毒された証拠
ヴァルカス男爵と謎めいた「ブローカー」を敵と特定して以来、ケイランとグラッカは新たな緊張感を経験していた。それは、自らが狩られる側でもあると自覚した狩人の、張り詰めた警戒心であった。敵はもはや遠い脅威ではなく、目と鼻の先に監視の目や耳、そして凶刃を振るう手先を潜ませているかもしれない。その生々しい認識が、ストーンゲート砦の中での彼らの動きを一層用心深いものにしていた。彼らの交わす言葉は依然として実務的で短かったが、その内容は戦略に焦点を絞ったものへと変化していた。どうすればヴァルカスのブローカーとの繋がりを確証できるのか? これ以上自分たちの手を明かすことなく、シャドウピーク山脈におけるブローカーの活動に関する有効な情報を得るにはどうすればいいのか?
ケイランは最も信頼する斥候を通じ、慎重に言葉を選んだ暗号通信を首都へ送った。ヴァルカスへの疑念と、陰謀の可能性を伝え、警戒を促すためだ。しかし、距離と妨害の可能性を考えれば、王家の支援に頼るのは時間のかかる、不確実な賭けであることも承知していた。一方、グラッカはボルグとその手下たちを使い、砦の近くを通りかかるゴブリンの商人や旅人から漏れ聞こえる情報のかけらに耳をそばだてていた。ブローカーや追跡者クラッグに関するどんな些細な噂でも捉えようというのだ。だが、その試みは影の地図を描こうとするようなもので、苛立たしいほど手応えがなかった。得られる情報の断片はどれも曖昧で信憑性に欠け、あるいは罠である可能性すらあった。彼らは敵が次の一手を示すのを待つしかない、受動的な警戒状態に囚われていた。
敵は、彼らを長く待たせることはなかった。次なる一手は、矢や刃による直接的な攻撃ではなく、ストーンゲート砦の内部にすでに生じていた不信の亀裂を狙った、遥かに巧妙な策略だった。それは西の穀物庫近くで起きた些細な騒動から始まった。夜の間に錠前が一つ、専門的な技術でこじ開けられているのが発見されたのだ。しかし、何かが盗まれた形跡はなかった。ヴォーラグ隊長は直ちに周辺の捜索を命じ、そのわずか数分後、警邏隊が錠前の近くに置かれた物資の樽の下から、小さな革袋を都合よく「発見」した。
ヴォーラグ自らが、厳しい達成感を仮面のように浮かべた表情で、その革袋をケイランの元へ運んできた。「ご懸念の通りでした、ケイラン卿」と、彼は抑えきれない怒りで張り詰めた声で言った。「裏切りです」そして、袋の中身を慎重にケイランの机の上へとぶちまけた。
中から現れたのは、数枚のずっしりと重い、奇妙な意匠の硬貨だった。王国の通貨よりも粗雑な作りで、シャドウピークのような法なき辺境地域で取引の印として使われる、見慣れない山のシンボルが刻まれている。そして硬貨の傍らには、粗末になめされた皮の切れ端が折り畳まれて置かれていた。ケイランがゆっくりとそれを広げる。そこには、不格好で角張った文字が書きなぐられていた。ゴブリンの筆跡を思わせるが、不完全な共通語で書かれている。内容は、金銭(例の特殊な硬貨のことだろう)の受領を認め、「次の合図」への準備が整ったことを示し、そして「鉄の皮ども」が「真の攻撃」を予期せぬよう万全を期す、といったことが乱暴にほのめかされていた。署名として、ゴブリンの牙の紋章に似ているが、意図的にか、わずかに歪んだ形のシンボルが刻まれていた。
表面的に見れば、それは決定的だった。小規模な破壊工作の現場近くで発見された、陰謀と次なる襲撃を裏付けるメモ、シャドウピークとの繋がりを示唆する硬貨、そしてゴブリン風の署名。ヴォーラグや、すでに疑心暗鬼に陥っていた守備隊の兵士たちにとって、それは議論の余地のない証拠に映った。
「穀物庫の錠前の側で発見されました、サー」ヴォーラグは鋼のような視線でケイランを射抜き、畳み掛けた。「山脈の協力者からの報酬であることは明白。新たな襲撃の準備です。我々は直ちに行動を起こさねばなりません。グラッカ夫人を拘束し、奴らが完全に牙を剥く前に、その手下どもの武装を解除するのです! この砦を守るのは、あなたの、そして我々の責務です」ヴォーラグの後ろに集まった他の将校たちの顔にも、彼と同じ確信と憤りが映し出されていた。ケイランは、瞬時にして凄まじい重圧に晒された。
机の上の品々を睨みつけながら、ケイランの思考は猛烈な速さで回転していた。状況は最悪に見えた。メモの粗雑さ、硬貨へのあからさまな言及は、ゴブリンの伝達方法や傭兵の活動に対する人々の先入観に完璧に合致していた。だが、彼の心の内で警鐘が鳴り響いていた。あまりにも、都合が良すぎる。グラッカほどの合理的な共謀者が、これほど発見されやすく、罪を証明するような手紙を用いるだろうか? ケイランが学びつつあったゴブリンという種族は、こんな置き手紙に頼りはしない。彼らは信頼する仲間内でのみ交わされる、微かな合図や記憶、そして口伝を重んじる。ましてや、鋭い実用主義者であるグラッカが、秘密が肝心な時に、追跡されやすい珍しい硬貨で取引をするだろうか? どうにも腑に落ちなかった。彼女が用いた緻密な道標や、人間の「騒々しく無意味な身振り」を真っ向から否定した時のことを思い出す。この野蛮な手紙は、人間が「ゴブリンの裏切り」とはこういうものだろうと想像して作り上げた、稚拙な模造品のように思えた。
以前に受けた、周到に計画された奇襲の洗練さを思い返す。それに比べ、これはあまりにも芝居がかっていて素人じみている。仕組まれたものだ。まさにこの反応を引き出すために、彼らが真の外部の脅威に気づき始めたこの時期に、内部から同盟を破壊するために、ケイランにグラッカへの不信を抱かせるために。ヴァルカス。ブローカー。この一件には、彼らの狡猾な指が見え隠れしていた。
ケイランが疑念を口にするより早く、執務室の扉が勢いよく開け放たれた。ボルグを傍らに、グラッカが立っていた。その手は肉切り包丁の柄を握りしめ、瞳には冷たい炎が燃えている。騒ぎや衛兵の動き、砦に漂う空気の変化に、彼女が気づいていないはずはなかった。その視線は机の上の品々を素早く捉え、そして探るように、問いただすようにケイランの顔に突き刺さった。「また人間の嘘か?」彼女は危険なほど低い声で唸った。「この…汚物を信じるのか?」裏切りを確信した彼女は、力ずくでこの場を切り抜ける覚悟を固め、暴力の瀬戸際に立っていた。
全ての視線がケイランに集中した。彼の将校たちは、逮捕命令を待っている。グラッカは、裏切りの確証を待っている。彼の次の言葉が、同盟の、そしてこの砦にいる全員の運命を決定づけるだろう。彼はヴォーラグの要求するような目と、グラッカの猜疑心に満ちた目を順に見つめ、息を吸った。
「ヴォーラグ隊長」ケイランは言った。その冷静で落ち着いた声は、氷のような権威で部屋の緊張を切り裂いた。「この…『証拠』を確保しろ」彼は革袋とその中身を指差す。「さらなる調査が必要だ」
「ケイラン卿!」ヴォーラグが抗議の声を上げ、一歩前に出た。「証拠は明白です! 我々は彼女を拘束せねば…」
「証拠は」ケイランはヴォーラグの言葉を鋭く遮った。「都合が良すぎる。奇妙なほどにな。我々がヴァルカス男爵のような外部の敵を認識し始めた、まさに緊張が最高潮に達したこの瞬間に現れた。まるで、我々の先入観を肯定し、グラッカ夫人を告発するために用意されたかのようだ」彼は、驚きと怒りに満ちた部下たちの顔を見渡した。「密な連絡のために複雑な道標の体系を用いるグラッカ夫人が、小規模な破壊工作の現場近くに、追跡可能な通貨を添えて、このような稚拙な書き置きを残すとは、私には到底信じがたい」
彼はヴォーラグに視線を戻した。「我々が追い求める敵そのものによって仕掛けられた可能性が高い、この粗雑な証拠によって、私が王の平和を破ることはない。この発見を理由とした逮捕は許可しない。無論、警備は強化しろ。警戒も怠るな。関係者への聞き取りも行うがいい。だが、グラッカ夫人、あるいは彼女の戦士たちに対するいかなる行動も、憶測ではなく、検証可能な証拠に基づいた私の直接命令がない限り、固く禁ずる」ケイランはヴォーラグの強い視線を真正面から受け止め、隊長が不承不承、反抗的に視線を逸らすまで、そのままでいた。
ケイランは一線を画した。彼は部下たちが証拠を捏造したと非難したわけでも、グラッカの無実を断定したわけでもない。ただ、額面通りに汚された証拠を受け入れることを拒否し、安易な物語よりも、自らの判断と、育ちつつあったグラッカへの理解に、暗黙の信頼を置いたのだ。彼は、偽の証拠の出所を調査する間、全員を監視下に置くため、全部隊の警備を強化するよう命じた。
部屋は、人間たちの声なき敵意と、グラッカとボルグの驚愕に満ちた沈黙に包まれた。ケイランは、守るべきゴブリンが肉切り包丁を手に成り行きを見守る中で、守備隊の将校たちの意見を公然と退け、彼らが明白だと信じる証拠に疑義を呈したのだ。彼は自らの民が抱く馴染み深い偏見よりも、維持を命じられた複雑で矛盾に満ちた同盟という現実を、ためらいがちにではあるが、選んだ。敵の巧みな一手に乗ることを拒否したことで、ケイランは自らが負う危険を劇的に高め、そしておそらくは、この王国で最もあり得ない、認められることのない同盟関係を、確固たるものにしたのであった。




