第四話 もう逃げない
23時間59分59秒
団長を見送った後すぐにラナを探すために走っていた。
「ラナは一体何処にいるんだ?マップさえあれば探せるのに。わんちゃん常識書にマップとかのってないかな。」
常識書を読んでみるが分かる文字と分からない文字がある。分かる文字はルター文字。分からないの文字は魔法文字とスチマ文字の、この二つが読めない。一通り目を通して見ると、マップのような物があった。
マップの中央には王都があり、右の方にはアハタソウゲン、そしてその奥にはモリモリ、左にはスノーアース、下にはシルーダマチ、上にはソーラーハナバタケと書いてあった。
「まず左と右はないな。右は騎士団が剣豪を捕らえようとしているし、左は名前からして危ないからな。とすると、上か下だが、俺は下を選ぶ。直感って奴だな。よしそうと決まれば出発進行。」
シルーダ街へと向かって行くと、スライムらしきものがいた。
「これはもしかして雑魚敵って奴じゃないか。経験値があるかは分からないが稼がせてもらう。おら、喰らえ。」
手がスライムに触れていった瞬間溶けていった。
「うわぁぁぁ―。痛い痛い痛い。何でスライムは雑魚敵じゃ――」
痛みで涙が出て来たチカサにスライムが近づき。チカサに向かってスライムのツルのような物をチカサに向かって放ち、チカサの心臓を貫いた。
「がはぁ―」
全身に力が入らなくって来た。体がどんどん冷たくなっていくのを感じる。
死ぬのか、まだこんなところで死ねない。
「ラ――。ナ――。」
チカサの目が覚めた。
「え、何で生きてるんだ。俺はスライムに殺されて――。まさか俺の能力は『復活』か?」
チカサは喜んだ。
「これさえあれば、ラナの戦力にもなり、死なない。最高じゃないか。死ぬ時の痛みの抜けばの話だが。とりあえずラナに会いに行こう。これならラナと一緒に行動しても平気だろう。」
次の街に着いた。
「ここならラナもいるはずだ。てか、ここはお金は払わなくても良いんだな。」
街の方を見るとラナが見えた。
「待って、ラナ。」と追いかける。そして追いついた。
「ラナ。頼む俺も連れて行ってくれ。」
ラナは困惑した顔をしていた。
「見間違いじゃあないですか?」
「とぼけないでくれ。俺実はさ――」
「待ってください。あなたは誰ですか?私あなたに名前を教えた覚えはないの。まさか騎士の人!ごめんだけど少し痛い目にあっちゃうかも知れないから逃げるなら今のうちよ。」
「何言ってんだよ。俺を知らない?ふざけんなよ。あそこまで手伝っておいて知らないだと。俺を置いていく言い訳もここまで来ると怒るぞ。」
「本当に私はあなたを知らないの。えーと男の人。」
「嘘だろ。嘘だと言ってくれよ。ここまでやって来ておいて忘れられるのか?じゃあこれはどうだ。この袋とお金と常識書に『腕時計』これはどう説明するんだ?」
「それは私が落としたお金。もしかしてあなたが見つけてくれたの?よく私だって分かったわね。」
「お前が俺の為に置いておいてくれたんだろ。それなのに落としただと。もう良いよ。君がそういう態度をとるなら俺だって君をもう知らない。じゃあな。」
チカサは怒りながらに言い、お金をラナに返してどっかに行った。
「ラナはきっと後悔するだろうな、俺が復活の能力を持っているのにな。俺がいればラナは騎士に絶対に捕まらないのにな。」
ラナにグチグチ言っていると、草原の方から大きな物音がした。街にいる住民にも聞こえたのか、パニックになっている。
「まさかアルタナは殺されていないよな。俺が剣豪を捕まえてやる。そしてラナに謝らせてやる。俺にそんな態度をとった事を。」
草原に向かって走っていき、着いた。アルタナが剣豪と戦っている。
「何故あなたが裏切ったのですか?」
「それは言えねえな。大丈夫だ。俺が全部解決してみせる。」
「あなたは昔、私達に言いました。『騎士たる物、礼儀や作法をちゃんとしなさい。』と。それなのに何故今あなたは、敬語をつかわないのですか?」
「もうそんな物に付き合っている暇がねえんだよ。」
「私はあなたに憧れました。剣豪と言う称号を手にしながら、弱い人にも強い人にも平等に接する。あなたは私の英雄です。お願いです。戻って来てください。」
「俺だって――。いや戻らねえ。絶対に。」
剣豪の後ろから猛スピードで団長が来る。そして剣豪を切ったかに思えたが、剣で塞がれそして足で団長を飛ばした。
「何度やったって勝てる訳がねえだろ。コルオス。」
「お前が正しい道に持っていくのが俺の役目だ。アルタナ二人で行くぞ。」
「分かりました。あなたが戻ってくるまで私達は諦めない。」
「そうかよ。アルタナお前はここの戦いについていけねえぞ。」
「それでも構わない。命に変えても。」
アルタナと団長が一斉に攻撃を仕掛ける。アルタナと団長二人がかりで攻撃をするが、剣豪は余裕な様子で二人を剣で弾き飛ばした。アルタナが距離を詰め、氷の魔法で剣豪の足元を凍らせるが、剣豪はすぐにアルタナとの距離を詰め、アルタナを吹き飛ばしたかのように思えたがアルタナは必死に手にしがみつき剣豪を不自由にした。するとそこに力を溜めた団長が渾身の一撃を入れようとする。
「光神斬」
すると剣豪の肩から胸まで剣が入った。
「お前ら強くなったな。」そういうと剣豪はさっきの動きより速く動き、アルタナと団長を吹き飛ばし気絶させた。
「お前隠れてたのか。」と剣豪がチカサに一瞬で近づき、切ろうと剣を振り落とす。
「リスコール。」
剣豪がチカサの左肩の横に剣を振り落とし、ラナに向かいこう言う。
「ちっ、めんどくせえな。」剣豪はそう言い、どこかに逃げていった。
「さっきの人怪我はない?」
分かっていた、ラナは優しいから俺を簡単に忘れたりなんかしないし、忘れたなんて言って傷つけたりもしない。分かっていた。それに薄々気づいていた。これが俺が復活した代償ということに。それが悔しくてあんな態度を取ってしまった。俺は最低だ。
「何で俺なんか助けたんだよ。君は俺の事を知らないんだろ。」
ラナに突き放して欲しいそういう思いで言った。たまたまだのそういう事を言って欲しかった。
「困った人を助けるのは当然でしょ。」
俺はバカだ。ラナは俺なんかよりもすごい。能力が分かってはしゃいで、ラナが助けてくれなかったら俺はまた死んでた。
「そういえば―あなたの名前は?」
「俺の名前なんてどうでもいいだろ。」
「あなた、すごく今にも泣きそうな顔してるから。私が相談に乗っても、大丈夫だから。」
俺泣きそうなのか?またこんな事でラナに迷惑をかけて、俺は本当に何も学ばないバカだ。異世界に来る前に何かやっておけば良かった。逃げて、逃げて、逃げて、そして何も残らない。俺はゴミだ。
ラナが頭に手を置き、チカサに向けて喋りだした。
「あなたの名前は?」
チカサは決心した。俺は変わる。異世界では、もう嫌な事から逃げない。『君が俺を何度忘れても。』
「俺の名前は『アキバ・チカサ』。君の事が好きな男の子だ。」
「よろしくね。」
「君の事が好きの部分は無視かよ。」
「冗談面白いと思って。」
「もう、それで良いよ。」
二人は仲良く笑った。
23時間59分58秒




