本当に愛おしそうに頭を撫でる。
レイはくすぐったい様ななんとも言えない感情に戸惑いながらもゆっくりと箸を動かした。
「レイ様 あーんです」
「レイ様 あーんです」
姉妹は涙を流しながらおぼつかない箸でレイの口元へと食べ物を運び
レイは「ありがとう」と言いながら次々に咀嚼するのだった。
■
あらかたの食事が終わり、まったりとした空気の仲、レイが喋り始める
「へぇー三人は同じ高校なんですね!僕は中学二年の引きこもりです!」
「お、おう・・・腐れ縁だけどな!レイは引きこもりか・・・どした?いじめか?
俺達が行くぞ?」
「まぁ、全然行くのはやぶさかではないな」
「そうだな、ダチが困ってんなら行かないって選択肢はねぇな」
「んもぉっ!この三バカ好きよっ!あたしっ!
でもね、大丈夫。その気持だけで十分だし、あたし含め色んな人がレイのそばに居るもの。ね?」
「ん・・・すごく嬉しいです。ありがとうございます。
いつか現実でも遊びましょう!」
「「「おうよ!」」」
「でも、なんかあったら言えよ?」
三バカが声を揃えて返事した後、アキトがついでに一言付け足した。
お礼を言いつつレイは気になってる事を三人に問うた。
「それで、なんでレベル5でアディとルディの居る森に居たんです?
あそこは適正レベル高めだったと思うんですけど・・・」
自分も低レベルで駆け抜けたのだが、すっかり忘れた様子のレイ
タクトはそんな事も知らずレイの質問に答えた
「昔っからアキは、何か近くで事件が起きそうになると、嫌な感じがするって言い出してな。
急に走り出すんだ。それについて行くと大抵大変な場面に出くわすんだ。なっ?」
「そうそう。しかも俺達三人じゃ到底解決出来無さそうな場面なのよ。でも、な」
「「「それで何もしなかったら俺が俺じゃなくなる」」」
「っておい!なんで二人が俺のセリフ言うんだよ!」
「おい、アキ、俺達が何回この説明していると思う?」
「・・・・二回くらい?」
「「もう百回はしとるわボケっ!」」
スパン!とアキトの頭をタクミとタカヒロが叩く。
「あたぁ!」としながら言い合い、笑い出す三人組、ひとしきり笑い終えるとアキトが
「あ、そういえばなんか変なクエスト受けたんだよ」
と言い出した。
「どんなクエストなの?」
サナダが問いかける
「なんか・・・縁の誓いっつって、途中リタイア不可、ログアウトも出来ないんだ。」
「えぇ!?なにそれ!ちょっと問題じゃない?」
「いや、でも最終的にデスペナればログアウトできるっしょ?な?」
「あぁ、デスペナ時はログアウト選択が出るって話しだし、な?」
「まぁなんとかなるっしょ」
アキトがタカヒロに、タカヒロがタクミにまあなんとかなるべと頷きあった。
「はらはら 龍の匂いの原因はそれでありんしたか」
「「「!?」」」
「タマモ、何かしってるの?」
黙って聞いていたレイがタマモへと問いかける。
そっとレイの耳をひとなでし、三人へとタマモは顔を向けた。
「きっと■■■の龍があんさんらに会いたがっていんす やはり惹かれ合う定めでありんすねぇ
そのくえすとを終わらせたいのであれば 東方の地 龍出流国 どらごでぃあ
に行くと良いでありんすぇ」
「ドラゴディア・・・聞いた事無い・・・タク?」
「すまん、俺もわからん。タカ?」
「情報スレにも無かった・・・・と思う。けど」
三人が笑顔で顔と声を合わせて
「「「行き先が決まったな!!」」」
「はらはら げに元気なおのこ達でありんすえ」
「おう!それだけが俺達の自慢できる所だ!」
「だな」
「右に同じく」
「あ、僕も行きたいです。龍の国。楽しそう」
レイが手を上げながら三人へと告げる
「「レイ様の行く所が私達の行く所です」」
姉妹が当然だと参加を表明
「お、じゃあ皆でパーティー組むか!」
「ん!マーちゃんは?」
「あたしも行くわ!楽しそう!」
「じゃあみんなで行こうぜ!」
アキトが立ち上がり、タクミがツッコミを入れる
「いや、だから場所は?」
「東だろ?」
「アバウト過ぎる・・・・」
ため息をタクミはついていると、レイが
「あ、僕水分補給の勧告来てるので、一旦ログアウトして調べて来ますよ」
「あたしも☆お肌のケアと調べてくるわ☆」
レイとサナダが一旦ログアウトをしてドラゴディアの情報をしらべて来る事になり
現実との時間差を考え、ラヴィアン・ワールド内で半日後に集合する事を決めた。
姉妹にちょっと待ててねとつげ、タマモに姉妹をよろしくと頼み、レイとサナダがログアウトの光りに包まれる。
その様子を、タマモは子どもの成長を見守る親の様な目をしている事に
三バカはその綺麗な顔に頬を赤くしながら気がつくのであった。
「たまもさん・・・・尊い・・・・・」
茶髪の男子の呟きは誰にも聞こえなかった・・・・
姉
『わ・た・し・の・出番ねっ!』




