48話 キャンプ場 一
文化祭も終わり、モミジが彩り鮮やかに美しくなってきたころ、裕太が花火で遊ぼうと誘ってきた。
「どうして今頃花火なの?」
不思議に思ってきいてみたら、裕太の父親が経営しているホテルでは、夏休みにお子様連れの家族のためにミニ花火大会を開いていたそうだ。
その花火の余りをもらったから、皆で遊ぼうと思ったらしい。
さらに裕太は、「せっかくだから、きれいなモミジも見て、花火もできる山の中にあるキャンプ場に日帰りで行こう!」と言い出した。
事故車の中古車を買って酷い目にあった大学生の従兄が、次は三列シートの中古車を買ったから、それに乗せてくれるそうである。
高速に上がれば二時間ほどで行けるので、ドライブをしたい従兄にとっても、ちょうど良い距離なのだそうだ。
この話に春子が飛びついた。
「秋の花火大会なんて楽しそう! ねっ、皆で行こうよ!」
「春子が行きたいって言うのなら、私はかまわないけど?」
「三人が行くんだったら、俺も行くとするか……」
話し合いはあっさりとまとまり、私たちは裕太の従兄の運転で、キャンプ場に行くことになった。
このキャンプ場、夏休みは家族連れで賑っているらしいのだが、シーズンを過ぎると営業はしておらず、駐車場は無料で使用できる。
この日は、紅葉狩りに来た人が数台駐車していたが、夕方になる頃には、皆帰ってしまった。
広い駐車場に残された車は、私たちの車一台だけになった。
私たちも明るいうちは綺麗な山の景色を満喫していたが、暗くなったら花火大会をすることにしていたので、皆がワクワクしながら、時間が過ぎるのを待っていた。
キャンプ場には、客が自由に遊べる広場が作られているので、私たちしかいない広場では、誰に気兼ねをすることもなく、好きなように花火で遊ぶことができる。
手洗い場も設置されているから、火の始末も万全で、安全面でも問題なし。
従兄の大学生も含めて私たち五人は、秋の花火大会を思う存分に楽しんだ。
終わった後は、それぞれが懐中電灯で照らしながら掃除をする。
掃除も終わって帰ろうとしたとき、春子が広場の奥の方を見て言った。
「ねえ、あれ見て……。なんか、光ってる……」
春子が指さす方を見たら、広場の奥の方が、ピカッと青白く光った。
「ここには、俺たちだけだと思ってたんだが……」
従兄が訝し気な顔をする。
「あっ、また光った!」
春子の声に、裕太がいち早く反応した。
「行ってみないか?」
光の原因が何か知りたいという好奇心は抑えられず、結局、皆で光の場所へ行くことにした。
懐中電灯で足元を照らしながら、光った場所へと歩いたのだが、到着した時には、青白い光は見えなくなっていた。
ここから先は急こう配の山の斜面になっていて、実質、行き止まりになっている。
「誰かいませんか~?」
従兄が大きな声を出した。
「もし、誰かが犯罪に巻き込まれていたのだとしたら、見過ごすわけにはいかないだろう? 皆も声を出して呼びかけてみようよ」
「誰かいませんか? 助けに来ましたよ」
春子も、恐る恐るではあるけれど、声を出して呼びかけた。
私も声を出して呼びかけたが、返事はなく、私たち五人以外の人の気配は感じられなかった。
しばらく皆で呼びかけていたのだが、卓弥の表情が急に険しくなった。
「ここから離れた方が良さそうだ。人の気配じゃなく、禍々しい霊気を感じる……」
卓弥の真剣な顔を見て、皆に緊張が走った。




