最終話・生誕祭の花火を見ながら……
※今回が最終話です。
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生誕祭の夜がきました。
キラキラと星がまたたく夜空にドーン、ドーン!と大きな音を放って、お祭りの花火が勢いよく打ちあがりました。
まあるくて、大きなダリヤの花のような、それは綺麗な花火です。
赤や、黄色、オレンジ色の花火が次々と咲き開いてゆきます。
煌々と輝く大輪の花火たち。
お花がぱあっと開いて咲いて、ふっと消えていきます。
アカシヤはちみつ店は、村の外れの丘にあるので、ふもとの村の灯りもチラチラと見えました。
いつもならシーンと静かな村ですが、今夜は生誕祭とあって、村のあちこちでクマたちの歓声が聞こえてきます。
今宵だけは村のクマたちも、夜中まで歌って踊るドンチャン騒ぎをして、明け方まで生誕祭を楽しむのです。
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アカシアはちみつ店の裏庭でも、黄色いクマさんと白いクマ子ちゃんの家族も一緒です。
お父さんクマとお母さんクマ、そして5才下の妹のピンクのクマ子ちゃん。
そしてお店を手伝ってくれた黒クマ君も一緒です。
みんなで、黄色いクマさんが自家用に作ってくれた、とびきり大きな、はちみつケーキを真ん中に置いたテーブルを囲んで生誕祭のパーティーが始まりました。
はちみつケーキの他にも、白いクマ子ちゃんのお母さんが作った、木の実の香ばしいパイや、野菜サラダ、叔父さんの好物のふきのとうとキノコのグラタンなど、他にもたくさんのご馳走を持ってきてくれて、とても食べきれないほどでした。
「よし、みんな、乾杯グラスはいき渡ったかね?」
「「「はーい」」」
「では白ちゃん黒ちゃん、今日は本当にありがとう。おかげではちみつケーキは全て売り切れたよ、」
「わあ、おめでとう叔父さん!」
「店長、おめでとうございます!」
「君たちのおかげだよ!それでは、王国の生誕祭を祝して乾杯!」
「乾杯!」
「かんぱーい!」
「かんばーい!」
とお互いにクマの家族たちは、カチャカチャとグラスをぶつけ合いました。
「あ〜なんて美味しいんだ!」
「本当大叔父さん、この葡萄酒、とても美味しいわ」
白いクマ子ちゃんの、お母さんとお父さんは葡萄酒を飲んで、とてもご機嫌です。
「そうかい、それは良かった。生誕祭用に取っておいた葡萄酒だからね」
と黄色いクマさんは嬉しそうに、お父さんとお母さんに2杯目を注いであげました。
黄色いクマさんは、白いクマ子ちゃんの、お母さんの父親のお兄さんでした。
それでも3頭が並んでも、青いとんがり帽子を被った黄色いクマさんは、同じ年にしか見えないから不思議です。これも黄色いクマさんの魔法なのかもしれません。
さすがに子供たちはまだ葡萄酒が飲めないので、リンゴジュースで乾杯しました。
黒クマ君はむしゃむしゃと、ふきのとうのグラタンを美味しそうに食べてます。
白いクマ子ちゃんは、妹のピンクのクマ子ちゃんが食べやすいように、木の実のパイを小さく切って食べさせてあげました。
ひととおりご馳走を食べ終えた黒クマ君は、白いクマ子ちゃんを見つめました。
「ねえねえ、白いクマ子ちゃん」
「なあに黒クマ君?」
黒クマ君はおずおずと言いづらそうに
「ルリクマ君とは、とても仲が良かったんだね」
「うん。さっきもいったけど、生徒会のバザーとかで何度かあってたのよ、彼が進学しないのは残念だけったわ」
「うんそうだね。ルリクマ君は頭いいのに、お家の都合で進学できないなんて気の毒だね」
「そうね、ルリクマ君は隣の中学で生徒会長をしてて、人望もとってもあったのよ」
「へええ、そうなんだ……」
黒クマ君は白いクマ子ちゃんが、キラキラと眼を輝かせて、ルリクマくんを褒めるので、ちょっといじけてしまいました。
そして思わず、ぼそっと呟いたのです。
「──僕みたいに成績のよくない子でも進学できちゃう。神様って冷たいよね」
と、なぜか下を向いて、ちびちびとジュースを飲み始める黒クマ君。
「あら? 黒クマ君はちっとも頭、悪くないわよ!」
「え、そうかな?」
「そうよ、今日だって上手にお客さんを案内したり、ミツバチの説明もできたじゃない!私、黒クマ君が叔父さんのお手伝いを一緒にしてくれて、すごく嬉しかったのよ」
「え、そうなの?」
黒クマ君は少し嬉しくなりました。
「そうよ、黒クマ君は立派だったわよ。頭だって悪くない、ただ真面目に勉強しないだけよ」
「あらら……そうだよね」
黒クマ君は、恥ずかしそうに頭をシャカシャカと掻きました。
そうなんです。黒クマ君はけっして頭が悪い訳ではないんです。
ただ、勉強嫌いなだけのヤンチャなクマの男の子なんです。
そんな黒クマ君を優しく見つめて、白いクマ子ちゃんはいいました。
「ねえ黒クマ君、夏休みになったら叔父さんのお店で、私、週末だけお手伝いするんだけど、良かったら一緒に働かない?」
「え、いいの?」
「うん、叔父さんがいってた。夏休みもけっこう王都から、クマ客たちが来るから忙しいんだって。だから土日だけ手伝うことにしたの」
「わあい、それなら僕も手伝うよ!」
「わあ、良かった。黒クマ君がいると私も心強いわ!」
「え、そうなの?」
「うん!」
──うわっ!
白いクマ子ちゃんがすっごく可愛い笑顔にドキッとする黒クマ君。
わああ~、白いクマ子ちゃんから、お手伝い誘われちゃったよ。
もしかして……もしかして僕のこと、白いクマ子ちゃんも好きなのかな?
黒クマ君は、急に胸がドキドキしました。
「ねえねえ、白いクマ子ちゃん!」
「なあに、黒クマ君?」
「僕ね、実は君のことが……す、す、好き……」と黒クマ君がいいかけた途端、
「ああ~ピンちゃん、駄目よスカートに、はちみつが!!」
「え~ん、お姉ちゃん、ベタベタだよ~!」
と、妹のピンクのクマ子ちゃんが、はちみつケーキをスカートに、どっさりとこぼしてしまいました。
「ああもう、しょうがないわねえ!」
白いクマ子ちゃんは叱りながらも、濡れたハンカチで妹のスカートをせっせと拭いてあげました。
ピンクのクマ子ちゃんはまだ小さいので、白いクマ子ちゃんが、かいがいしく見てあげないと食事も大変です。
「あ……黒クマ君、さっきなにかいいかけた?」
「え、あ、ううん、何でもない!」
黒クマ君は真っ赤な顔でプルプルと首を横に振りました。
──焦るな、僕。
白いクマ子ちゃんに、告白するチャンスはこの先、まだまだあるからな。
ルリクマなんかに渡さないもん!
どうやら黒クマ君は、今日、ルリクマ君と白いクマ子ちゃんの様子を見て、真剣に白いクマ子ちゃんの事を好きだとわかったようです。
「た~まや~!!」
「おお、今のはデカい!」
「おお、綺麗だわ~!」
黄色いクマさん、お母さんたちは上機嫌に葡萄酒に酔って、花火を楽しんでいます。
黒クマ君と白いクマ子ちゃんたちも、パーン、パーンと夜空に上がる花火を、寄り添って笑顔で見つめていました。
こうして、アカシアはちみつ店の生誕祭の一日は無事に終える事ができました。
── 完 ──
※ 画像はくろくまくんが生成AIで作成してくれた画像第三段です。またまた可愛い!
(≧▽≦)
※最後までお読み頂きありがとうございました。
※黒クマ君の気持ちが白いクマ子ちゃんに伝わるといいですね。




