第15章:旅立ちの計算
アレンは宿の自室で、最後の手入れを終えた剣を鞘に収めた。
(馬車代で銀貨2枚。学園では無料の講義枠を徹底的に利用する。これで手元には銀貨12枚と銅貨40枚が残る)
大部屋は安上がりだが、装備を盗まれるリスクや、疲労を蓄積させる騒音は回避したい。個室で確保する静寂と防犯は、彼にとって妥協できない条件であった。
彼は窓から差し込む朝の光を見つめた。
無料の講座には、相応の制限や質の差があるはずだ。行って確かめるしかない。
「まずは、移動だ」
アレンは部屋を出て、鍵をフロントに返すと宿を後にした。
街のメインストリートへ出ると、早朝の空気に馬車の蹄の音が響いている。
目的地であるオルフェリアまで到達し、学園の門を叩くこと。今の彼にとって、それがすべてだ。
(出来る限り戦闘は控えたい。余計な体力を削る必要もない)
街道の先から馬車が近づいてくる。アレンは懐の銀貨を指で確認し、目的地へ意識を集中させた。
学園での生活費、数ヶ月の食費、そして知識への投資。
現在の所持金だけでは確実に底を突く。オルフェリアに到着次第、すぐに次の『効率的な金策』を組み立てる必要があるな。……馬車を待つ間も、彼の思考は止まない。
無用な争いや寄り道を避け、ただ自分の未来のために歩む。
アレン・ノアの旅は、極めて静かに、そして確実にオルフェリアへと向かっていた。




