お店を手伝う兄弟クマ
2026/4/17 修正済
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お昼をとった後、黄色いクマさんはルリクマ君を厨房に呼びました。
「はい、これは僕からの生誕祭のおみやげだよ。今作ったばかりの出来たてはちみつケーキだよ」
といって黄色いクマさんは、ルリクマ君に、はちみつケーキまでプレゼントしてくれました。
「わあ店長、ありがとうございます!」
この時初めて強面のルリクマ君の顔は、くしゃくしゃの笑顔となりました。
ルリクマ君のお母さんは、はちみつケーキが大好物だったからです。
それでも、はちみつケーキはとっても高価なので、ふきのとうを売ったお金ではとても買えませんでした。
ルリクマ君ははちみつケーキのお礼にと、黄色いクマさんに頼んでお店のお手伝いを願い出ました。
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再び午後からアカシアはちみつ店が営業が再開しました。
午前中ほどではありませんが、クマ客たちがぞろぞろとお店の前で待っています。
ルリクマ君は、ケーキを買いに店内に入ってきたクマ客たちに手渡す、買い物袋にケーキを入れる係りを担当しました。
おかげで白いクマ子ちゃんは他の商品の注文と、お金を貰う会計だけに集中できて大助かりです。
弟のアオ君も「ボクもなにか、おてつだいがしたい!」といって、黒クマ君が担当する庭で待機している客クマたちへ、お茶を運ぶお手伝いをしました。
最初、アオ君は空をブンブン飛びながら、客クマたちに給仕するエプロン・ミツバチにびっくりして目が回りそうになりました。
それでも黒クマ君と一緒に、白いエプロンをつけたアオ君は客クマたちの席の案内や、カップやお皿を拭いたり、後片付けなどをして、小さな体でちょこまかと働いてくれます。
黒クマ君も初めはマフィン泥棒をしたアオ君に、必要な事だけ指示して冷たい感じでしたが、小さなアオ君が、失敗しながらも懸命に手伝ってくれるので、いつしか心がホッコリと優しく接するようになりました。
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そしてアカシアはちみつ店の尖がり屋根に黒いカラスが止まり、カーカーと鳴きだしました。
いつしか空一面に夕暮れ茜色に染まり出した頃。
はちみつケーキも予約を含めて1000個以上、全て売り切れました。
大勢の客たちがいなくなると、アカシアはちみつ店も閉店しました。
ルリクマ君とアオ君も、となり村へ帰る時間が来ました。
白いクマ子ちゃんと黒クマ君が、兄弟をお店の外まで送ります。
黄色いクマさんは、店内で今夜の自宅パーティー用のはちみつケーキを作るために厨房にいました。
白いクマ子ちゃんたちの家族と一緒に、生誕祭をする為です。
黄色いクマさんは兄弟クマに「今夜は生誕祭の花火が村で観れるから、夕食を食べて花火を見ていったらどうかね」
と誘ったのですが、ルリクマ君は「家で母がお祭りのご馳走を作って待っているから帰ります」とていねいに断りました。
何でもルリクマ君たちのお父さんは去年、病気で亡くなったそうです。
今はお母さんが一家の家計を支えています。
ルリクマ君はお母さんが働きすぎて、病気にならないか、とっても心配していました。
お母さんはお父さんが亡くなった後、村の洋品店の売り子で朝から夕方まで働いて、子供たちを育てていたのです。
ルリクマ君は中等学園を卒業したら、進学せずに街の大きな商会の店員として働き始めると、白いクマ子ちゃんに伝えました。
ルリクマ君は若いながらも、大商会の店員試験を受けて合格しました。
その事を聞いた白いクマ子ちゃんは、大きく溜息をつきました。
「ルリクマ君、私とっても残念だわ。もう村の学園の合同バザーや、近隣村で集う学校行事で会えないなんて」
「うん、バザーは楽しかったね」
「ルリクマ君は生徒会長までして優秀なのに……高等学園に進学しないなんて勿体ないわ」
と白いクマ子ちゃんはしごく残念そうにいいました。
「うん。でも勉強は働きながらもできるよ。今は働いて少しでも母さんを楽にさせたいんだ」
といって爽やかな笑顔を見せるルリクマ君。
白いクマ子ちゃんは、そんな大人びたルリクマ君を見てると、ちょっと心臓がキュンと締め付けられました。
2頭の話を聞き耳を立てていた黒クマ君は、白いクマ子ちゃんの哀しい表情を見て、少しだけ心がザワザワしました。
アオ君もこの秋から村の小学校に通うそうです。
「クロお兄ちゃん、またボクと遊んでね!」
アオ君が黒クマ君にぎゅっと抱きつきました。
黒クマ君とアオ君は、一緒にお庭の客クマたちの世話をしたせいか、すっかり打ちとけて仲良くなりました。
「ああ、いいよアオちゃん。またおいでよ、一緒に遊ぼう!」
「うん、やくそくだよ!」
とアオ君と黒クマ君は、指切りげんまんをしました。
「白いクマ子さん、今日は色々とありがとう!はちみつケーキまで貰えるなんて、とっても嬉しいよ。全ては君のおかげだ!」
ルリクマ君も白いクマ子ちゃんに手を差し伸べたので、白いクマ子ちゃんも快く握手をしました。
「あら、タダであげたんじゃないわ。ルリクマ君がお店のお手伝いしてくれたお駄賃だもん」
「うん、そうだけど……会った時、俺は物乞いじゃないて、君にキツイこと言ってゴメンな」
ルリクマくんは照れくさそうに謝りました。
「そんな事、私、全然気にしてないわ、それより、またこの村に来たら一緒にお茶しましょうね」
「うん、また休みになったらアオと来るよ」
「きっとよ、絶対来てね」
「ああ、絶対に来るよ」
白いクマ子ちゃんとルリクマくんは、笑顔になりました。
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「「気を付けてね~」」
「「さよなら~」」
白いクマ子ちゃんと黒クマ君は、ルリとアオの姿が緩やかな丘を下っていくまで、ずっと手を振っていました。
こうしてルリとアオの兄弟クマは、となりの村へと帰っていきました。
※ルリとアオは大好きなお母さんに、はちみつケーキをお土産に持っていけて良かったです。
次回が最終回で~す。(^.^)/~~~♪




