白いクマ子ちゃんの提案
※白いクマ子ちゃんは優しい女の子で機転が利きます。
今回も素敵なアイデアが閃いたようです。
✧ ✧ ✧ ✧
お店の厨房には、黄色いクマさんと白いクマ子ちゃん、黒クマ君、さらにルリとアオの兄弟クマがいました。
台所の流し台には兄弟クマが採ってきた、ふきのとうが何十個も置いてありました。
小さくてまあるい球体をした、ピカピカのふきのとう。
きみどり色の可愛いつぼみは、“春が来たよ”とほほえんでいるかのようです。
「おお、これは随分と、たくさんのふきのとうだな。それも採り立てのホヤホヤだね!」
黄色いクマさんは瞳を輝かせて、ふきのとうをひとつずつ吟味しながら喜んでいます。
「エヘヘ凄いでしょう叔父さん、ここにいる、ルリクマ君とアオ君が裏の林道で採ってきたのよ」
「ああ、あそこの林はふきのとうが良く取れる場所だ。うんうん葉もよく閉じていて、つぼみがぎゅっとしている。これは一番うまい頃だな」
と黄色いクマさんは、ふきのとうを満足げに見てニヤニヤしています。
「それで、どうかしら叔父さん。このふきのとうを買ってくれないかしら?」
「え、白いクマ子さん、それは悪いよ!」
白いクマ子ちゃんの側にいた、ルリクマ君がギョッとしました。
「ふきのとうなんて普通、村では自分で取って食べるもんだ。せいぜい街の市場でないと買ってくれないよ……」
「いや、よかろうシロちゃん。私が買うよ!」と黄色いクマさんは即答で返事をしました。
「え?」
「本当、叔父さん!」
ルリクマ君は驚き、白いクマ子ちゃんはその場で飛びあがって喜びました。
「ああ、私も生誕祭が終わったら明日にでも、ふきのとうを採集するつもりだったんだ、もたもたしていると、ふきの花が開花してしまうからね。うん、これだけあれば十分だ。ルリクマ君とやら、街の市場に売るなら私に売ってくれんかね?──市場より高い金額で買い取るよ!」
「ええ? それは願ったり叶ったりですけど。あの……いいんですか?」
「いいとも! 私はふきのとうの天ぷらやスープが大好物なんだ。この時期はふきのとうを毎年採っている。でも、私だけではこんなにたくさん、ふきのとうは採れないからね。この量ならピクルスなど保存食も作れる。大助かりだよ」
「ありがとう叔父さん! ルリクマ君、アオ君良かったわね!」
「うん白いクマ子さん、店長さん、ありがとうございます」
強面だったルリクマ君の表情も、ようやく綻んできました。
「わ~いお兄ちゃん、わざわざマチまでに売りに行かなくてよかったね!」
弟のアオ君も、おおはしゃぎです。
「ああ、そうだなアオ」
ルリクマ君はうれしそうに、弟のアオ君の頭をなでなでしました。
✧ ✧
こうしてルリクマ君とアオ君が採ったふきのとうを、黄色いクマさんに買ってもらいました。
そのお金で、兄弟クマは白いクマ子ちゃんと黒クマ君と一緒に、遅めのお昼をたっぷり食べました。
アオ君はとてもマフィンが大好物だったのか、小さい体なのに3個も平らげました。
また黄色いクマさんは兄弟クマの為に、春リンゴの上にアイスクリームを上乗せしたコンポートのデザートも添えてあげました。
「うわあ、このリンゴの上のアイスクリームすごくおいしい!」
「白いクマ子ちゃん、僕も初めてアイスクリームを食べたよ、口に入れたとたんに溶けるんだね!」
アオ君と黒クマ君が口々にいいました。
2頭ともリンゴをモグモグとほおばり、アイスクリームを不思議そうに見つめていました。
「そうでしょうアオ君、黒クマ君。私の叔父さんは魔法使いだから、お店には冷凍庫もあるのよ。だから1年中アイスクリームを作って食べれるの!」
と白いクマ子ちゃんは、得意げに叔父さん自慢をし始めました。
「ふぁあ……まほうつかい!」
「へえ店長って冷凍庫もつくれるのか、本当に凄い魔法使いなんだね」
黒クマ君もアオ君も、口いっぱいアイスクリームを、ペロペロなめながら目を丸くしました。
そもそもアイスクリームなんて王都民ですら、めったに食べれない特別なデザートなのです。
ルリクマ君は黙って聴きながらも、もぐもぐとマフィンも食べて、スープもリンゴもぺろりと、あっという間に平らげました。
食後はアカシア茶の香りをたしなみながら、美味しそうに飲んでいます。
どうやら一番、お腹が空いていたのは、ルリクマ君でした。




