↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/26

四千八百字


 企画書を直した。


 記憶を売買できる都市の成り立ち。


 記憶税。


 違法売買。


 保存技術。


 冒頭だけで四千八百字になった。


「……長いな」


 別ファイルを作る。


『設定_本文に全部入れない』


 四千八百字をそっちへ移した。


 本文に残したのは、主人公が給料の一部を「嫌な記憶」で納める場面だけ。


 ヒロインの登場も十七ページ目から八ページ目へ動かす。


 好きだった夜明けの場面は残した。


 佐伯さんへ送る。


 翌日。


「これなら読めます」


「前は?」


「資料でした」


「そんなに」


「そんなに」


 企画は通った。


 そのまま『空白都市のアリア』を書き始める。


 一章を書いて、九条へ送った。


 三十分後。


『面白いです』


「よし」


『七千字目から長いです』


「くそ」


 電話する。


「どこ」


『記憶税の説明』


「必要なんだよ」


『必要なのは分かります』


「じゃあ何」


『この三ページ、今ここにないと話止まります?』


 画面を見る。


 税制の成り立ち。


 階級ごとの納付方法。


 違法業者の歴史。


 困るのは俺だ。


 読者は、たぶん困らない。


「……分かった」


『何がですか』


「一回切る」


 税制の歴史を消した。


 違法業者の説明は後ろへ回した。


 階級ごとの納付方法も、必要になったところへ移す。


 最後に残ったのは、主人公の母親が「夫を失った日の記憶」を税として差し出した一文だった。


 送る。


 十分後。


『こっちです』


「何が違う?」


『今の方が、この人のこと気になります』


 画面を見る。


 母親の一文だけは、最初から消す候補に入らなかった。


「……そっか」


『今さら?』


「うるさい」


 切った設定は別ファイルへ移した。


 消したわけじゃない。


 今、ここに置かなかっただけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。