第12話 勇者は一人を選べない?②
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ゴボゴボゴボゴボゴボ……………………
何だか、水のなかに突き落とされたような感覚だ……。
俺は自分の身体を確かめてみる。
自分の身体にはちゃんと腕も付いており、問題なさそうだ。
手をグーパーと繰り返し動かそうと意識すると、その通りに動いてくれる。
でも、何だか実体がない世界だ。
これは夢なのか?
「えっと……俺は何をしていたんだっけ……」
と、頭をかいたときに手を見やる。
すると、左手薬指には先ほど、付け交わした指輪までついていやがる。
どうやらこの世界は実体化された夢の世界なのかもしれない。
「そうだ。俺は摩耶が『黒之魔女』に魔精媚薬で身体が汚染されたのを吸い出したんだっけ……」
吸い出した……。
刹那、俺の脳に甦る、その時の生々しい映像が。
白い素肌の摩耶の可愛らしい双丘の先に俺は吸い付き、
「あぁん♡ ふぁあっ!? らめぇ……おぅ!? おおぉう!?!?」
身体をビクビクと痙攣させているのを傍目に、俺が吸い続けると、魔精媚薬が吸い出される。
摩耶はぎゅっと俺の服を握りしめ、顔を真っ赤にしながら、甘い吐息を漏らす。
どうやら、この魔精媚薬というものは、藍那先輩が言うにはイカせながらでなければ、排除できないのだという。
それならば、女同士のほうが良いのでは? と思いもしたのだが、藍那先輩は「君しかこの媚薬を体内で浄化できる人間はいないからな」という。
どうやら、俺の勇者としての権能は、転生した後も残っているらしい。
半信半疑ながらも吸い続けた。
「……ハァハァハァ……んんっ♡ ……もう……」
摩耶は半目を開けた状態で、瞳から涙を流しながら、顔を紅潮させつつ解毒に耐えている。
救ってやるために、俺は(いやらしい意味は全くなく)吸う!!!
とはいえ、さすがに30分近くも攻め続ければ、処女の摩耶が耐えられるはずもない。
きちんと魔精媚薬は抜けたようだが、それ以上に身体を襲った快感が凄かったのだろう。
蕩けたような瞳で俺のほうを見つめていた。
ま、マズイ……。そんなエロ動画を脳内再生されたら、俺の下半身だって黙っちゃいない……。
て、ここは夢の世界なんだっけ?
まあ、俺の下半身には何にも変化なくスンッとしているわけだよ。
現実世界での俺の身体にどんな異変が生じているか知らないけれど……。
てか、何で俺は現実世界に戻れないんだ?
もしかして、これが「死の宣刻」状態に陥った俺の精神世界か……?
【……起きて……】
ん? 誰かが俺を呼んでいる?
【……お願いだから、戻ってきて……】
誰なんだ?
【……ずっと、一緒にいたいから――――!】
微かに見える光。いや、これは人影か?
俺は夢の世界からそちらに向かって、意識を強める。
泳ぐような感覚で俺はその光の見える方に誘導されていく。
光は段々輝きを強めていき、目を開けていられないほどの眩しさが拡がる!
「ちゅぱ……私、神楽のこと好きだから……」
俺がふっと目を覚ますと、そこには摩耶の顔が間近にあった。
俺と摩耶の唇には唾液の糸がとろりと垂れている。
「死の宣刻」から起こしてくれたのだろうか……?
俺と目が合うと、彼女はそっと顔を右に逸らす。
その頬は赤くなっている。恥ずかしさが溢れ出ている感じ。
でも、瞳にはうっすらと涙が受かんでいることから、喜んではいるようだ……。
「……な、何か言うことがあるんじゃないの?」
摩耶は、ぶっきら棒にそう言い放つ。
相変わらずツンデレがキツイ奴、と俺は心の中から摩耶を可愛く感じてしまう。
「……た、助けてくれて、ありがとう」
俺がそう言うと、摩耶は少しほっとした表情になる。
「……ま、まあ、私もあんな状態になったのを助けてもらったんだから、う、嬉しいのは嬉しいわよ……ありがと……」
摩耶は目線は合わせないものの、顔を真っ赤にしながら感謝の言葉を述べる。
そりゃ、目線は合わせられないよな……。
あんなエッチなことを二人でしてしまったのだ。
《《最後》》まではしなかったとはいえ、高校生になってまだ1か月経たない間にしてしまうには……。
「……な、何よ。そんなに見つめなくてもいいじゃない」
そう言う摩耶の頬に手をそっと添えて、目線を合わせる。
「ちょ、ちょっと!?」
「摩耶の声が聞こえた……」
「え?」
「……やっぱり世界樹の木で誓ったのは摩耶だったんだな……」
「……うん……。『黒之魔女』から聞いたわ。世界樹でお祈りをしたときにいた『白之魔女』が私たちを永遠に結ばれない呪いをかけたって……。その所為で、前の世界では、神楽は勇者で、私は魔王となってしまって、運命が変えられてしまったって。それに、もう一つ。神楽が今の世界に転生するタイミングで、『黒之魔女』が私たち異世界転生組が神楽とキスをすることで、転生前の記憶を断片的に取り戻すと同時に、そ、その……神楽のことを考えると身体が疼くような呪いも掛けられちゃったんだって……」
摩耶は恥ずかしさを押し殺しながら、自分たちの呪いを説明してくれる。
「で、さらに俺には一週間に一度、異世界転生組の前で強制的に魂魄剥離が行われる『死の宣刻』という呪いが掛けられたのか……」
摩耶はコクリと小さく頷く。
「何だか、呪いばっかりだね……私たち」
「……やっぱり何とかならないのかな?」
「『黒之魔女』を消すだけではどうにもならないみたい……。呪いの術式が絡み合っていて、すでにどちらか一方を取り除こうとしても、術式にその残りカスみたいなものが残ってしまって、どうにもならないみたい……。でもね! 藍那先輩がいうには、方法があるかもしれないんだって! 複雑に絡み合ったものを取り除く方法のようなものがあるみたい……」
「そっか」
俺は難しそうな顔をする摩耶に対して、微笑んで見せる。
摩耶はポカーンと虚を突かれた表情をしている。
「じゃあ、その方法を何としても見つけて、絶対に呪いに打ち勝って、成就しようぜ。世界樹での願いをさ」
「……神楽……」
摩耶は瞳からボロボロと大粒の涙を零す。
「私も神楽との願いを叶えたい! 一緒に幸せになりたい! 私、神楽のことが好きだから!」
そして、そのまま抱きしめてくる。
むにゅん!
勢いよく飛びつくように抱きしめられた俺の胸の辺りに、摩耶の柔らかな双丘が当たる。
「「――――――――!?」」
俺たちはその瞬間に再び認識した。
そう。俺たちは今、素っ裸なのだと―――!
「あわわわわわわ………」
摩耶は顔を再び真っ赤にして、俺を払いのけようとする。
でも、俺はもう我慢できなかった。
「俺も、好きだ―――、摩耶」
そう言うと、彼女の頬に両手を添え、そのまま彼女の唇を奪った。
んちゅんちゅ……れろちゅぱ……
摩耶も満更ではないようで、自ら舌を絡めてくる。
そして、唇を離すと、摩耶は真っ赤に染めらめた笑顔で、
「絶対に一緒に掴もうね、私たちの幸せを―――」
「うん」
そう俺は頷くと、彼女を抱き寄せて、首筋、双丘……と舐めていく。
「ひぁんっ♡」
「もしも~し、お二人でお熱いところ申し訳ないんだけど……」
「私たちもここにいるんですけど~」
「ウチも神楽のことを思うと身体が疼いて、もう、溢れんばかりの―――」
「ああ!? 言わなくていいから!!」
「きゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
俺たちの真横には、顔を赤くして身悶えしている発情中の美少女たちが並んでいた。
「ゆ、祐二! わ、私にもそ、その濃厚なキスと激しい攻めをしてよ! 幼馴染として、ね!」
なぜか怒ってませんか? 江奈!?
「あらあら~、そんなにおっぱいが好きなんだったら、そんな小さいのより弾力性があって顔が埋まっちゃう私の方がいいですよ~」
うわ。久遠寺さんは、さらっと摩耶の小さめをディスってるし……!?
それを聞いて、ムスッと頬を膨らませて、対向の意思を燃やす摩耶。
「さっきから言ってる通り、ウチの下着がほらぁ~♡」
と、自らスカートをたくし上げて、痴女顔負けの痴女っぷりを見せつけてくる藍那先輩。
「幼馴染はラブコメでは負け要素」
「んぐぅ!?」
「神楽は大きいのも好きだけど、敏感な私のおっぱいの方が好き」
「あら~」
「神楽は襲われるよりも襲う方が好き」
「何ですってっ!?」
て、ちょっと待ってくれ。黙って聞いていたら、摩耶も俺の性癖を無茶苦茶なこと言ってないか!?
「ほら、あの三人のことは放っておいて、神楽、一緒に幸せになろうね!」
「「「絶対にさせないからっっっ!!!」」」
勝ち誇った笑みを浮かべる摩耶に対して、江奈、久遠寺さん、藍那先輩の3人は俺に襲い掛かってきたのであった。
いや、目がおかしいよ、皆さん!?
江奈は俺の唇を奪い、大人しい学級委員長である久遠寺さんは、胸を曝け出して、俺の身体を押し当ててくる。摩耶も負けじと俺の頬にキスをしてくる。そして、藍那先輩は、
「何やぁ~、大きくなっとるや~ん♡(うっとり)」
「ちょ、ちょっと!? 先輩! どこ握ってるんですかぁ~!?」
「え? 女を狂わすスティック型コントローラー♡」
「いや、言ってることが完全に痴女ですからね!?」
前途多難な旅が始まった気分だ。
本当に俺らに掛けられた呪いを解くことは出来るんだろうか。
でも、俺も摩耶との約束を果たしたいと本気で思うようになった。
やりからには、絶対に成し遂げてやる。
それが魔女の呪いであったとしても―――――。
「て、スティック型コントローラーを雑に扱うなぁ~!」
「ウチが頂くわぁ~。あ~ん、パクッ♡」
「おおぅっ!?」
ああ、本当に前途多難だな………。
こんな性欲モンスターと化す呪いを掛けられた恋人たちと一緒に果たして呪いなんて解除できるんだろうか……。
とにかく、ひとつずつやれることをやっていってやるさ……。
きっと叶えてやる————!
俺は彼女のことが好きなのだから————!
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