振り向いてくれるその日まで
《なーなー りっちゃん、彼氏いないんだろ?
俺と付き合お〔だめだ!!!〕
《おい…なんで小宮山が口出してくんだよ
彼氏でもねぇのに》
〔律は駄目なんだよ!〕
「私が誰と付き合おうが、
司には関係ないんですけどぉ?」
〔…〕
司はなぜか不貞腐れてた顔をしている
《ほらみろ!りっちゃんもそう思うよなぁ?
ってことで俺と…》
「でも、ごめーん!今は彼氏いらないかなぁ」
《あぁぁ!りっちゃん、ひでぇよ!》
「戸塚くん、ごめんねぇ」
《あーかわいい…許す!あ!!バイト行かねぇと
じゃーなー》
「また明日ねー」
戸塚くんが帰った後も、不貞腐れてる司が
まだ無言で睨んでくる
「あのさぁ…私のこと振ったくせに なんなの?」
〔…なんか…嫌なんだよ〕
「意味わかんない もう口出ししないでよね」
〔…ほかの誰かと付き合うつもりなのかよ〕
「…私意外とモテるんで そのうちあるかもねー
じゃ、私も帰るから」
そう言って教室を出ようとしたら
腕を引っ張られて壁際に追い詰められた
「ちょ、なに!?」
〔…〕
司は黙ったまま、所謂"壁ドン"と呼ばれる体制でいるわけだけど…
「はぁ…じゃあさ、司が付き合ってくれるの?私と」
〔それは…〕
「でしょ?何回も言わせないでっていうか、離れてくれない?人に見られたら誤解されるじゃん」
〔嫌なのかよ…〕
「嫌よ」
〔…〕
私は強引に離れて教室を出た
なんなのよ…
あの男は一世一代と言ってもいい
私の告白を振ったのだ
友達の関係が壊れてしまうかもしれない…という、
私の心配は
杞憂に終わったわけだけど…
本当に緊張したし、勇気を出したのに…
そりゃあさ、振られてもしょうがないよ?
好きな人だっているかもしれないし
でも、自分は付き合わないくせに
私が他の人と付き合うのは駄目とかおかしくない?
はぁ…
あんなやつとっとと忘れて
彼氏作っちゃおうかな…
【司point of view】
…律から告白されて嬉しかった
でも…振るまで、自分の気持ちに気づいてなくて
振ったあとにめちゃくちゃ後悔したんだ
律、モテるし…
そのうち本当に彼氏が出来るんだと思うと…
さっきも
じゃあさ、司が付き合ってくれるの?って聞かれた時、付き合う!って言えれば良かったんだけど
…言えなかった
言うならちゃんと自分から告白したくて…
それまで…他の奴が近寄らないようにしないと…
あ!!!
律がナンパされてる…!?
「離してください…人と待ち合わせしてるんで…」
{なになにー?彼氏でもくんのー?じゃあ、来るまででいいからさぁー}
「や…っ」
〔おーおまたせー〕
「司!?」
〔すみませんけどー俺の彼女に手を出すのやめてもらえます?〕
{…んだよ…本当に男待ちだったのかよ…}
男たちはそんな事をブツブツ言いながらどっか行った
俺、割と背は高い方だからさ
結構ビビって逃げられることも多いんだ
「…ありがと」
〔はぁ…良かった〕
「え?」
〔律が何ともなくてさ 家帰るんだろ?送るよ〕
「…待ち合わせしてるの」
〔え?誰と…〕
「彼氏になるかもしれない人」
〔はぁ!?〕
「…」
〔…嫌だ〕
「だから、何で?」
〔俺、律が好きだ〕
「…え」
〔俺が彼氏になる 他のやつには渡さない〕
「…なにそれ」
〔え?〕
「じゃあ、なんで私が告白した時振ったの?」
〔あ、いや…あの時は…〕
「あの時、司、私になんて言ったか覚えてる?」
〔…え?〕
「"勘弁してよ…俺と律が?恋人になるって…?
無理無理…今さらそんな目で見れないって"…そう言って笑ったのよ…?」
〔や、それは…〕
「それなのに、今度は誰にも渡さない?意味わかんない…そんなの、こっちから願い下げなんだけど」
律はそう言うと走って行ってしまった…
〔律!待って…〕
そうだった…
律の気持ちは嬉しかったはずなのに、素直になれなくて
笑ったんだ…
サイテーなことしておいて…
今さらだよな…
でも、このままじゃ駄目だ
走って律に追いついた
〔律…ごめん〕
「…」
〔嫌な言い方して悪かった…もう一度、話を聞いてほしい〕
「はぁ…わかった」
〔ほんとか!?ありがとう…俺んち、来る?〕
「…うん」
律を連れて家まで歩く
お互いに無言だ…
部屋に着くまでに、伝えたいことをまとめないといけないのに…
何をどう話せばいいのかも…よく分からなくなってきた
あ、もう着いちゃったし…
〔…どうぞ〕
「…お邪魔します」
〔うん〕
〔何か飲み物持ってくる〕
「ありがとう…」
俺は適当にお菓子と麦茶を持って部屋に入った
「あ、ありがとう…手伝う」
〔うん〕
テーブルに置いてとなりに座る
〔なんつーか…ドキドキするな…〕
「…」
〔あの時は、本当に…ごめん〕
「…うん」
〔伝えてくれたことは嬉しかったんだ それなのに素直になれなくて…照れ隠しっていうか…その…
笑っちゃって…ごめん〕
「…すごく勇気がいったの…緊張もした
それなのに、あんな言い方されて…悲しかった」
〔…サイテーなことしたよな、俺…本当にごめん〕
「…」
〔あの時さ〕
「うん」
〔律のこと振った後に、あれ?って…急に今みたいにドキドキしてさ やっと…気づいたんだ〕
「…」
〔でも、今度は俺からちゃんと言いたかったから…〕
「…それはさ」
〔うん〕
「急に私が他の人のものになるかもしれないって
惜しくなったってだけなんじゃない?」
〔違う!!それは絶対に違う〕
「…」
〔信じられないのも無理はないと思う…
けど…俺、本当に…〕
「…わかった 信じる」
〔本当か!?良かった…じゃあ、俺と付き合ってくれるのか?〕
「…それは…ちょっと考えさせて」
〔…そりゃ、そうだよな あんなひどいこと言っておいて… わかった…ゆっくりでいいから〕
「…」
〔そんな顔するなよ…俺、いつまでも待つから〕
「…だめだ…」
〔え?〕
「やっぱり無理」
〔…そっか そうだよな…〕
「あ、違うの」
〔…え?〕
「時間を置くなんて無理ってこと
こんなに好きなのに…」
〔律…〕
「彼氏になって?」
〔うん 律は俺の彼女だからな〕
「うん!」
こうして、仲直り(?)した俺たちは
付き合うことになったんだけど…
《はぁ!?りっちゃん、小宮山と付き合うの!?》
「うん!そうなりましたー」
《えぇーー!何でよ!俺だって付き合いたいのに》
〔だから駄目だって言ってんだろー〕
《おい、小宮山…お前、りっちゃんにエッチなことしたら許さねぇからな!》
〔…するだろ 付き合ってんだから〕
「…ちょっと!やめてよ!」
〔え?しないの!?〕
《やめてよねぇ!》
〔戸塚、うるさい なぁ、律ー…〕
「…まだだめ!恥ずかしいこと言わせないで!」
《やーい!ざまあみろ!》
〔ちぇーまぁ、いつまでも待つけど〕
「…もう…」
《りっちゃん、こいつのこと嫌になったら俺に言いな!俺ずっと待ってるからさ!》
「えー?いいの?」
〔駄目に決まってんだろ!!!〕
「あはは、駄目だって」
《りっちゃんが決めることだろー
お前が口出すんじゃねぇよ!》
〔律は俺の彼女なの!〕
「…」
《今は、な?》
〔なんだと!?ずっと、だ!!〕
《今だけ、な?》
〔ずっと!!〕
「…もう!やめなさい、2人とも!」
〔はーい〕/《はーい》
それからなぜか…3人でいることも増えて
俺は二人っきりがいいのに
律は戸塚が近寄ることを許してる
戸塚も、戸塚だよ…空気読めよ…
〔おい!くっつきすぎだぞ!〕
《なにがー?》
〔お前の彼女じゃねぇんだっつの!〕
《俺も好きだもーん な?りっちゃーん》
「戸塚くん…そろそろ司がキレそう」
《怖くねーし?》
〔ったく、こいつはー!!〕
《ねぇ!りっちゃん》
「ん?」
《司のどこが好きなの?》
〔お前っ…!〕
「…」
《あれ、考えすぎじゃない?》
〔え、おい、律…?〕
「…内緒!」
《へぇー?》
〔…何もないのかと思って焦った〕
「そんなわけないでしょ!恥ずかしかっただけ!
でもね、こうして3人でいるのも楽しい」
《だろー?りっちゃーん》
〔二人っきりのがいいだろうがよ…〕
{おーい、小宮山!先生が探してたぞー}
〔あ!!やべ!まだ提出してないんだった!
すぐ戻ってくるから!〕
「うん、いってらっしゃーい」
はぁーそうだった…あぶねぇー
提出しないで帰るとこだった…
えーっと…ノート…あれ…どこ行った!?
家か!?いや…ロッカー探すか…
…あ、入ってた…
焦ったぁーー
〔すいませんでしたー失礼しましたー!〕
さてと、律んとこ帰ろ…
あ!!そうだ…あいつら、今二人っきりじゃんか…
やべぇ!
早く行かないと…
律のことは信じてるけど
戸塚が何するかわかんねーからな…
はぁ、はぁ…
〔あ、あれ…戸塚は?〕
「帰ったよ」
〔なんだ…そっかぁ…はぁ…二人っきりだと思って…心配した…〕
「走ってきたの?」
〔そりゃ、そうだろ…二人っきりだぞ?〕
「…」
〔はぁー疲れたぁーそろそろ、帰るか〕
「うん」
〔ん?どうかしたのか?〕
「ううん なーんにも」
〔そか 行こ〕
【律point of view】
司が教室を出ていった後
戸塚くんが言ったの
《あいつ、妬きもち妬いてるっていうよりさ
りっちゃんのこと信用してないんじゃない?》
「え…?」
《だってさ 俺がいる時のあいつ、りっちゃんのことより自分の気持ちばっかじゃん》
「…」
なんとなく、思い当たるところはあった
急に好きだって言い出した時も
3人で話してるのが楽しいって言った時も
司は、いつも怒っていて
楽しくなさそうだったから
2人きりも楽しいよ、もちろん
でも学校にいるんだから
戸塚くんや他の友達とだって話したいし
そんなこと考えてたら
何も言葉が出なかった
《りっちゃん》
「ん?…え」
キス、してる…嘘…
《俺にしなよ
俺、最初からずっとりっちゃんだけを好きだよ》
「戸塚…くん…」
《…夕って呼んで?》
「…ゆう、くん…」
《俺なら、悲しませたりしない
りっちゃんを縛りつけたりしない
りっちゃんのこと信じてるし》
「…」
《考えてみてよ ね?》
「…」
そう言うとゆうくんは帰っていった
その後、ドタバタと足音がして
ドアが勢いよく開いた
はぁ、はぁ…
と、息も絶え絶えという感じで司が走って来た
〔あ、あれ…戸塚は?〕
「帰ったよ」
〔なんだ…そっかぁ…はぁ…二人っきりだと思って…心配した…〕
「走ってきたの?」
〔そりゃ、そうだろ…二人っきりだぞ?〕
「…」
〔はぁー疲れたぁーそろそろ、帰るか〕
「うん」
〔ん?どうかしたのか?〕
「ううん なーんにも」
〔そか 行こ〕
司の心配は当たったね…
私、他の人とキスしちゃったんだもんね
でも…なんだろう…
そんなに走って来なきゃいけないくらい
私の事、信用してなかった?
「司」
〔ん?〕
「ごめん やっぱり付き合うのやめる」
〔は!?なんで!?〕
「…ごめん 私、ゆうくんとキスした」
〔へ…ゆうって、戸塚…か?〕
「そう」
〔…なん…で、〕
「…ごめん」
〔俺のこと…もう、好きじゃない?〕
「わかんなく、なっちゃった…」
〔…〕
「…帰るね ごめん」
〔律〕
「なに?」
〔俺は、好きだよ〕
「…ごめんね」
走って帰った
司を傷つけた…
私が告白しなかったら
こんなことにならなかったのかもしれない
今も仲良しのまま、いられたのに
はぁ…
《りっちゃん?》
「え?あ、ゆうくん…」
《泣いてるの?》
「…付き合うのやめるって言っちゃった」
《…そっか》
ゆうくんは、涙を指で拭うと私を抱きしめた
「ゆうくん…」
《りっちゃんの正直な気持ち、聞かせて》
「…わからないの どうしたらいいの…?」
《…俺のとこにおいで》
「…」
〔そんなの、駄目に決まってんだろ!!〕
「司…!?」
《…》
〔律…もう一回、最初からやり直そ〕
「でも、私…」
〔俺、律が好きだ これからもずっと〕
「司…」
〔おいで、俺のとこに〕
「…」
私は…ゆうくんの腕にしがみついていた
〔律…〕
《りっちゃん、帰ろう》
「…うん」
〔戸塚〕
《なんだよ》
〔律のこと…頼む〕
「…っ」
《あぁ ちゃんと送る 行こう、りっちゃん》
ゆうくんは、送ってくれたときも
付き合おうって言ってくれたけど
ゆうくんとは友達のままでいる
司には話しかけることもなくなってしまった
2週間くらいした頃
同じクラスの高野さんに告白されて付き合うことになったらしいって噂になった
《りっちゃん》
「ん?」
《あいつらのこと…気になる?》
「ぜーんぜん!」
《そっか、帰ろうか》
「うん」
《そういや、社会のテストなんだけど…》
「うん…?」
そんな話をしながら歩いてたら
前から司とその子が歩いてきて
一瞬目が合ったけど
それはすぐにそらされて
お互いに前を向いて歩いた
〔…律が好きだよ ずっと〕
すれ違う時、そう聞こえて
振り返ると
困った顔をして笑っている司が私を見ていた
タイトル〘振り向いてくれるその日まで〙
Fin…
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