第五話 NEXT
23時間59分58秒
「とりあえず、団長とアルタナを助けるか。」
「そうね。」
「ラナって力ある方?」
「全然ないよ。」
「俺も力無いからこの二人を王都まで運べないよ。どうするの?」
「とりあえず回復魔法は使うね。」
「回復魔法なんてあるの!てかラナ回復魔法使えたんだ。」
「何で状態異常の方を知ってて、回復魔法の方を知らないの?私は回復してるからチカサ君は騎士たちとか回復師とか呼んできてほしいのだけれど頼める?」
「チカサ『君』か〜。」小さい声でボソッと言ってしまった。
「なにか言った?」とラナが少し疑問そうに言った。
「何でも無いよ。それより騎士たちと『回復師?』ってやつを呼べば良いんだよね。」
「そうよ。一応何かあるかも知れないから回復師も呼んでもらえると嬉しい。」
「このチカサに任せて。すぐ呼んで来るから。」
「ラナにあんな事言ったけどもう足がパンパンだよ。今までろくに運動した事なんて無いからな。10分ぐらい走ってるけど俺の足が遅すぎて本当だったらちょうど着いてるのにな。」
「やっとだ――やっと着いた――ここまで来るのに20分かかった。もう夜だ。幽霊とか出ないよな?それより早くラナの元に、回復師と騎士たちを向かわせないと。」
「そこの人大丈夫かい?」
濃い紫色の髪色にキリッとした濃い黄色の目をしている。美青年に出会った。
「騎士と回復師を呼んで来てくれ。頼む。」
「僕は回復師と騎士の両方の仕事をしているのだけれど僕ではダメかな?」
「マジか。助けてくれるならすごく助かる。それじゃあ着いて来てくれ。」
走り出した瞬間足が動かなくなってしまった。
「あれ?何でだ。何で動かない。早くラナの所に向かわなきゃ行けないのに。回復してくれないか?そうすれば走れるようになれるからさ。」
「ごめんだけど、回復は傷は治せても身体的疲労は治せないから回復しても意味ないよ。」
どうする。ここままじゃラナの所にこの子を連れて行けない。俺は変わるって決めたのに、こんな事もできないの―
「あの少し良いですか?僕があなたの事を担ぎながら走るので目的の所まで案内して貰えませんか?」
「そんな事できるのか?」
「一応騎士ですので。」
「分かったそれでいこう。」
「それにしても足早いな。俺の5倍ぐらい速いんじゃないか?」
「騎士としても稽古してるので。」
「そこを左に行ってそこを右に行ってくれ。」
「分かりました。」
すると森の中をスルスルと走っていく。
「すげーな〜。」
するとラナが見えて来た。
「ラナ〜。回復師と騎士の人を連れて来たぞー。」
「チカサ君すごいわね。想像よりも早かった。」
「この子のおかげなんだけどね。」
「どうも。」
「そうだラナ、団長とアルタナは無事か?」
「団長とアルタナなら無事よ。かすり傷が何個かあっだけだったわ。」
「そうか良かった。」
「すみませんちょっと良いですか?」
青年が話しかけて来た。
「あなたはラナと言いましたよね?親殺しのラナで間違い無いですよね。」
ラナが焦りながらに喋った。
「私はただのか弱い女の子です。」
「私は人が嘘をついているかどうか分かるんですよ。あなたは嘘をつきましたね。」
青年が剣を両手に持ち、ラナに迫っていった。一言ラナにむかって言った。
「さようなら。」
剣が振り落とされる瞬間チカサがラナを押して倒して回避した。
「何故あなたがこの犯罪者を庇うんですか?次その犯罪者を庇ったらあなたにも容赦はしません。」
チカサが小声でラナに言う。
「俺が時間を稼ぐからラナは逃げろ。」
ラナも小声で喋る。
「私が逃げたらチカサ君が殺されちゃう。」
「俺は大丈夫信じてくれ。」
「分かった。チカサ君を信じる。でも絶対に死なないでね。」
「任せなさい。」
その言葉は嘘だ。俺が時間稼ぎにもならない程弱いのは分かっている。でも俺以外ラナを助ける為に動ける奴は――。
周りを見るとアルタナが起きている。だが青年に起きてる事がバレないようにしている。俺はすぐさまにアイコンタクトを送った。なんか知らないが成功したと思う。
チカサが青年に向けて大きな声で叫んだ。
「お前の敵は俺だ。」
その瞬間にアルタナがラナを抱えて走って行った。
ラナがアルタナに何か一生懸命に言っている。
「さて俺とお前二人きりだな。」
「あなたがこんなに面倒臭いとは思いませんでした。どうせですしあなたに私の正体を教えてあげましょう。」
「お前まさか騎士じゃないのか?」
「その通り正解です。ですが気づくのが遅かったですね〜。私の正体は、ムーン・ルナ。どうですか?驚いたでしょう。」
「お前――何だその名前ダサすぎだろ。キラキラネームかよ。お前つまり月・月って事か、やっぱりクソダサいな。」
チカサが笑いながらに言う。
「お前あんまり私を舐めるなよ。キラキラネームとか言うのは分からないが罵倒している事は分かる。」
ムーンが怒りながらに言う。
「んで、何でお前はラナを襲うんだ?」
「アイツを殺せば、王の所に行ける。報奨金みたいのが貰えるからな。でも俺は金目的じゃない。王目的だ。王とそこの周りにいる奴らを殺して王を自分の姿に変化させる。そして自分が王様の姿になり、騎士たちと相打ちした事にする。するとあら不思議、私の国の完成〜。これが私の目的ですよ。」
チカサは思った。コイツはここで生かしちゃいけない人間だ。ここで生かせば、国ごと乗っ取られてしまう。それだけは防がないと。
するとムーンの後ろから団長が一太刀を入れた。
「ぐはぁ。」
ムーンが倒れた。
「ナイス団長。」
「弱すぎる。コイツが本当にあのムーンか?チカ――。」
「団長?団長ーー。誰だお前。」
ピンク色の髪の毛をした小柄な女の子が現れた。
「まさか一個持ってかれるとは思わなかった。あれは万能で気に入ってたのにな〜。とりあえずムカつくから。」
女の子がチカサの右腕を切り落とした。
「ああああああぁぁ。腕がぁぁぁぁ。――お前―まさか―ムーンか?―」
「また言ってあげるよ。気付くのが遅かったね。じゃあね、バイバイ〜。」
ムーンが歩いていく。そこをチカサが左手でムーンの足を掴んだ。
「何の真似だ。もう意識を保つので精一杯なはずだろ。」
チカサが掠れた声で言う。
「ラナを―救う為だったら、―何でも―してやる。」
「そうかじゃあさような――。」
「一つだけ―いい事を教えてやるよ。次は―絶対にお前を―攻略してやる。」
「残念だけど次はないから。」
ムーンがチカサのもう一つの腕を切り落とした。
「あああああぁぁ。腕がぁぁぁ。―痛い―痛い―痛い。」
「とりあえずアイツらを探すか。『サーチ』。•••あれアイツらどこに行った?」
死にそうになりながらもチカサが言う。
「時間―稼ぎ―終了―。5分は―稼いだぜ―アルタナ―。」
キレながらムーンが喋る。
「お、お、お前、まさかこれを狙って。ふざけるなよ。『ファイブ』。」
ファイブと唱えるとムーンが老婆になり、チカサに向かって魔法を放つ。
「ぐちゃぐちゃになれ。」
するとチカサよりもデカい炎の球をチカサに向けて放った。
「―次だ。」チカサはそう言い残し死んだ。
23時間59分57秒




