41話 文化祭 一
夏休みが終わって、高校は二学期を迎えた。
二学期の最大行事は、言わずもがな文化祭である。
中学校のときもあったけど、文化祭とは名ばかりで、内容は合唱コンクール。
まあそれなりに盛り上がってはいたけれど、高校とは自由度がまったく違う。
二学期になってから、早速ホームルームの時間に文化祭の話し合いが始まった。
クラスの出し物を何にするのか決めるのだが、喫茶店、劇、ゲーム屋、お化け屋敷などの候補の中から、最終的に選ばれたのはお化け屋敷だった。
オカルト好きな裕太の積極的な意見が、他を圧倒したという感じであったが……。
出し物が決まると、放課後を使っての準備が始まった。
クラブに所属しているクラスメイトは、そちらの方も忙しくて、準備は帰宅部の生徒が中心となる。
私たち四人も帰宅部なので、クラスの多くの仕事を受け持つことになった。
お化け屋敷に必要な柳の木を作ったり、井戸を作ったり、衣装も縫わねばならず、なかなかの重労働だ。
「ねえ、卓弥はどうしてクラブに入ってないんだっけ?」
四人で一緒に火の玉作りをしているときに、卓弥に聞いてみた。
「ああ、俺は仕事が入ることがあるからね。親父一人で行かせるわけにはいかないから。それに修行も毎日してるし……」
「裕太は?」
「俺の場合は、長期休暇中にクラブ活動できないんだよ。親父の方針で、ホテルや飲食店のバイトをしているから。まあ、休みもあるから、お前らと遊べたんだけどな」
「私はね。中学校の時はバスケ部に入ってたんだけど……、試合中に気分が悪くなって部員の皆に迷惑をかけることがよくあって……、だから高校ではクラブに入らないことにしたの」
春子の気分が悪くなる原因は、きっと霊に憑かれたためだろうと推察する。
「春子、今はどう? 気分悪くない?」
「えっ? 今は気分悪くないけど……、でもちょっと寒いかな?」
実は、火の玉作りをしている春子の横に、女の霊がぴったりとくっついている。
若くはないが、派手なワンピース姿できれいにお化粧をして、黒いまつ毛がやたらと長い。
不自然なまつ毛の長さは、おそらく、つけまつげなのだと思う。
春子が寒さを感じるのは、女の霊がぴったりとくっついている部分に寒さを感じているからだろう。
この霊は、登校した朝から、春子が気に入ったようで、離れてくれない。
心配した私は、授業中に魂を飛ばして対面した。
「どうしてあなたは、この子にぴったりとくっついているのですか?」
「うーん、そうねえ。一緒にいて居心地がいいからなんだけど……、もうすぐ文化祭だってわかったから、見てみたいなあって思ってね」
「文化祭まで、ずっとくっついているんですか?」
「あなたたち、お化け屋敷をするんでしょ。私もやってみたいわ。私これでも元女優なのよ。テレビドラマにも出てたんだから」
元女優の霊は、得意気ににこりと笑った。




