25話 こっくりさん 二
こっくりさんは、低級な霊や狐霊を呼び寄せて行う降霊術だと言われているが、実際は、無意識な筋肉運動によって10円玉が動いているだけらしい。
ネットで調べたら、下手に子どもが遊ぶと、危険な状態になることがあるから、絶対に遊ばないように、なんて書かれている。
でも、もしかしたら、本当に何かの霊が取り憑いているかもしれない。
私は妹の霊を見ることにした。
「私の知り合いが同じようなことになったので、お力になれるかもしれないと思って会いに来ました」
卓弥の友人にはこう話した。
妹の部屋に入ると、聞いていた通り、妹はベッドにチョコンと座っている。
手を前にそろえて、まるで狐のようだ。
「妹さん、私が見えますか?」
「コンッ!」
これだけを見ていたら、本当に狐の霊に憑依されたように見える。
でも、私が見たところ、霊の姿は見えなかった。
卓弥も、霊気は感じないと言う。
妹は、食事は相変わらず、誰も見ていなかったら食べるし、トイレにも行く。
しかし、風呂に入らない状態が四日続いている。
本人も気持ちが悪いのではないだろうか……。
ふと気になったことがあったので、兄に聞いてみた。
「一緒に遊んでいた友人は、どうなったのですか?」
「僕も気になって会いに行ったけど、普通でした。妹が狐になったとは言えなくて、ちょっと話しただけで帰って来たけど……」
「私もその子に会ってみたいです」
兄に案内してもらって、私と卓弥はその子に会いに行った。
「まだ具合が悪いの?」
その子は、妹のことを心配していた。
兄は狐に憑かれたとは言わずに、体調不良だと伝えていたようだ。
「あのね。聞きたいことがあるんだけど、最後に何を聞いたのか教えてくれる?」
最後の質問の後に10円玉が動かなくなったから、ここは押さえておきたかった。
「あのね、みっちゃんが、お母さんは私のことが好きですか?って聞いたの。そしたら10円玉が動かなくなったの」
「教えてくれてありがとう」
帰ってから、卓弥と一緒に対策を練った。
どうやら妹の状態は、狐霊に憑かれたのではなく、自己暗示から来るものだと思われた。
10円玉は、潜在意識を見える形で表してくれると聞いたことがある。
小四の妹には、もっと幼い弟がいる。
母親が幼い弟をかまっていると、どうしても姉の方は手薄になる。
まだ小四の少女には、母の愛が自分から離れたように感じて、それがとても寂しかったのだろう。
「お母さんは私のことが好きですか?」
母の愛情を確認したくて、こっくりさんに聞いてはみたものの、寂しい思いをしているのだから「はい」とも答えたくないし、大好きな母親だから「いいえ」とも答えたくない。
あの狐憑き現象は、もっとかまって欲しいという思いが、強烈な自己暗示になって現れた結果なのだと思う。
妹の狐憑き現象を解くカギは……




