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14話 聞きたいこと

 金曜日。

 昼休みのチャイムが校内に響く。

 食堂は今日も多くの生徒で賑わっていた。

 蒼太は唐揚げ定食。

 橙真は普通の定食。

 碧羽は軽めのうどん。

 そして咲は家から持ってきた弁当を広げていた。

 蒼太が弁当を見て言う。


「咲、いつも弁当だよなー」

「はい。母が作ってくれてるので」

「いいなー」


 蒼太は唐揚げを頬張る。


「俺も弁当がよかった」


 橙真が笑う。


「お前朝起きられないだろ」

「否定できねぇ……」


 碧羽が小さく笑う。

 咲もつられて笑った。

 少し前までは緊張していた昼休みも、今では当たり前のように4人で過ごしている。

 蒼太が箸を置く。


「それにしてもやっと金曜だなー」

「明日も部活あるだろうけどね」


 碧羽が苦笑する。


「陸上は土曜の午前きついんだよな……」

「弓道も午前練習だし」


 橙真が2人を見る。


「無理すんなよ」


 蒼太が笑った。


「誰のせいで無茶してると思ってるんだ」

「それは知らん」


 4人の間に笑いが広がった。


 放課後。

 咲が昇降口へ向かうと、そこには橙真だけが待っていた。

 壁にもたれながら外を眺めている。

 咲が駆け寄る。


「待たせましたか?」


 橙真が振り向く。


「いや、今来たところ」


 2人は校門へ向かって歩き出した。


「蒼太先輩たちはもう部活ですか?」

「ああ。もう二人とも部活行ったよ」

「毎日大変そうですね」

「まあ颯太たちも慣れたもんだろ」


 夕方の住宅街。

 吹く風は少し涼しい。

 しばらく2人で歩いていた咲が口を開く。


「そういえば……」

「ん?」

「先輩たちの初めての戦いって、どんな感じだったんですか?」


 橙真は少し驚いた。


「急に聞いてきたな」

「気になってて」


 咲は少し笑う。


「この前、蒼太先輩が言ってたじゃないですか」


『俺たちなんて最初の頃はかなりボロボロだったし』


 橙真は少し空を見上げた。


「まあ……確かにボロボロだったな」

「やっぱり怖かったんですか?」

「そりゃな」


 橙真は前を向く。


「最初からうまくできたわけじゃない」

「蒼太も碧羽も、今みたいじゃなかったしな」


 咲は静かに聞いていた。


「聞きたいです」


 橙真が少し笑う。


「長くなるぞ」

「大丈夫です」


 少し考えたあと、橙真が言った。


「……じゃあ今度話すか」


 咲の表情が明るくなる。


「本当ですか?」

「ああ」


 少し歩いたところで橙真が思い出したようにスマホを取り出した。


「そういえば明日の午後って空いてるか?」

「明日ですか?

 空いてます」

「じゃあ蒼太たちにも聞いとくか」


 咲が少し身を乗り出す。


「蒼太先輩たちも来れそうなんですか?」

「ああ多分な、これから聞くけど」


 橙真は短くメッセージを送った。


『明日の午後って空いてるか?』


 すぐにスマホが震える。

 蒼太からだった。


『午前中は部活だけど午後からなら空いてるぞ』


 咲が少し笑う。


「返信早いですね」

「いつもこんな感じだな」


 続いてもう一度通知音が鳴る。

 碧羽からだった。


『私も午後からなら大丈夫だよ』


 橙真はスマホをしまう。


「これで決まりだな」


 咲は嬉しそうに笑った。


「全員集まれるんですね」

「ああ、そうだな」


 橙真は少し笑いながら答えた。


 分かれ道が見えてくる。

 橙真が立ち止まる。


「じゃあまた明日」

「はい。また明日です」


 咲は軽く手を振る。

 橙真も小さく手を上げた。

 家へ向かう帰り道。

 咲の頭の中には明日のことが浮かんでいた。

 先輩たちの初めての戦い。

 今の3人になるまでの時間。

 明日、その話を聞くことができる。

 そう思うと少しだけ胸が高鳴った。

今日から新章がはじます

今回の章は主人公たちの中学時代がメインです


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