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小説の先にある世界  作者: 藤咲玲


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第67章:刀と詠唱の浪漫的偽装(ロマン・パッチ)

 クナイの格納を終えた俺は、さらに鍛冶屋の親父へ次のオーダーを叩きつける。


 やはり、元日本人の男として「ブレード()」を定義するならば、行き着く答えは一つしかない。


「親父、次はこれだ。反りのある片刃の剣――『(かたな)』を大小一対、鍛えてもらう」


 提示した設計図を前に、親父がうなる。この世界にはない、絶妙な湾曲(反り)を持つ美しい肉厚の片刃。職人技によって生み出される、刀身に薄っすらと浮かび上がる波紋(はもん)の階調は、それ自体が完璧な芸術品のようだ。


 ただし、俺の運用思想は伝統的なサムライのそれとは異なる。


 二本差し(にほんざし)として腰に二振りを並べるのではない。大刀は背中に、脇差(小刀)は腰に()げる変則スタイルだ。


「侍と忍者の中間に位置する、隠密性と一撃必殺の空間戦闘を両立したハイブリッド・フレーム……。フッ、完璧なシルエットだな」


 さらに言えば、この仕様には重大な「詠唱パッチ」の適用を予定している。


 これから旅の道中、最適化された四大元素の魔法をトリガーする際、あえて「火遁(かとん)の術」や「水遁(すいとん)の術」とチャネリング(呼称)して出力するのだ。


 ただの属性魔法の正規運用を、わざわざ東洋の秘術っぽく偽装する――うん、完全に中二病(黒歴史)のそれだ。 


 効率化には一ミリも寄与しないが、精神的モチベーションのロマン(維持)という観点において、このバッファは必要不可欠なのである。


「……おいアレン、お前さっきから『血に飢えてる』だの『〇遁』だの、ブツブツ不気味な呪文を呟いてるが大丈夫か? やっぱり聖女様に頭の治療(ヒール)してもらった方が……」


「問題ない、親父。これは俺の演算領域を安定させるための、一種のルーティン(自己暗示)だ。この刀、急ぎで頼む」


 手付金をカウンターに滑り込ませ、俺は満足感と共に鍛冶屋の戸を開けた。


 これで近接・中距離の物理アセットは揃う。あとは、この見窄(みすぼ)らしい初期装備の防具をどうハックするかだな。


【武器】:ナックルクナイ×2(新規取得・アルミナコーティング)

【武器】:カスタム大刀&小刀(オーダーメイド・波紋仕上げ)

【防具】:(※要選定・アップデート待ち)




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