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アカシアはちみつケーキとクマ王国のお祭り  作者: 星野 満


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5/11

ミツバチたちは給仕係り(2)

※ 2026/4/17 修整済


✧ ✧ ✧ ✧



 白いクマ子ちゃんは、ようやく客クマたちが席に戻ってくれて、胸を()でおろしました。


 そしてエプロンのミツバチたち数匹が、各テーブルに置いてあったポットの上をクルクルと回りだします。


 すると、あら不思議──!


 ミツバチたちが触れてないのに、(ほこり)よけのために、逆さまにしていたティーカップが、クルりと上向きに持ちあがりました。


「へ?」

 客クマたちがいっせいに驚きました。


 更にミツバチたちはアカシア茶の入ったポットから、そのティーカっプに1つずつお茶を注いで、ソーサーにそっと置いていきます。


「おお見たか、ミツバチがお茶を()れてる!」

「本当だ凄いぞ。こんなの初めてみたよ」

「まあ、なんて良い香りなんでしょう」


 席に着いたクマ客たちは驚きで、目をまんまるくしました。

 

 白いクマ子ちゃんの側にいた黒クマ君もびっくり仰天です。


「驚いたよ、白いクマ子ちゃん。まさかミツバチが、カップにお茶を注ぐなんて!」


「エヘへ、そうでしょう黒クマ君──実はね、私、黒クマ君も驚かせようと思って、今まで秘密にしてたのよ」


「ええ~ひどいなぁ……僕、本当に白いクマ子ちゃんが、ミツバチに刺されないかと心配したんだよ」

「ああん、ごめんね~!」


 白いクマ子ちゃんは、悪戯(いたずら)っぽくつぶらな瞳をきらきら輝かせて、黒クマ君に謝りました。


「私も昨日、叔父さんから教えてもらったの。明日はクマ客がたくさん来るだろうから、魔法を使ってミツバチを給仕教育したんだって」


「へえ~黄色いクマ叔父さん、いや店長って本当にすごい魔法使いなんだね」


「そうよ、私の叔父さんは昔、王宮にいて王様にもお仕えしていた大魔法使いですもの!」

 白いクマ子ちゃんは鼻高々にいいました。

 彼女は魔法使いの黄色いクマさんを崇拝していたのです。


 そして席に着いたクマ客たちに向かって、白いクマ子ちゃんは言いました。


「皆さん、お茶のお変わりもミツバチがしてくれますからね。このミツバチは店長が魔法を使って飼育してます。──なので、ミツバチも皆さまに奉仕しますので、どうか怖がらず安心して接してくださいね!」


「おお、なるほど魔法か!」

「どおりで、こんなに従順なのね」

「働きバチっていうだけあるよな」

 クマ客たちも、すっかりミツバチのおもてなしに感心しきっています。


 先ほどまで騒然としていたお庭の雰囲気から、一転してとってもホッコリしてきました。


「それでは皆さん、店内へお呼びするまで、ごゆるりとお過ごしください」

「「は~い!」」


 ザワザワと席についてるクマ客たちも、和やかな団らんとなりお茶を飲み始めました。


 とはいいつつもクマ客たちは、最初はミツバチを訝しがっていましたが、かいがいしく給仕してくれるミツバチたちが、自分のカップにお茶を注いでくれたり、運んできたお皿のマフィンに蜜瓶(みつがめ)からたっぷり、はちみつをかけてくれたりすると、しまいには大喜びしました。


「まあ、アカシア茶の美味しい事。なんてよい香りかしら」

「うん上手い、このはちみつをたっぷりつけたマフィンは最高だ!家の子どもたちが喜ぶぞ、これもケーキと一緒にたくさん買っていこう!」

 と若い奥様風のくまさんと、大きなグリズリークマさんは同じテーブルで、お互いすっかり意気投合していました。


 他のテーブルの客クマたちも、アカシアの花を見ながらお茶を飲み、またマフィンを食べて和やかにしています。


 また1から15番の整理番号をもらった初めのクマ客たちも、『せっかくだからアカシア茶を飲みたい』と希望したので、お茶とマフィンを食してから店内に入ってケーキを購入してもらいました。


 こうしてアカシアはちみつ店の午前中は、あっという間に過ぎました。


 それでもはちみつケーキを予約したお客様は、午後以降もたくさん来店します。

 白いクマ子ちゃんと黒クマ君も、まだまだ忙しく、働き続けねばなりません。

 

 これからが正念場なのです。




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