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読み切り短編集  作者: おしるこ


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4/61

大酒飲みの僕が下戸の君に酔わされて

いいにおーい…

この匂いすきー


あ、待って!行かないで…

ずっと、そばにいて…




「…え」

な、なにここ…どこ…!?

「ちょ…嘘でしょ…」

となりに見覚えのある顔の男が寝ている…


真壁 建吾…同じ部署の先輩だ…


逃げなきゃ…あっちも覚えてないかもしれないし…

寝てる間に…


そろーり…そろーり…

〔どこへ行くつもりなのかな?〕

「!!!」

恐る恐る振り返ると…

うわぁ…笑ってるのに目が怒ってる…

「あ…っと、その…昨日は…ご迷惑をおかけしたようで…」

〔そんなことはいい

君がずっとそばにいて、と言ってきたからな〕

「…へ?」

〔人を散々その気にさせておいて…まさか何も言わずに出ていこうとしていたわけではないだろうな?〕

「あ、はは…そ、そんなわけ…」

〔とりあえずここに座りなさい ほら〕

「…はい」

無理だ…逃げられない…またお説教されるのかなぁ…

やっぱり嫌われてるんだ…


〔…〕

「え…」

抱きしめられてるんですけど…なぜ…

「あ、あの…?」

〔…もしかして、君は何も覚えていないのか?〕

「え゛」

〔どこまで覚えている?〕

「え、えっと…確か…」


【↷居酒屋】


「もう1杯のんじゃおうかなーふふー」

[おい、もうお開きだぞー?]

「わかってるよぉ…もう一軒いこうよぉー

あれ、今日幹事さんってだぁれー?」

[真壁さんだよ…あ]

「まかべさんか…わたし…きらわれちゃったぁ…」

[おいおい…]

「今日もおこられた…泣くかとおもったぁ…」

[…そのくらいにしとけって…]

「あーん…嫌われてるんだーぜったいぃ!

他の人にはやさしいのにーバカにはやさしくしてくれないんらー…」

〔はぁ…飲み過ぎですよ〕

「え…?」


ーーーー「ここまで…」

〔僕の記憶、教えてあげようか〕

「はい…なんか怖いけど…」


 

〔はぁ…飲み過ぎですよ〕

「え…?あ!まかべさんらー…まかべさん、わたひのこと、きらいなんれすかー?」

〔そんなことありませんが〕

「らって、いつもいつもわたひにしかおこららいしー きらいなんれしょー」

〔…誰ですか、こんなになるまで飲ませたのは…〕

[すみません…こいつ、甘いカクテル1杯しか飲んでないんです…]

〔何っ!?…もう飲ませられないな

すまないが、お水をもらってきてくれる?〕

[はい!…もらってきました!]

〔ありがとう ほら、南城さん、お水…〕

「ねむーい…いらなーい」

〔お水を飲んでおかないと、後に響きますから…

ほら…〕

「…ぇー?のませてぇー」

[おいっ!お前…!]

〔…いいんですね?……んんっ…〕

「んん…ん、ごくっ…ん なにこれ、きもちー…」

[ま、真壁さん…!?]

〔すまないが…彼女は僕が連れて帰る

君は気をつけて帰るようにね〕

[は、はい…]


ーーーー「う、嘘…」

〔まだありますよ?〕

「やだ、聞きたくない…」


〔ここに連れてきた僕は、まず君をベッドに寝かせて部屋を出ようとしたんですよ〕

「…はい…」

〔そうしたら…この匂いすきーって、言い出して

僕の腕を離してくれなくてね

困った僕は、なんとか腕を外して寝かせたんだが〕

「…」

〔…ずっと、そばにいてと言われてしまって…

結局抱きつかれたまま動けずに朝を迎えた…

というわけだ〕

「…」


え、あれ、夢なんじゃなかったの…?

全部口に出してたってこと…?

あの、真壁さんに…?

〔…想い出してくれたのかな?〕

「夢の…出来事かと…思っていました…」

〔…夢なんかで終わらすわけがないだろう?〕

「…え?」

〔君は、僕の匂いをいい匂いだと言った

匂いの相性がいい、ということは恋人としても相性がいいということだろう?〕

「え…と…?」

〔そして君は僕に嫌われているか気にしていたが

嫌われていたら嫌だからだろう?〕

「そ、それは…まぁ…」

〔なら、僕たちは恋人になるべきじゃないか?〕

「いやその、真壁さん?」

〔なんだい?〕

「恋人って言いますけど、真壁さん、私のこと好きなんですか?」

〔…っ〕

わかりやすー…目、そらして手で口を抑えてる…

めちゃくちゃ真っ赤…耳まで…

〔そ、その…君だって、僕のこと…ということなんだろう?〕

「えーと…どうでしょう…」

〔え!?〕


だって…嫌われてると思ってたし…好きだけど…

付き合えたとして、もっとズボラなのとかバレたら絶対嫌われて捨てられちゃう…そしたら、会社にも行けなくなっちゃう…

なんとかして…諦めてもらわないと…

「真壁さん」

〔な、なんだろうか〕

「ちょっと失礼します…」

〔わっ、ちょっ、ちょっと〕

「じっとしててください」

〔あ、あぁ…〕

「やっぱり好き…この匂い」

〔恥ずかしいのだが…〕

「真壁さん」

〔な、なんだい?〕

「ちょっと失礼…ん、んんっ」

〔!?…んん、〕

「ん…んっ、ん」

〔んん…ん、ん〕

え、逆効果だった!?

絶対こういうの嫌がると思って

嫌われるためにやったのに押し倒されてる…

手、つながれてる…うー気持ちいい…

なにこのキス…好き…

"ドンッ"「やっぱりだめ…っ」

〔え?〕

「こんなキスずっとしてたら…おかしくなっちゃう」

〔そ、それはどういう…〕

「お付き合い、できません ごめんなさい」

〔な、なんで…!?〕

「帰ります」


これでいい よし…

〔待った!〕

「え?」

〔帰さない〕

「いやいや、そんな…」

〔君がその気にさせたんじゃないか…責任取ってくれ〕

「酔っぱらいの戯言ですし…」

〔なら…〕

ん?何か取りに行った?

〔…ん、んんっ…〕

「…ん、…ごくっ…ん…」

なに、これ…お酒…?

〔昨日の可愛いままの君でいてくれ〕

…え?



【建吾point of view】


「…んぅ…なんれすかー?これはー」

〔あ!南城さん〕

「まかべさんらーぎゅってしてくらさいー」

〔うん!おいで!〕

「…すきぃ…」

〔僕も好きだ…〕

「ほんとー?」

〔あぁ ずっと一緒にいてくれるんだろう?〕

「うん…いるー」

〔!!…沙耶香…〕

「なぁにー?えっと…」

〔建吾〕

「けんごさーん…なぁにー?」

〔あぁ、可愛いなぁ…〕

「ねぇ、けんごさん…ちゅーしてぇ?」

〔い、いいのか…?〕

「…だめなんれすかぁ?」

〔駄目なもんか!…うん、しよ…っか〕

「けんごさーん…すきぃ…」

〔僕も…好きだ…っ 沙耶香…〕


ーーーーー


「…」

寝ちゃったか…

最後までしてしまった…可愛かったなぁ…


ずっと酔わせておくわけにもいかないが…

でも、致してしまったからな…

これからのことは僕が責任を取ろう




女性から、あんな風に言われたのは初めてだった

いい匂い…なんて


それにしても

怒られて泣きそうだった…か


でも、あのやり方は危険だったから

君が怪我でもしたら…そう思ったら、少し言葉がきつくなってしまっただけなんだ すまない


普段注意しているのも、何かあってからでは遅いから…

怒られている、と思っていたのか…


嫌いになんてなるわけがない

手はかかるが、ずっと可愛いと思っていた


どれだけ叱っても真壁さーんって言ってついて来てくれる


正直、両想いなんじゃないかと思っていたくらいなんだ…


キスが気持ちよすぎて付き合えないって、どういうことなんだ…

気持ちいいと駄目なのか…?

何の問題があるというのだろう


「…ん…え!?」

〔目が覚めた?〕

「嘘…しちゃった…んですか…?」

〔君から言い出したんだよ?〕

「いや、だって…酔っ払いの言う事なんて真に受けないでくださいよ!」

〔…無理だろう、それは〕

「…どうするんですか…」

〔僕が責任取る 君とずっと一緒にいる〕

「…はぁ…」

〔ため息つかなくてもいいじゃないか…傷つくぞ…〕

「…記憶がないので、ノーカンですね

これで失礼します」

〔帰さないと言っただろう?〕

「記憶ないですもん」

〔なら、作ってあげる〕

「え?」

〔…好きだ、沙耶香〕

「!!!」

〔好きだ…ん、んんっ…〕

「ん、んっ…ちょっ…真壁さ…」

〔え…っ、んん…っ、〕


ーーーーー


〔これで記憶もばっちりだな?〕

「…もうー」

〔それより…なぜ名前で呼んでくれないんだ〕

「…何のことですか?」

〔僕のことを名前で呼んだじゃないか〕

「…え?」

〔…覚えてないのか?〕

「…す、すみません…えっと…」

〔建吾だ…呼んで〕

「…建吾さん」

〔…沙耶香…〕


あー自分から言っておいて…

顔真っ赤になってるんだろうな…

抱きしめて誤魔化してるんだが…

ずっとってわけにもいかないか


〔沙耶香、夜まで一緒にいてくれるだろう?

昼と夜か…何食べる?〕

「…そんなにお腹空かないかもです」

〔少食なのか?〕

「あまり食に興味がないといいますか」

〔そうか じゃあ、僕に任せてくれ〕

「建吾さんが作るんですか?」

〔そうだよ〕

「イケメンですねぇ」

〔そうか?〕

「建吾さんモテるんですから 料理までできる

なんてわかったらもっとすごそう」

〔君以外の女性には興味ないが…〕

「…そういうこと、サラッと言うんですから…」

〔なんだい?何か言ったか?〕

「いいえー」

〔そういえば…昨日、君と一緒に話してた彼、

あの彼は…友達なのかな?〕

「同期です」

〔…仲良さそうだったなぁ〕

「ヤキモチですか?」

〔あぁ〕

「妬くんだ…」

〔当たり前だろう?好きな子が甘えて話してたんだ 手が出るかと思ったよ〕

「こわー…」

〔これからは他の人の前で呑んだら駄目だからな〕

「えー?」

〔キスなんかされたら…困る〕

「しませんし」

〔飲み会は禁止だ!!〕

「パワハラー!」


〔沙耶香…〕

「ん?なんです?」

〔…ん、んん〕

「…ん、…ん、ごくっ…」


〔沙耶香〕

「んぅ…けんごさぁん…」

〔可愛いなぁ〕

「えー?」

〔他の男の前で酒呑んだら駄目だからね?〕

「はぁい…けんごさんのまえらけにするー」

〔いい子だね、愛してるよ〕

「あい、してる…?」

〔うん、愛してる〕

「うれしいーぎゅってしてぇ」

〔うん、おいで…〕



髪を撫でたら、額をくっつけてくる

シラフでもこのくらい素直でいてくれるといいんだが…





「…建吾さん、大好きです…愛しています」


ん…いつの間にか眠ってしまってたのか


僕の耳元で

そう囁く彼女の声は普段の声そのものだった


はぁ…他の奴にこんな姿を見せるわけにいかなくなったな やっぱり飲み会は禁止にしよう


〔僕も愛してるよ〕

「えっ、起きてたんですか…!?」

〔…もう一度、言ってくれないか?〕

「…愛してます 建吾さん」



すっかり酔わされてしまった



タイトル〘大酒飲みの僕が下戸の君に酔わされて〙


 

                  Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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