↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読み切り短編集  作者: おしるこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/61

お嬢様の恋

…こんな時間になってしまって

帰りたくはないけれど…もう帰らないと…


あ、こちらの道はたしか近道なはずでしたわね…


{あれー こんなところを可愛い子が通ったら危ないよー?}

「…!」

ど、どうしましょう…この人…お酒臭い…

{どうしたのかなー?おじさんと一緒に呑まない…?}

「あっ、いえ…私は…」

{へぇー?"わたくし"、ねぇー良いとこのお嬢さんなのかなぁー}

「…ぁ、その…」

[おっさん、やめときなよ]

{あぁ…?なんだぁ?邪魔する気かぁ?}

[…その子、財前家のお嬢様だぞ]

{な、なにっ!?}

「!ど、どうして…?」

[悪いこと言わない 帰ったほうがいい]

{…あぁ、じゃ、じゃあな…}


あ、行ってしまいました…よかった…

「あの…助けていただきまして、ありがとうございます…あの…どうして私が、財前家の者だと…?」

[…なんでだっけ っていうかSPはどうした?]

「抜け出してきてしまったものですから…」

[…じゃあ、家の近くまで送る]

「そんな、よろしいんですか?」

[いいよ また酔っ払いに絡まれても嫌だろ?]

「はい…ありがとうございます!」

[なんでこんな時間に一人で歩いてたんだ?]

「…お恥ずかしいのですが…お見合いを断りたくて…抗議の家出のつもりで…」

[ふーん…お嬢様ってのも大変だな]

「…お嬢様は、やめてください」

[ふ…名前は?]

「財前一華と申します…」

[で?一華はもう家に帰って降参すんの?]

「そんなことは…でも行くところが…ないものですから…」

[…じゃあ、俺んち来るか?]

「え…?よろしいんですか!?」

[…危なっかしいお嬢さんだなーすぐついて行こうとするなよ…]

「えっと…あなたは…」

[あー俺、長谷川智樹]

「智樹さんは、私を助けてくださいましたから」

[…覚えてねぇよな、やっぱり]

「…?どうかされました?」

[何でもねーよ 飯は食ったのか?]

「それが…何も持たずに出てきてしまって…」

[…いいよ、買って帰ろう]

「すみません…」

[コンビニの飯なんか食ったことないんだろうが、我慢してくれ]

「はい!お世話になります!」


【智樹point of view】


お嬢様が何を食うかわかんねーから、

本人に聞きながらてきとーに選んで、

明日の朝の分と、あと彼女の下着とか…買ってやった


なんで何も持たずに出てくんだよ、こいつは…


「お邪魔します…」

[悪いが、狭いけど我慢してくれ]

「いえ!お世話になれるだけでありがたいです」

[…ほら、これ あーおにぎりとか開け方わかんねーだろ?やってやるから]

「あの…やってみたいんです…教えていただけますか?」

[…ここをこうするだろ?そしたら、横を引っ張って…こっちも…そうだ]

「すごい…できました!ありがとうございます」

[…ゆっくり食いなよ 飲み物持ってくる]

「…ありがとうございます いただきます」


…変わってねぇなー

昔も今も 可愛いままだ


[はいよ、お茶だ]

「ありがとうございます…おいしいです!」

[そっか よかった]

「智樹さんは召し上がらないんですか?」

[俺はさっき食ったから]

「…!すみません、私のために…」

[いいんだよ 気にするな]


うまそーに食ってるな…

さて、あとで布団で寝かせて、俺はこっちで寝りゃいいか


「…何をなさってるんですか?」

[寝る準備してんだよ 一華はこっちで寝ろ]

「…智樹さんは?」

[あー俺はこっちで寝るから]

「いえ!私がこちらで…」

[いいんだよ 布団で寝てくれ]

「じゃあ…一緒に…」

[バカか!?お前は!]

「きゃっ」

[一緒の布団なんかで寝てなんかあったらどーするつもりだ!襲われたって文句言えねぇんだぞ!?]

「…」

[?なんだよ]

「…デジャブ…でしょうか」

[…なにが?]

「前にも、同じようなことが…」

[食い終わったんだったら、早くシャワー浴びてこいよ タオルは置いといたから]

「あ…はい…すみません、お借りします…」

[…]


思い出さない方がいい

思い出したって…何も変わらないんだから


【一華point of view】


…前にも…同じようなことが…


"ともくん、そんなに怒らないでよ!"

"あたし、ともくんと結婚するー!"

"ともくん…どうして!?あたしは…"


…?なに、これ…こんな記憶…知らない…


「智樹さんっ!」

[おま、お前っ!服着てからでてこ…]

「智樹さんは、私と…会ったことがあるのですか?」

[…風邪引くぞ いいから、まずは着替えろ]

「智樹さん…」


着替えた私は、智樹さんの話を聞きたかったんだけれど…

[俺も入ってくるわ 髪乾かしとけよ]

って、行ってしまって…


あの記憶は…

その時、本棚にある物に目がいった

…卒業アルバム?

…あ…もしかして…


急いでページをめくる

小学校のアルバムね…あった…

財前一華 齋藤智樹 …齋藤…?彼は確か長谷川と…

でも、この子は…智樹さんだわ…


こっちは…中学校のアルバム 

あ、ここにも…2人の名前がある…

齋藤…だわ…


次のページをめくると

同じクラスの人達のいろいろな写真が載っていて

そこに…私と智樹さんが…


あ…

"家柄なんて関係ないわ!あたしはあなたがいいの!"

"ともくん…どうして!?どこに行っちゃったの…"

"あたしに黙って…引っ越すなんて…"


あ…

「ともくん…」

[え]


そこには、お風呂からあがった智樹さんがいた

「ともくんっ…」

[…思い出したのか]

「ごめんなさいっ どうしてこんな大事なこと…

忘れちゃってたんだろ…」

[俺のせいなんだよ]

「え…?」

[…俺が引っ越したことを知ったお前は、親に頼み込んで俺のことを探し出したんだ

それで、俺に会いに来て俺を見つけて走り出した時に…]

「…あっ…」

[目が覚めた時には、今までの記憶が全て消えていて、性格も変わってしまってたんだよ]

「…」

[ご両親は、お前が変わったことを逆に歓迎していてな お前は逆らってばかりだったからなー…

記憶が戻るのを嫌がったご両親は、俺の責任を問わない代わりに、二度と娘の目の前に現れるな

と言ってきた]

「…信じられないっ あの、くそ親父…」

[あーあーこれだから俺に会わせたくなかったんだろーな]

「ねぇ、ともくん 長谷川っていうのは?」

[あー離婚したんだ、うちの両親 だから引っ越したんだよ]

「そうだったの…こっちにはいつ帰ってきたの?」

[去年だな]

「そう…」

[戻らないつもりだったんだけどな]

「どうして?」

[お前に会ったら…こうなるだろ?

でも…どうしても、お前の近くにはいたかった]

「ともくん…」

[性格は変わってたけど、変わってないところもあんのな]

「え?」

[お嬢様はやめてって さっき言ったろ]

「そうね…」

[で、記憶が戻んないうちにお見合いか]

「…絶対に嫌だった 従順に過ごしてきたけど、

それだけは絶対に嫌だったの」

[そっか]

「ねぇ、ともくん」

[ん?]

「駆け落ちしちゃおっか♪」

[お前なぁー…]

「ともくんはいいの?あたしがどっかのおじさんと結婚させられても」

[…おじさん…?]

「お見合いの相手50代だったのよ…信じられる!?

…あたし、22なのよ!?」

[金持ちなんじゃねーの?]

「お金なんて自分で働いて作るものよ」

[あーそうそう、昔もそんなこと言ってたな…]

「ね?だからー駆け落ちしよ!」

[探し出されるだろ…]

「んーじゃあー…作っちゃおっか!子ども♪」

[お前なぁ…]

「あたし、ともくんじゃなきゃ嫌ー」

[…]

「ともくん?」

[俺はさ…もっと、普通の人と一緒になりてぇよ]

「え…ともくん、なに、いっ…て…」

[お前みたいなお嬢様相手なんて、疲れるだけだからな]

「…!なんでそんな事言うの…?近くにいたかったって言ってくれたじゃない」

[…お前も見ただろ?財前家のお嬢様だとわかった時のあの酔っ払いの逃げる姿]

「…」

[そういう家なんだよ、お前のうちは

俺たちみたいな一般人が、気軽に触れられる家じゃないんだ]

「…もういい」

[…]

「帰る…」


ごめん…ごめんな…一華

嫌ってくれていい 俺のことなんて忘れてくれ


【一華point of view】


昔から…嘘が下手だったもんね ともくん

あなたは嘘をつく時、いつも鼻を触るのよ


ともくんこそ、忘れたのかしら?

あたし、諦める気ないから

財前家のお嬢様を舐めてもらったら困るわ


「ただいま帰りました お父様」

《一華どこに行っていたんだ…心配していたんだよ》

「お父様…お見合いのことなのですけれど…」

《受けてくれるのかい?》

「嫌に決まってんでしょ!?そんなに結婚したいなら、あんたがしなさいよ」

《な、な、っ…一華、お前、記憶が…!?》

「随分自分たちの都合のいいように操ってくれたわね…悪いけど、それも今日で終わりよ

出ていくわ」

《待ってくれ!それだけは…わかった!お見合いなんてしなくていい!頼むから…出ていかないでくれ》

「お見合いをしない、なんて当たり前のことで引き留められると思わないでほしいわね」

《他に、何かあるのか!?言う通りにする!なんでもしよう!》

「その言葉を待ってたの」

《え?》

「今日から私の夫には長谷川智樹さんになってもらうから …いいわね?」

《長谷川…智樹…? 智樹…だと…?》

「そう…あの時の彼よ」

《…そうしたら、出ていかないと言うんだな?》

「えぇ 貴方がたの都合のいいお嬢様に戻ってさしあげますわ お父様?」

《…わかった 好きにしなさい》

「…それでは、私、旦那様をお迎えに参ります

安井、…車を回して?」

❲かしこまりました、お嬢様❳


"ピーンポーン"

[はーい…え!?]

「智樹さん…お迎えに参りましたの…

一緒に来ていただけますか?」

[い、一華…?]

「?どうなさいました?旦那様…」

[え!?ちょ、ちょっと待ってくれ

どうなってる!?]

❲旦那様…こちらのお荷物は、私共が責任を持ってお運び致します さ、先に屋敷へどうぞ…❳

[えっと…こちらの方は…?]

「執事の安井ですの、さっ旦那様参りましょう♪」


智樹さんを無理やり車に乗せて我が家へ連れてきた


[な、なぁ、一華]

「なぁにー?」

[これは、どういうことなんだ?]

「認めさせたのよ ともくんとの結婚♪」

[お前っ…]

「今の財源家ってね、あたしがいないと何も進まないの あたしが出ていったらよほど困るのね

…ざまぁないわ」

[一華…]

「ともくんと一緒にいられるなら、よろこんでお嬢様でいてあげるって言ったのよ」

[いいのか?俺で…]

「俺が!いいの!

わかってくださいました?旦那様?」

[…はい]


「安井、ともくんの荷物お願いね!」

❲承知いたしております もう直、こちらに届くことになっておりますので…❳

[もうですか!?すみません、ありがとうございます…]

❲旦那様…私のような者にそのようにおっしゃっていただき、ありがたく存じます では失礼致します❳

[なんか申し訳ないな…]

「安井はね、ドМだから キツイこと頼んだ方が

よろこぶの」

[なにそれ!?]



「…お父様 旦那様をお連れ致しました」

《…一華のことをよろしく頼む》

[こ、こちらこそ…不束者ではございますが…よろしくお願いいたします]

「さ、行きましょう 旦那様♡」

[あ、うん…]

《あの、一華…家のことは…》

「…もちろん、旦那様についてまいります

私が支えますからご安心なさって?」

《…頼む…智樹くん》

[一華!?は、はいっ!…承知致しました!]




「ね、ともくん…」

[なんだ?]

「妻に何か言うことあるでしょー?」

[何を言わせようとしてるんだ?]

「…言ってくれないのぉ?」

[…あーもう!愛してるよ…一華]

「ともくんっ!!うれしいっ!

あたしも愛してる!」


やっと…やっと一緒になれた…

あたしの大好きな…初恋の人



タイトル〘お嬢様の恋〙


            

                  Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。