公開日
『空白都市のアリア』は、まず投稿サイトで連載することになった。
反応を見て、商業版を調整する。
今度はタイトルもあらすじも、佐伯さんと何度も話した。
長くはしなかった。
短すぎもしない。
作品の中身が分かる言葉を入れた。
第一話も直した。
世界説明を減らした。
主人公の目的を早めた。
ヒロインを出した。
俺なりに、できることは全部やった。
公開。
一時間。
PV、84。
「お」
前よりずっといい。
三時間。
PV、231。
ブックマーク、4。
初日の終わり。
PV、611。
ブックマーク、11。
悪くない。
いや、昔の俺なら喜んだ。
でもランキングには遠い。
二日目。
伸びが止まった。
三日目。
新規PVが半分になった。
五日目。
更新しても大きく増えない。
感想は二件。
どちらも好意的。
でも、それだけ。
俺は画面を見続けた。
半年かけた。
好きなものを書いた。
読みやすくした。
市場も見た。
届く工夫もした。
それでも。
「……これでも駄目か」
喉の奥が熱くなった。
誰も悪くない。
だから余計に苦しい。
タイトルのせいにもできない。
流行のせいにも。
編集のせいにも。
自分の好きなものを、自分なりに一番いい形で出した。
その結果がこれ。
スマホが鳴った。
九条。
出たくなかった。
でも出た。
『読みました』
「ありがとう」
『面白いです』
「うん」
『三枝さん』
「何」
『今、数字見てます?』
「見てない」
『嘘下手ですね』
黙る。
『会います?』
「今日はいい」
『分かりました』
それだけ。
慰めない。
だから助かった。
通話が切れたあと、管理画面をもう一度開いた。
ブックマークが一つ増えていた。
十二。
嬉しいと思った。
同時に、十二しかないと思った。
その両方が本当だった。




