第1話何もない大地に緑が出来る
「ミナ・ロズワード!貴様を追放する!」
……何を言ってるのだろうかこの王子はと真顔になってしまうミナ・ロズワード、隣にいるのは周りからチヤホヤされる聖女様だった。リリアだったか名前は覚える気がないためスルーしたが…まさか不貞を働くとは思ってなかった。
「可愛い可愛いリリアを痛めつけ!あまつさえ手柄を横取りなど!」
してませんが?と真顔になっていた。証言のみでこの男は追放する気なのだ。しかもだ。王子と私は婚約者同士で…
「あの、殿下。私たち婚約してますよ。」
「ふん!婚約破棄に決まってるだろ!大体!貴様のようなゴミ女こっちから願い下げだ!」
はー、呆れた。あなたの父である国王様と母である王妃様に土下座されて婚約したのにその言い草はないのかと。国王様たちがいないうちに婚約破棄ですかそうですか。家族も信頼出来ない、どうせ帰ったら勘当されるに決まってる。鼻で笑うクソ王子、プリン女。その二人を支持する貴族たち…こっちから願い下げだ。
「快くお受けします。」
「な、悔しがるとかないのか貴様は!」
「ないです。」
そもそも浮気する男などこっちから願い下げだ。ならば大人しく追い出されることにする。早速実家に帰れば見下ろす父と義母の姿があった。
「レオン王子と婚約破棄したそうだな。」
「はぁ。」
「なんだその態度は!全く誰に似たのやら。勘当だ!勘当!」
そもそもこの父は婿入りで正式な跡取り息子ではないのだがという気もなれず、あるものをまとめて実家を出る。
「…なんでこう親も周りもまともなのがいないんだろ。」
『ねぇねぇ出ていい?』
「出ていいよ【フェレット】。」
『わーい!お肉ちょーだいー!』
「はいどうぞ。」
フェレットとは異世界の魔物とは異なる生き物だ。召喚した当初は魔物だと勘違いしてたけど…フェレットという概念から生まれた個体とのこと。よく分からないけども可愛いってことは分かった。
『みんな呼ばないのー?』
「うん、ここだとバレるからね。」
『分かったー。』
そう私のスキルは【概念召喚】、異世界という世界にある人、物、動物などが概念として集まり、人や生き物の形として召喚出来るのだ。まあつまり…
「ここから追い出されても平気なんだよねー。」
『こうおー?って人とおーひ?って人は気がついてたのにねー。』
「本当にそう。」
概念召喚の真の価値を知った国王様と王妃様はレオン王子の婚約者にふさわしいと婚約していたんだけど…あの人マジで気がついてなかったとは。呆れた。何度も聞かされてたのにアホらし。
『僕戻るねー。』
「うん。」
スッと消えていく。いつも思うのだけど召喚した概念を司る猛者たちは何処にいるのだろうかと思っていたら着いたらしい。着いて早々蹴り飛ばされたけど。
「野垂れ死ぬのなら野垂れ死ね。」
そう言い残して馬車を走らせた。うーん、この。
「真っ正直過ぎる。というか会ったことないのによくもまあ貴族相手に…」
「…よぉ。」
白い髪赤い瞳の美丈夫、武器を腰にぶら下げている男の名は【日本刀】。武器の名前は日本刀で、正式な名前があるらしい。
「日本刀どうしたの?」
「どうしたのじゃねぇ。なんで呼ばねぇ…あれはてめぇに殺意向けてたんだが?」
やれやれ過保護な召喚者だ。最初に呼んだのは幼い頃、親代わりに育ててくれたのもこの日本刀だ。頭を搔く日本刀は座り込む。
「…で、ここに国を建てていいんだな。」
「そうみたい。」
「はん。あいつらは偶にはいい事やるじゃねぇか。」
「…その前に家が欲しい。おいで【小人】。」
<わーい!でばーん!>
「家建てられる?」
<建てれるー!>
小人は仲間を呼び、建築していく。小人の得意分野は作業系だ。作業と分類されるのであれば建築だろうがなんだろうが出来てしまうのだ。
<出来たー!>
「ありがとう。」
「…で、他の連中も呼ぶのか。」
「うん。」
「…はー、まあいいが。」
「おいで【裏社会】。」
黒いスーツ、美形な顔つきと黒い髪の男の名は裏社会。裏社会そのものを司る猛者の一人である。目を見開き、馬車が走っていくのを睨んでみていた。
「殺す。」
「殺さないで。面倒だから。」
「…ちっ。」
「裏社会。どーするよ。ミナを王にすっか?」
「するに決まってるだろ。」
「はは、そりゃいいね。全員賛成だろうよ。」
幼い頃から共に居た概念たちはどうやら私を王にするべく立ち上がったようだ。私はまあ…何かしながら待ってようと思った。
『ミナー!なんか捕まえた!』
「フェレット何捕まえたの?」
『ぷよぷよしたやつ!』
「スライム?」
『ミナ、こいつと仲良くなったから遊んでいい?』
「うんいいけど。」
『やったー!ってあれ?スライムの下から緑が出てるよ?』
「え。」
スライムはなんでも食べるとは聞いていたが瘴気まで食えるの?と気になりみてみることに。
「スライム、何か食べた?」
『運んでいた水が落ちてきてそれを吸収したら緑が出来るようになったってさ。』
うん?それって…
「聖水ってやつじゃねぇか?」
「それをうっかりこぼしたのならば仕方がないな。」
「凄い悪い顔してるよ。」
「はは、まさか。」
「撒いてみろ。」
『水を撒ける?あ、まけるんだ。頑張れ!』
スライムから水…もとい聖水が出てきて浄化していく大地。スライムは疲れたのか切り株の上に座っていた。
「ありがとうスライム。」
『ありがとー!』
「ま、とりあえず国が出来る準備は出来たわけだ。」
「本気だこの人。」




