第2話食料問題と居場所なき者たち
「スライムが聖水を出すのは分かった…だが問題は食料だ。」
「牧場、農園が必要だ。」
「【牧場】、【農園】おいで。」
体力自慢の筋肉ムキムキな大男【牧場】と年配の老人【農園】が現れた。
「ふぉっふぉ、お嬢、ワシになにかようかな?」
「お嬢!あいつらを見返す為にこの筋肉が必要なのだな!」
「筋肉はしまってろ牧場。」
「むぅ…だが我々が必要ということは!」
「食料じゃの?」
「そういうこった爺さん。」
「任せなさい。小人や、建物建ててくれるかい?」
<牧場と農園に必要な建物作るねー!>
テキパキと小人たちが小さな小屋と動物小屋を作り上げた。農園と牧場は満足気に頷いている。
「これで出せるな!そーれ!家畜たちよ!新しい小屋だ!」
「野菜の種を蒔こうじゃないか。どんなものだろうが見捨てぬ、それがワシのモットーじゃ!」
『お肉あるー?』
「繁殖させてからだ!」
『スライムー!お肉まだだってー!』
ぷるぷると震わせるスライム、意外と知能高いなこのスライム。ツンツン突くとムッとしたのか。避けた。うん、知能高い。
『スライムってなんでも食べるんだ!俺は肉しか食えねぇからすげーよな!』
「フェレットは仲良くなるのが得意だものね。」
『えっへん!』
「おお、そうじゃ。【発明家】のやつがお嬢とゲームがしたいと言っておってのう。」
異世界の娯楽は幼い頃からお世話になっているものだ。異世界にあるという夢のようなゲーム、こちら側では出来ないような娯楽を発明家は提供してくれるのだ。ゲーム好きな発明家、口癖はウケケの青年だ。
「【発明家】おいで。」
「やーっと呼んだのか。ウケケ!」
「ごめんねしばらくの間呼べなくて。」
「婚約者の件だろ気にしてないぜ。ウケケ!俺たちは最初っから反対してたんだぜ。」
「聞いとけば良かった。」
「お、そうだ。今日はゲーム機持ってきたんだ。何する?」
「RPGしよ。」
「いいね!ウケケ!」
私が発明家とゲームしていると日本刀と裏社会が戻ってきた。
「近くに村があった。」
「あそこと取引すればいいだろうな。」
「ふぉっふぉ!流石は裏社会と日本刀じゃの。」
「我々の筋肉があってこそだ!」
「それ違うと思うぜウケケ!」
「お、発明家来てたのか。」
「てめぇの力が必要だ。」
呆れたように発明家は返事をしている。ゲームするのはやめないんだと思って見ていることにした私。
「…ゲームしてたいんだけど…まあいいか。で、何?」
「拳銃作れそうか。」
「いや僕発明するの得意だけどさぁ。そういうのは【武器商人】に言ってよ!或いは【刀工】とかさぁ!」
「あいつらは面倒だ。」
「それはそう。」
「呼ぼうか?」
「やめろやめろ、食料確保が先だ。」
「ウケケ、そういやぁフェレットのやつは?」
…あれ、本当だ。いつもならスライムと一緒に遊んでるのに。スライムに聞いてもフルフルと横に振るだけ。つまり迷子?!
「フェレットー!」
『呼んだー?』
「どこ言ってたの?!」
『うん?果物取りにいってたー。』
「ま、待て食料!」
うん?食料?思わず振り向くと小さな女の子が居た。狼耳と尻尾のある獣人ちゃんだ。
「な、人間が不毛の地に何の用だ!って…森?!さっきまでなかったぞ?!」
「あー…それは。」
「というかなんで人間が…」
『追いかけっこ楽しかった!ありがとう…えっと。』
「しょ、食料が喋った?!」
『食料じゃないぞ!俺はフェレットだ!』
「…ウルーだ。なんかすまん。」
す、素直に謝れるいい子だ!日本刀がよっていくとフェレットの後ろに隠れるウルーちゃん。隠れ切れてないよウルーちゃん。
「に、人間か?だがそれにしては…」
「ウルーとか言ったか。なんでフェレットを追いかけてやがった。」
「そ、それは…」
「ウルー!」
狼の獣人たちがやってきた。やはりと言うべきか警戒される。見るからに人間不信だ。虐げられている獣人は人間が嫌いとよく聞く。
「何故人間が…森?何故森が…」
「スライムが聖水をまいたので。」
「そんな馬鹿な!魔物が!?」
「いやそれよりも見たことないものが多いぞ?!」
「ウケケ、変なやつらだなぁ。それより怪我してねぇかこいつら。」
「【医師】!」
「ふふ、お呼びでしょうかミナ…なるほど。手当てを。」
「さ、触るな!」
「怪我をしたままでは雑菌が入ってしまいます。日本刀、裏社会、捕らえてください。」
「へいへい。」
医師は手早く医療キットを取り出し、清潔な水で傷口を洗って包帯を巻いていく。
「…金、持ってねぇ。」
「要りません。それより怪我を直して元気に過ごす事が私の願いです。」
「…変なやつら。」
「あ、あの、この人の怪我診てくれませんか?!」
「ええ、もちろん。怪我人はこちらへ、重傷者はこちらへ。」
「ボアに襲われた仲間を助けてくれ!」
「お、おい、いいのか信頼して。」
「信頼するのは後ででいい!今は仲間だ!」
「おう!」
いい獣人たちで良かった。獣人の中には悪どいことを考える人もいるから…例は私の通っていた学校の生徒。獣人が皆、悪い人ではないと改めて思った。
「…ごめんな。金があったら支払い出来るのに。」
『何かあったのか?』
「…人間にも聞いて欲しい。ここより遠くにある領地にある貴族に我々の村が襲われ、金銭を奪われた。」
「…え。」
なんだそれ。盗賊じゃない。ああ、思い出した。追放した国は人間至上主義で亜人と呼ばれる獣人たちは勿論のこと、エルフ、ドワーフなども差別対象で搾取して当たり前だと思っているんだ。相変わらず外道というべきか。
『よく分かんねぇけど巣を襲うってことはそいつら必死だったのか?』
「それはない、あいつらの領地は潤っていた。」
『それ意味ないんじゃ?』
「フェレット、意味なくてもお金をもっと欲しいっていう人間は居るよ。」
『そいつら変だな。』
「だ、だよな!変だよな!?他の国じゃそんなこと無かったから…」
「もしかして難民?」
「…うん、受け入れてくれる国がなくってさ。」
「…ここに住む?」
「え。」
ウルーちゃんは勿論のこと獣人のお爺さんからお婆さん、若い子達や青年たちは信じられないものを見る目で私を見ていた。
「い、いいの?」
「人いないし。」
「難民だが…」
「そもそもここには何もないよ?」
「そ、それもそうだが…迷惑では。」
「迷惑じゃないよ。それよりも人手が欲しいんだ。」
「そりゃそうだ。」
「荷物検査はする。」
「あ、そこはしっかりしてるんだな。」
「怪我まで直してくださっただけではなく我々の居場所まで…有難い。」
「おー、人手が多いのう。」
牧場と農園がやってきてするべきことを説明を受ける元難民たち。なんだか国が出来る前に国民が来たような気がする。
「お姉さん!ありがとう!」
…ウルーちゃんの笑顔が見れたからいいか。




