5日目
「今度はなにしてるの?」
「鞄を作っておこうかと思って。」
体力回復の為寝転がって暇そうな彩加の問いに薫は織物を続けながら答える。
初期装備の鞄だけでは心もとないので、どうやら薫は鞄を作ることにしたようだ。
『雑草』の茎を束ねて30分ほど煮て、土に埋めて表皮を発酵させた後、表面が白くカビが生えたようになったら表皮を水で洗い流し、再度水につけ、時々水を替えて表皮を腐らせ、表皮を取り除き繊維を剥ぎ取り、『生活魔法・乾』で乾かしておいたものを、木とツタで作っておいた木枠に縦に張た後、横に交互に通していき下へ下へと押し付けているのだ。
これで布が完成する。
因みに鞄が完成するまでに5日かかったのは、ひとえに表皮を発酵させる工程に時間がかかったからである。
あまりおおきな物は織れないが、小さいものを『雑草』から採取した繊維でつなぎ合わせて袋を完成させていく。
ついでに、余った布を袋状にし籠に溜めていた羽を詰め込み枕をつくっていく。
因みに籠は、暇に任せた薫がツルを採取し、初日の晩に作成しておいたものだ。
ツルを4本ずつ十字に置き、そのうちの1本を使って十字の芯を巻き、固定しベースを作る。
あとは上下に編んでいき、底が出来たら、芯を立ち上げて側面を編んでいく。
仕上は、芯を1本飛びに差し込んでいく。
そうやって仕上られた一品である。
なぜ、暇だったかといえば、ほとんど寝る必要がなかったからである。
魔力を使い切るたびに数分の睡眠をとっている薫の睡眠ゲージは、いつも満タンだ。
また、魔力も体力も使い切ってから全回復すると、その度に総量が増えることに気づいた薫は、さらに小刻みに睡眠をとるようになった。
採取を行い鑑定で魔力を空にし、製作で体力を空にする。そして睡眠。
そのサイクルで睡眠バーも少し減れっては回復を繰り返す。
結局、薫は一日中、30分に1度、10分程度の睡眠をとることを繰り返すこととなった。
そして5日目にして着々と日用品を作っていくことになる薫だった。
布が出来たことによる恩恵はまだあった。
タンポポの根を細かく刻んで『生活魔法・乾』で乾燥させ、石で砕いた物を、布をフィルターにして熱湯で抽出するのだ。
タンポポコーヒーのできあがりである。
ここでも地味に『生活魔法・乾』が活躍しているのはおいておいて、今晩からタンポポコーヒーがお目見えしたことにより、コーヒー中毒の彩加をことのほか喜ばせた。
薫の株は上昇する一方である。
世の父親達が聞けばうらやましいこと間違いなしだろうが、そもそも世の父親達はここまで頼りがいがあるのかは不明である。
しかし、薫は順応しすぎて、剣と’魔法’の世界を堪能しているのかは甚だ疑問である。




