19話
雪風らは家にいる3人からの返信を待ちつつアイスを眺めていると、スマホが振動する。
「あ、返信来ました」
「お、内容は何ですか?」
「えぇっと…」
スマホに写っている文字を読む。
「『昼食はさっぱり料理、夕食はスタミナ料理がいい』…だそうです」
「ほうほう、夏のさっぱり料理といえば…麺系ですかね?」
「ですね。王道の冷やし中華でもいいかな」
その時、またスマホが鳴る。
何だろうと思い画面を見ると『霞さんがつけうどんが食べたいってよ』というメッセージが来ていた。
「如月先生、霞さんがつけうどんがいいらしいのでそっちに変更しますけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ!暁さんの作る料理はどれも美味しいですから!」
にこりとあどけない笑顔で答える如月先生に暁は
(あれ?これって一応合宿だよね…)
と思いながら笑みを浮かべる。
「じゃあ蓬と千夜にうどんか蕎麦か、聞いてみますね」
「はーい」
雪風はスマホのRINEを開いてメッセージを送る。
《昼食はつけうどんに決定したんだけど、蓬と千夜はうどんと蕎麦、どっち?》
「あ、如月先生はうどんと蕎麦、どちらが良いですか?」
「うーん、どっちでも行けますけど、そうですねぇ…うどんで!」
「分かりました。…あ」
「?どうしたんですか?」
「今回、如月先生と千夜は『合宿』という名目で泊まってるので、今日の昼食は一緒に作りましょう。多分あまり作ったことがないと思いますし」
「どんな料理なんですか?」
「今回はですね、さっぱり系ということで、つけうどんに鳥南蛮を加えたものです」
「つけうどんに鳥南蛮…?」
いまいちピンと来ていない如月先生は小首を傾げる。
「はい、まあ言葉だけだとあまり伝わらないと思いますし、実際に作ってみましょう。如月先生は蕎麦も食べられるみたいですし、両方に使える料理ですよ」
「ほうほう…!そういえば夏は食欲があまりなかったから簡素な料理しか作ってなかったし、暁先生、ご教授お願いします!」
「任せてください」
胸に手を当て笑みを浮かべる。
ちょうどその時、またスマホが振動する。
「蓬がそば、千夜がうどんがいいらしいです」
「昼食も決まった事ですし、早速買いに行きましょう!」
「待ってください、まだ夕飯が決まってませんよ」
「あ、そうか…」
歩き始めた足を止めて雪風に振り返る。
「夕飯、どうしましょうか?」
「うーん…スタミナ料理…どうしようかなぁ」
「スタミナ料理かぁ…」
2人はしばし頭を悩ませる。
ふと如月先生が口を開く。
「…夕飯に食べてみたい料理があるんですが、見に行きませんか?」
「食べたい料理?」
「はい、付いて来てください」
歩き始めた如月先生の背中をついていく。
その途中でマナーモードになっているスマホが小さい振動を伝える。
「…鰻?」
「はい、スタミナ料理という名目でもありますし、皆で囲んだらとても美味しいのではないかと思いまして」
私は一人暮らしですから、と少し悲しげに笑う。
「えぇ、もちろん大丈夫ですよ」
それに、とスマホの画面を見せながら言葉を続けて
「鰻を食べたいと思ってるのは、皆そうみたいですよ?」
「え?」
差し出されたスマホの画面を見ると、そこに書かれていたのは
『夕飯は鰻な!如月先生、多分食べたがってるだろ?俺達には分かるぞw』
と書かれていた。
「という事で昼食と夕飯が決まりましたし、早速足りない材料をカゴに入れましょう?」
「…はい!」
ひときわ明るい笑みを浮かべた如月先生は、雪風と一緒に材料をカゴに入れていく。
「そういえば、なんで藍沢さん達は私が鰻を食べたがってるって分かったんだろう…」
「そういえばなぜなんでしょうね、まあ帰って聞いてみれば分かると思いますし、早めに帰りましょうか」
「そうですね、ついでにアイスも買っちゃいましょうか!」
「分かりましたー」




