062 番外編 【速報】ランスロット逮捕&シャルルマーニュ十二勇士に性別詐称疑惑
今入ってきたニュースです。
アーサー王の円卓の騎士で最強と言われ、「湖の騎士」の異名をもつランスロット氏が逮捕されました。ランスロット容疑者は、同僚のケイ氏と同じ城に逗留した際に、武具を盗んだ窃盗の疑いが持たれています。
同容疑者は調べに対し、「ケイが寝坊したから悪戯のつもりだった。代わりに自分の武具を置いてきたから冗談で済むと思った」などと供述しており、大筋で容疑を認めています。
またランスロット容疑者は、他にも荷車に乗る奇行により円卓の騎士の品格を貶めたこと、偽名を使って馬上槍試合に出場した経歴詐称疑惑に対する批判も相次いでおり、騎士に叙任したアーサー王の任命責任が問われるのは避けられないものと見られます。
これに対し王は、「まことに遺憾だ。円卓の騎士にはコンプライアンスを徹底し、襟を正して職務に励んでほしい」とコメントしています。
任命責任に関しては、「ランスロットは騎士タークィンを討ち取るなど多くの武勲を挙げており、その指摘はまったく当たらない」と、自らの人事に問題はなかったと強調しました。反対派は「近日中に正式なコメントを発表する」としており、今後の経過が注目されます。
ニュースをお伝えしました。
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ここからは芸能ニュ~ス!
今日の特集はコレ! シャルルマーニュ十二勇士の性別詐称疑惑!
週刊誌の記事によると、「トランプにおけるハートのキングがシャルル皇帝ということは、残りが十二勇士を指していることは明らか。そしてトランプにはクイーン、すなわち女性が一人おり、十二勇士の誰かが男装の麗人と思われる」とのことです。
誰がどのカードかは様々な憶測が飛び交っていますが、シャルル皇帝がキングということは、叙事詩「ロランの歌」で主人公であるロラン氏はエースで該当しないとの見解は共通しているようですね。
逆に怪しいと見られているのは、常に一緒に行動しているジェラン氏とジェリエ氏のどちらか、あるいはエース、キングに次ぐ三番手はこの人だろうということで、ロラン氏の婚約者オード嬢の兄オリヴィエ氏が挙げられています。
三番手はチュルパン氏で、オリヴィエ氏はイメージ的にジャックとの意見もありますが、チュルパン氏は大司教なので騎士でなく聖職者であり、十二勇士とは別枠で関連は薄いと見られます。
あ、インタビューの映像がきました。
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ジェラン「事実無根のデマだよ。まったく荒唐無稽な話さ。僕たちが女だと主張する想像力豊かな人たちは、英雄が女体化されてるトレーディング・カードゲームのやりすぎじゃないのかい?」
ジェリエ「そもそも君たちは、我々の装備が何キロあるか知っているのか? 剣に槍、兜に鎖かたびら、盾……。とてもじゃないが、女性の体力じゃ無理だと思うね。まあ東の島国ジパングでは、鎧を着て馬を乗り回す女傑もいるらしいが……」
オリヴィエ「このような噂が立つのは、近年女性の社会進出が盛んになり、『女性でも男性と同じ職場で活躍できることを証明したい』という意識の高まりと無縁ではないでしょう。また、シャルル皇帝の側近がみな男性であることに対し、『女性の意見を聞く機会が損なわれている』と批判的な意見があることも承知しています。しかし、根も葉もない噂で混乱を招くのは、厳に慎んでいただくようお願い申しあげます」
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台本どおりというか、当たり障りのないコメントですね。わが芸能班は、トランスジェンダーの可能性も含めて、引き続きこの件を追っていきたいと思います。
それでは、また次回でお会いしましょう。ご視聴ありがとうございました。
タークィン
円卓の騎士に討たれた弟の仇討ちのため、アーサー王の騎士を片っ端から打ち倒していた豪傑。弟の敵だったランスロットに敗れて死亡するが、間違いなく作中最強クラス。
シャルルマーニュ十二勇士
顔ぶれには諸説あるが、ぶっちゃけロンスヴォー峠の戦いでは「武勇のロラン、知略のオリヴィエ、まとめ役のチュルパン」の三人だけ覚えておけばOK。後はモブと大差ない。
チュルパン
十二勇士のひとりとする異説あり。聖職者なのにメイスを使わず槍を振り回す破戒坊主。異教徒相手に血の雨を降らせて無双していたあたり、汝の敵を愛するつもりはないようだ。




