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アカシアはちみつケーキとクマ王国のお祭り  作者: 星野 満


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10/11

お店を手伝う兄弟クマ

2026/4/17 修正済

 ✧ ✧ ✧ ✧



 お昼をとった後、黄色いクマさんはルリクマ君を厨房に呼びました。


「はい、これは僕からの生誕祭のおみやげだよ。今作ったばかりの出来たてはちみつケーキだよ」

 といって黄色いクマさんは、ルリクマ君に、はちみつケーキまでプレゼントしてくれました。


「わあ店長、ありがとうございます!」

 この時初めて強面(こわおもて)のルリクマ君の顔は、くしゃくしゃの笑顔となりました。


 ルリクマ君のお母さんは、はちみつケーキが大好物だったからです。

 それでも、はちみつケーキはとっても高価なので、ふきのとうを売ったお金ではとても買えませんでした。


 ルリクマ君ははちみつケーキのお礼にと、黄色いクマさんに頼んでお店のお手伝いを願い出ました。


 ✧ ✧ 



 再び午後からアカシアはちみつ店が営業が再開しました。

 午前中ほどではありませんが、クマ客たちがぞろぞろとお店の前で待っています。


 ルリクマ君は、ケーキを買いに店内に入ってきたクマ客たちに手渡す、買い物袋にケーキを入れる係りを担当しました。


 おかげで白いクマ子ちゃんは他の商品の注文と、お金を貰う会計だけに集中できて大助かりです。



 弟のアオ君も「ボクもなにか、おてつだいがしたい!」といって、黒クマ君が担当する庭で待機している客クマたちへ、お茶を運ぶお手伝いをしました。


 最初、アオ君は空をブンブン飛びながら、客クマたちに給仕するエプロン・ミツバチにびっくりして目が回りそうになりました。


 それでも黒クマ君と一緒に、白いエプロンをつけたアオ君は客クマたちの席の案内や、カップやお皿を拭いたり、後片付けなどをして、小さな体でちょこまかと働いてくれます。


 黒クマ君も初めはマフィン泥棒をしたアオ君に、必要な事だけ指示して冷たい感じでしたが、小さなアオ君が、失敗しながらも懸命に手伝ってくれるので、いつしか心がホッコリと優しく接するようになりました。



 ✧ ✧



 そしてアカシアはちみつ店の尖がり屋根に黒いカラスが止まり、カーカーと鳴きだしました。

 いつしか空一面に夕暮れ茜色(あかねいろ)に染まり出した頃。


 はちみつケーキも予約を含めて1000個以上、全て売り切れました。

 大勢の客たちがいなくなると、アカシアはちみつ店も閉店しました。


 ルリクマ君とアオ君も、となり村へ帰る時間が来ました。

 白いクマ子ちゃんと黒クマ君が、兄弟をお店の外まで送ります。


 黄色いクマさんは、店内で今夜の自宅パーティー用のはちみつケーキを作るために厨房にいました。


 白いクマ子ちゃんたちの家族と一緒に、生誕祭をする為です。


 黄色いクマさんは兄弟クマに「今夜は生誕祭の花火が村で観れるから、夕食を食べて花火を見ていったらどうかね」

 と誘ったのですが、ルリクマ君は「(うち)で母がお祭りのご馳走を作って待っているから帰ります」とていねいに断りました。



 何でもルリクマ君たちのお父さんは去年、病気で亡くなったそうです。


 今はお母さんが一家の家計を支えています。

 ルリクマ君はお母さんが働きすぎて、病気にならないか、とっても心配していました。


 お母さんはお父さんが亡くなった後、村の洋品店の売り子で朝から夕方まで働いて、子供たちを育てていたのです。


 ルリクマ君は中等学園を卒業したら、進学せずに街の大きな商会の店員として働き始めると、白いクマ子ちゃんに伝えました。


 ルリクマ君は若いながらも、大商会の店員試験を受けて合格しました。


 その事を聞いた白いクマ子ちゃんは、大きく溜息(ためいき)をつきました。


「ルリクマ君、私とっても残念だわ。もう村の学園の合同バザーや、近隣村で集う学校行事で会えないなんて」


「うん、バザーは楽しかったね」

「ルリクマ君は生徒会長までして優秀なのに……高等学園に進学しないなんて勿体ないわ」

 と白いクマ子ちゃんはしごく残念そうにいいました。


「うん。でも勉強は働きながらもできるよ。今は働いて少しでも母さんを楽にさせたいんだ」

 といって爽やかな笑顔を見せるルリクマ君。


 白いクマ子ちゃんは、そんな大人びたルリクマ君を見てると、ちょっと心臓がキュンと締め付けられました。


 2頭の話を聞き耳を立てていた黒クマ君は、白いクマ子ちゃんの哀しい表情を見て、少しだけ心がザワザワしました。


 アオ君もこの秋から村の小学校に通うそうです。


「クロお兄ちゃん、またボクと遊んでね!」

 アオ君が黒クマ君にぎゅっと抱きつきました。


 黒クマ君とアオ君は、一緒にお庭の客クマたちの世話をしたせいか、すっかり打ちとけて仲良くなりました。


「ああ、いいよアオちゃん。またおいでよ、一緒に遊ぼう!」

「うん、やくそくだよ!」

 とアオ君と黒クマ君は、指切りげんまんをしました。


「白いクマ子さん、今日は色々とありがとう!はちみつケーキまで貰えるなんて、とっても嬉しいよ。全ては君のおかげだ!」

 ルリクマ君も白いクマ子ちゃんに手を差し伸べたので、白いクマ子ちゃんも快く握手をしました。


「あら、タダであげたんじゃないわ。ルリクマ君がお店のお手伝いしてくれたお駄賃だもん」


「うん、そうだけど……会った時、()()()()()()()()()て、君にキツイこと言ってゴメンな」

 ルリクマくんは照れくさそうに謝りました。


「そんな事、私、全然気にしてないわ、それより、またこの村に来たら一緒にお茶しましょうね」

「うん、また休みになったらアオと来るよ」

「きっとよ、絶対来てね」

「ああ、絶対に来るよ」

 白いクマ子ちゃんとルリクマくんは、笑顔になりました。


 ✧ ✧



「「気を付けてね~」」

「「さよなら~」」

 白いクマ子ちゃんと黒クマ君は、ルリとアオの姿が緩やかな丘を(くだ)っていくまで、ずっと手を振っていました。


 こうしてルリとアオの兄弟クマは、となりの村へと帰っていきました。




※ルリとアオは大好きなお母さんに、はちみつケーキをお土産に持っていけて良かったです。

次回が最終回で~す。(^.^)/~~~♪

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― 新着の感想 ―
お土産に、お母さんの好きなはちみつケーキまで貰えてよかったね♪(*^^*) お店の手伝いもしながら、仲良くなってよかった♪ ルリクマくんに対する白いクマ子ちゃんの気持ちを少し感じて、黒クマくんはちょ…
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