表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能少女 麗奈 ―霊と対面する少女―  作者: 矢間カオル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/56

29話 映画館 三

彼女の言葉を聞いて、私は小さなため息をついた。


やっと彼女の視線の意味がわかった。


彼女はどうやら、彼の席に私が座っているのを気にして、恨めしそうに私を見ていたのだ。


この席を買ったのは私なんだから、彼の席ではないんだけど……。


「あの、失礼ですが、あなたは自分が死んでいることをご存じですか?」


「……知ってるわよ。そんなこと……」


なんだかちょっと、拗ねているように聞こえた。


だけど、私もこの席を守るために、言うべきことを言わねば……


「だったら、ここで彼に会うのは難しいのではないですか?」


「私は死んでから、彼に会いに行こうとしたのよ。だけど、海外なんて遠すぎて、行けなかった……。だから、約束したここで待ってるの。半年前にちゃんと約束したのよ。この映画を、この席で見ようって……」


なんだか彼女が可愛そうになってきて、私は折れることにした。


「じゃあ、この席はお譲りします」


私は魂を身体に戻し、春子の反対側の隣の席に移動した。


「ごめん春子。席、変わるわ」


春子は視界を遮られて一瞬驚いたようであったが、すぐに映画に集中していた。


私が今まで座っていた席は、空席になった。


これで彼女も落ち着いて彼を待てるだろうと思っていたら……


スーツ姿の若い男性がやって来て、その席に座った。


その男性からも、暗い光を感じた。


彼女は涙を流して彼をじっと見つめている。


彼は隣に座る彼女を抱きしめた。


そして……、キスをした……。


熱い抱擁とキスが繰り返されて、私はこれ以上見ていられなくて、映画に集中しようとしたけど、まったく頭に入ってこなかった。




映画が終わり、館内が明るくなったが、彼女と彼の姿は、もうそこにはなかった。


「すっごい感動的な映画だったね。私、最後のシーン、泣けたわ。長い間会えなかった二人が再会して抱き合うシーン、すっごく素敵なラブシーンだった。麗奈は?」


春子が涙目でポップコーンを食べながら、感想を求めてくる。


「う、うん……、感動的過ぎて、見ていられなくなったわ……」


「へー、そうなんだ。麗奈、次はランチだよ。これも楽しみだったんだよね」


「うん、そうだね」


あの二人は、約束通りにランチに行ったのだろうか?


それとも、やっと会えた幸せを感じながら成仏したのだろうか……。


そんなことを考えながら、私は春子と一緒にレストラン街へと足を向けた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ