第27章:剣術修行編 七日間の地獄(指導1:体幹と基礎体力)
演習場の喧騒から離れた早朝、ガルド教官は俺をただの広場へと連れ出した。
木剣を渡されることもない。
「剣を振りたいか? 笑わせるな」
ガルドは冷徹に言い放った。
「まずは、その軟弱な体幹を叩き直す。七日間、他のカリキュラムはすべて免除だ。これ以外は何もするな」
指導は単純かつ、拷問に近いものだった。
指定されたのは、地面に敷かれた不安定な砂地での重心維持と、極限まで低く構えた中腰の姿勢での静止。わずかでも重心が揺れれば、背後に立つ教官の竹刀が背中を打ち据える。
一分と経たずに太ももが痙攣し、三日目には全身の筋肉が拒絶反応を起こした。
呼吸を整え、体幹を締め上げる。魔法の魔素循環など、この筋肉の悲鳴の前では何の効果もない。ただ、内側の筋肉を意識し、大地に根を張るように立ち続ける。
四日目。
動きに「芯」ができ始めた。以前は踏み込むたびに上半身がブレていたが、体幹が固まったことで、足裏からの反作用がダイレクトに上半身へと伝わる。
六日目。
砂地でのバランスが安定する。視線がブレなくなった。
かつては重りをつけて動くような違和感があったが、今や自分の肉体が、一つの独立した「機構」としてまとまりを見せ始めている。
「……様になってきたな」
七日目の夕暮れ、教官が初めて短くそう呟いた。
七日間、ただ立っていただけ。だが、その七日間で、俺の身体は「剣を振るための土台」という最低限のスペックをようやく手に入れた。
俺は、震える足で深く一礼した。




