クマ客だらけ、ピンチな黒クマ君!
※ さあ開店の時間です。
アカシアはちみつ店に雇われた黒クマ君と白いクマ子ちゃんは、上手くお仕事できるでしょうか。
✧ ✧ ✧ ✧
さあ9時の開店時間となりました。
アカシアはちみつ店のドアを開けて、外へ出てきた黒クマ君。
『準備中』の青い看板を『営業中』と裏返しにしました。
「「おお、開いたぞ!」」
既に朝早くからお店の回りには、ワーワーと騒ぐお客のクマたちが一杯集まっていました。
──うわあ、店の外はすんごいクマだかりだ!
思わず黒クマ君がびっくりするくらいクマ、クマ、クマだらけでした。
「開くのを待ってたわ!」
「わあ良かった。早く入れてちょうだいな!」
「ちょっと、あなた押さないで、私は1時間以上前から待ってたのよ!」
「何だと、俺はもっと前から待ってたぞ!」
さあ大変です!
あっというまに狭いお店の入口前には、クマたちが押し合いへし合い押し寄せてきます。
黒クマ君は慌ててドアの前に立ち、両手を広げて、クマたちを制止しめました。
「み、皆さんどうか落ち着いて下さい! 店内は狭いので順番に並んでお1人ずつ入ってください!」
「うるさい、俺は家族のために朝から来て待ってたんだ!早く通せ!」
「きゃ、痛い!」
と大きなグリズリークマさんが、一番前にいたピンクのリボンを結んで、エレガントなボンネットを被った若奥様風のクマさんを、押しのけようとぶつかりました。
「お客様、大丈夫ですか?」
黒クマ君が慌てて、転んだ若奥様に駈け寄ります。
「痛い、店員さん。この巨大で乱暴なクマが私を押したわ」
「何だと大げさだな、ちょっとぶつかっただけだろう。いいからチビ、早くはちみつケーキを売ってくれ!」
高そうなピカピカの背広を着た、グリズリーみたいに大きなクマさんは怒鳴りました。
パッっとみは田舎のクマではなく、王都からやってきた都会のクマに見えます。
なにせ田舎でこんな巨大クマがいたら村の有名人になります。
──うっ、チビって僕のことだよね。
このクマ客、グリズリーみたいに大きくてとっても怖いよ~!
黒クマ君は、こんなに大きなクマを初めて見たので内心ビビってます。
どうしよう、困ったなぁ。
こんなにたくさんのお客が一度に店に入ったら、クマだらけで一杯で販売どころじゃないぞ!
わあ、どうしよう──!
「ほらチビ、何ボケッと突っ立ってんだ、早く入れろ!」
「あ、駄目です。お願いですから、いったん1列に並んでください!」
黒クマ君は、必死になって店に入ろうとするクマたちを、なんとか制止しようとします。
でもとても無理そう……
クマ客たちは、押しくらまんじゅうのように、ぎゅうぎゅうしてドアに押し寄せてきます。
その時でした──。
「大丈夫よ、黒クマ君!」
と店内から白いクマ子ちゃんがドアを開けて、そろ~っと出てきました。
「あ、白いクマ子ちゃん!」
黒クマ君が振り向くと、白いクマ子ちゃんが笑ってウインクしてくれました。
片耳にピンクのフリルのリボンを付けて、真っ白い毛をふさふささせてる、白いクマ子ちゃん。
彼女が出てきた途端、ひときわ白毛がおひさまに輝いて、とっても綺麗な女の子です。
──はわぁ~白いクマ子ちゃんは、いつみても可愛いなぁ。
と黒クマ君は白いクマ子ちゃんを見て、ぽぉと頬が赤く染まりました。
「皆さん、おはようございます!」
「「!?」」
朝のヒンヤリした空気の中で、凛とよく通る声が響きます。
ザワザワしていた客クマたちも、一瞬、黙って白いクマ子ちゃんに注目しました。
「本日はようこそ、アカシアはちみつ店にいらっしゃいました!──これから、はちみつケーキを予約したお客様に、順番にお渡しますので、もうしばらくお待ちくださいね!」
と白いクマ子ちゃんはにっこりと笑って、客クマたちに一礼しました。
白いクマ子ちゃんは少女クマですが、なかなかしっかりした女の子でした。
この村の中等学園でも、生徒会の副会長をしていて頭もとっても良いのです。
黒クマ君と白いクマ子ちゃんの家は、お隣同士で2人は小さな頃から仲良しさんでした。
黒クマ君は可愛いくて優しい白いクマ子ちゃんが大好きです。
今回、黄色いクマさんから頼まれたお店の手伝いも、白いクマ子ちゃんに誘われると、2つ返事でOKしました。
「黒クマ君、ちょっといい?」
「うん、クマ子ちゃん。どうしよう!こんなに大勢のお客さんが来ちゃった!」
「大丈夫よ、あのね……」
すると白いクマ子ちゃんは黒クマ君に、ごにょごにょと耳打ちしました。
「おい、ちびっ子たち。何こそこそ話しをしてるんだ、早く店に入れろ!」
グリズリーみたいな大きなクマさんは、再びイライラして叫びます。
そんなのはおかまいなしに、白いクマ子ちゃんは、黒クマ君にヒソヒソ話を続けました。
するとどうでしょう。
さっきまでビクビクしていた黒クマ君の顔に、明るい笑顔が戻ってきました。
「わあ、さすが白いクマ子ちゃん、それはいいアイデアだ!」
と黒クマ君はにっこりと笑って、ポン相づちを打ちました。
はてさて、白いクマ子ちゃんは黒クマ君に何をお話したのでしょうか。
※ 2026/4/17 修正済み




