39話 遊園地 一
夏休みが終わりに近づいた頃、裕太からお誘いのメールが届いた。
「遊園地の招待券(フリーパス付き)をもらったから、四人で一緒に行こう!」
春子は、夏休み最後の思い出になるから絶対に行きたいと言うし、私も春子が行くなら言ってもいいかなと思う。
卓弥は修行から帰って来たばかりで疲れているけど、皆が行くなら、せっかくだから行きたいと答えた。
そんなわけで、四人で遊園地に遊びに行くことになった。
人混みが苦手な私は、幼い頃に両親に連れて行ってもらってからは、一度も行ってない。
絶叫系なんて乗ったことがなくて、実際に心臓が持つのか心配していた。
当日、雲一つない快晴の下、私たちは汗をかきかき、アトラクション巡りを始めた。
「絶叫系のジェットコースターって初めてなんだけど……」
「麗奈、大丈夫よ。難しく考えずに、揺れに身体を任せればいいのよ」
春子は笑ってそう言うが、初めて乗る私はドキドキである。
でも、意外と乗ってみれば、心配していた絶叫系も、心臓が止まることはなく、思ったよりも楽しめた。
「じゃあ、次はコーヒーカップに行こう!」
春子がリーダーシップをとってくれるので、裕太も卓弥も私も、彼女について行く構図が出来上がっていた。
そんなわけで、久しぶりの遊園地を楽しく過ごせていたのだが、ただ、気を抜いていると、霊が視界に入って来る。
今日はできるだけ見ないでおこうと思っていたのだが、ふとした瞬間に見えてしまうのだ。
子どももいれば、老人もいる。
きっと何かしらの思い入れが、ここに残っているのだろう。
その中でも、私が気になった霊がいた。
若い男の霊である。
初めは入場口のところで立っていた。
次に見たのはメリーゴーランド。
木馬に乗る幼子と、それに寄り添う母親を目で追っていた。
次に見たのはコーヒーカップ。
ここでも、子どもが一緒の家族連れが乗っているコーヒーカップを見ていた。
ただ、その見つめる顔は、どことなく悲し気な目をしている。
誰かを探している?
その誰かに未練があるのだろうか……?
私には関係ないことだから放っておいたらいいのだろうけど、行く先々で視界に入って来るから、だんだんと気になり度合いが高くなってきた。
卓弥はどうなのだろう?
何か感じているのだろうか?
男の霊が、観覧車の前に立っているのを見たときに、卓弥に聞いてみた。
「何か感じる?」
「ああ、さっきから同じ霊の気を感じる。でも、禍々しいものではないんだ。どちらかと言うと暖かい感じ」
「私もさっきから気になってるの。聞いてみようかな? もしかしたら、何か力になれることがあるかもしれないし……」
私と卓弥がこそこそと話をしていたことが、裕太に気を遣わせたみたい。
「観覧車は、二組に分かれて乗ろうぜ!」
と言い出した。
「俺は春子と乗るから、お前らは二人で乗れよな」
「じゃあね!」
春子も悪乗りして、二人でさっさとゴンドラに乗り込んでしまった。
「じゃあ、俺たちも乗るか」
卓弥が乗った後に続いて私も乗った。
スタッフがドアを閉め、ゴンドラは円を描いて上がっていく。
「じゃあ、聞いてくるわ」
私は魂を飛ばした。




