子グマの兄弟、ルリとアオ
※白いクマ子ちゃんと黒クマ君がお昼休憩をしていた時に、黒クマ君のマフィンが何者かに盗まれました。犯人を追いかける黒クマ君です。
※2026/4/17 修正済み
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「よし、つかまえた!」
「あ~ん、はなせよ~!」
黒クマ君はヨタヨタと柵を通ろうとしていた、水色の子グマをがっしりと飛び付いて捕まえました。
「あ!」
その拍子に子グマが掴んでいたマフィンが、コロコロと地面に転がっていきました。
「?」
転がったマフィンをそっと拾う、一頭の若いクマがいました。
それはそれは、とても珍しい瑠璃色が美しい強面のクマで、古びた赤いリュックサックをしょっていました。
黒クマ君よりずっと背が高い少年クマでした。
「あ、お兄ちゃん!」
水色の子グマが叫びます。
「アオどうした?」
「助けて、こいつがボクをいじめるんだ!」
「え、何言ってんだ、お前がマフィンを盗んだんだろう?」
「盗んだ──?」
瑠璃色のクマは驚きましたが、黒クマ君が掴んでいる子グマをいとも簡単に、ひょいと掴んであっさりと奪いました。
なんとまあ凄い力持ちです。
「何すんだよ!」
子グマを奪われた黒クマ君はムッとします。
「悪いが、こいつはオレの弟なんだ!」
「うっ!」
瑠璃色のクマが、黒クマ君を鋭く睨みつけたので、一瞬ひるんでしまいました。
「黒クマ君、どうしたの?」
「白いクマ子ちゃん!」
白いクマ子ちゃんが、黒クマ君たちの側にやって来ました。
そして瑠璃色のクマを見て、白いクマ子ちゃんは驚きました。
「あ、ルリクマ君──?」
「あれ、白いクマ子さん?」
白いクマ子ちゃんと、瑠璃色のクマは顔を見合わせました。
「え、知り合いなの?」
黒クマ君がキョトンとして2頭を見つめます。
「ええ、彼はルリクマ君。となり村の中等学園の3年生よ、先月合同中学のバザー大会の役員で知り合ったの」
「え、そうなの?」
黒クマ君はびっくりしました。
「ここは君の家なの?」と瑠璃色のクマがたずねました。
「いいえ、叔父さんのお店よ。でもなんでルリクマ君がここにいるの?」
「いや、この近くの林でふきのとうを採りにきたんだ。そしたら突然弟がいなくなって探しにきたんだよ」
「まあそうだったの。へえ、この小さな可愛い子がルリクマ君の弟さんなのね、ウフフ可愛い。よろしくね」
と白いクマ子ちゃんは、よいしょと屈んでルリクマの後ろに隠れてる、水色の子グマに手を差し伸べました。
「君のお名前なんていうの?」
「ボクの名まえ……アオだよ」
「そうアオ君、可愛い名前ね。私は白いクマ子っていうのよ」
アオといった水色の子グマは、白いクマ子ちゃんの顔を見つめるとぽおっと頬を赤らめました。
そのまま、もじもじと前に出て白いクマ子ちゃんの手を握りました。
「白いおねえちゃん、ピンクのおリボンつけてかわいいね。ボクの花よめさんになって!」
「まあ、おませさんね~!」
と白いクマ子ちゃんがカラカラと笑いだしました。
「ちょっと白いクマ子ちゃん、こいつ盗人だよ!」
黒クマ君はカンカンに怒りました。
水色のチビクマがとっても、ませてると思ったからです。
「まあまあ、黒クマ君、こんな小さな子に“盗人”なんて酷いわ。きっとお腹がとっても空いてたのよね~!」
「うん、ボクずっとふきのとうを、朝から取ってたから、おなかペコペコだったの。そしたらふきのとうのスープのおいしい香りがして、ここにきたら、マフィンがたくさんあったから食べたくなったの」
「そうなんだ、可哀そうに……」
白いクマ子ちゃんは水色の子グマの頭をなでなでしました。
「もう白いクマ子ちゃんたら!」黒クマ君はまだふて腐れてます。
「弟のアオが悪かったな、お金を払うからどうか許してくれ」
と瑠璃色のクマが黒クマ君に詫びました。
「あ……いやそのマフィンは叔父さんの店のだし」
黒クマ君は、強面の瑠璃色のクマが、素直に謝ってきたのが少し意外でした。
「とりあえず、ルリクマ君。せっかくだから、あちらのテーブルにいきましょう、私たちお店のお手伝いしてて、お昼休憩してたの。マフィンは沢山あるから、よかったら一緒に食べましょう」
「わあい、お兄ちゃんよかったね!」水色の子グマは大喜びです。
「え、でもそんなにお金持ってないんだ……ふきのとうを採りにきただけで……」
ルリクマは少し困った顔をしました。
「私たちが食べる量のマフィンを分けるから気にしないで」
「でも、それは悪いよ。それにオレらは物乞いじゃない」
ルリクマは少しだけ白いクマ子ちゃんに声を荒げました。
「あ……ごめんなさい」
白いクマ子ちゃんは少し戸惑いました。
「ほらアオ、行くぞ。もう少しふきのとう取らないと町で売れないからな。兄ちゃんのビスケットやるから我慢しろ!」
「ええ、ヤダヤダ。パサパサのビスケット、おいしくないもん!」
「わがままいうな!」
とルリクマは子グマの手をつかみました。
「え~ん、ヤダヤダ。ボクつかれた。お腹もすいたよお~!」
水色の子グマは泣き出しました。
「いいから!あ、マフィンいくらだっけ。悪いが銅貨2枚くらいしかないけど」
とルリクマ君はズボンのポケットからお金を出しました。
「そんな、いいわよ。それにマフィンは私たちのじゃないもん!」
「でもアオが、こいつのマフィンを取っちまったんだろう?」
ルリクマ君は黒クマ君を見つめました。
さすがの黒クマ君も、弟の子グマが強面の兄クマにひっぱられて泣いてる姿を見て、何やら不憫に思えてきました。
「あ、だったらこうしたらどうかしら?」
と白いクマ子ちゃんが、またもや何か閃いたのか、とびきりの笑顔になりました。
※マフィンを盗んだ子グマの兄は、白いクマ子ちゃんの知り合いだったんですね。
※白いクマ子ちゃんは、何かアイデアが閃いたようです。
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