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21話

深夜帯に出さないのは久々な気がする

「んー!いい気持ちー!」

風を受けながら両手を広げる千夜。

「あぁ、いい風に、この橋は絶景だな。それに海も青くて綺麗だ」

長い長い橋を見上げる蓬。

「私、こういう船に乗るの初めて!なんか新感覚!」

「あ、如月先生!はしゃぎすぎると海に落ちますよ!」

船の上ではしゃぐ如月先生とそれを嗜める外崎先生。

「如月先生ってやっぱり子供っぽいなぁ。でも、霞さんは落ち着いてるんだね」

「あら、私だって今すぐ海に飛び込みたいくらい興奮してるわよ?」

「…飛び込まないでね?」

「どうだろう…雪がずっと抱きついてくれたら飛び込まなくて済むかも」

「…え?私が抱きつくの?」

「うん。ほらほら」

「わっ…」

霞が雪風を引き寄せ、抱きつく。

雪風の方が小柄なため、抱きつく、というよりは包み込むような動作になっているが。

「あれ?今日はより暑いなぁ。今の気温何度?」

「50度だってよ奥さま」

「あらまぁ、新記録ですわね」

「そこ、聞こえてるよ」

「あらら、聞こえてた」

千夜と蓬がケラケラと笑う。

「家族と旅行に行った事はあっても、友達と旅行に行くのは初めてだし、とっても楽しみだわ」

「へぇ、それならたくさん思い出作らないとね」

雪風はニコリと笑って言う。

一行は、高速船を運航している淡路ジェノバラインの船「まりん・あわじ」に乗り、淡路島へと向かっていた。

「でも、私まで来て良かったのかしら…」

「人数は多い方が楽しいじゃないですか。遠慮せずに楽しみましょう」

「そう…ありがとうね。暁さん」

「いえいえ」

ニコリと笑う。

しかし、なぜ一行が淡路島へ行くのか。

それは、遡る事2週間ほど前。


○▲○


「…旅行に行きたい?」

「そう。…嫌かしら?」

「ううん。嫌じゃないんだけど…どこか目処は立ってるの?」

「それはまだだけど…」

「…まあ、私もどこか行きたいなって思ってたし、良いと思うよ」

「本当!?ありがとう!」

「それで、千夜達は…」

そう言って千夜と蓬を見ると、2人は既にリビングに行っていつの間に持っていたのか旅行ガイドを開いてあれこれと言い合っている。

「…聞くまでもないね、じゃあ私達も行こうか」

「ええ」

2人はリビングへ行く。

「ただいまですー。…あれ?あれー!?」

「あ、如月先生お帰りなさい」

「こ、これは、まさか…旅行に!?」

「はい、何泊かする予定ですよ」

「へぇ…!あの、ところでこれは…その…」

チラチラと雪風を見る。

「ああ、如月先生が良ければ一緒に行きますか?」

まさか伝わるとは思っていなかったのか、目をぱちくりする。

「え、これで分かるの…?ゴホン!はい、ぜひ!」

「それじゃあ、どこ行きたいか候補出していきましょう」

「了解です!いやー楽しみだなぁ!」

そう言いながら床にぺたんと座り、旅行ガイドを開く。

その時、インターホンの音が鳴る。

「うん?誰だろう」

雪風が立ち上がり、テレビドアホンをつける。

「はーい。…え?」

「こんにちは。暁雪風さんのお宅ですか?」

『え?』

千夜、蓬、如月先生が振り向く。

学校で頻繁に聞いた声。けれど夏休み中では滅多なことがない限り、聞くことがないであろう声。

「少し用事があります。今お時間大丈夫ですか?」

なぜならその正体は…

「はい…今開けますね。外崎先生」

雪風達の副担任、外崎愛純だったからだ。

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