知らない一面【BL】
あなたは知らないんですよ
ーー僕が、あなたをどんなに好きかってこと
君は知らないんだろうな
ーー俺が、君しか見てないってこと
[おい 鈴宮ぁーいつまで寝てるんだ?]
〔ん…あ、あれ…え!?会議は!?〕
[とっくに終わっているが…?]
〔うわぁ…すみませーん…〕
[はぁ…書類まとめてあるから目を通しておけ]
〔は、はい!あのー…主任?〕
[ん?]
〔怒らないんですか?〕
[怒っても時間は戻らないからな
それよりも、仕事で返せ]
〔うーん…〕
[…なんだ、その返事は…]
〔怒られたかったなぁ…〕
[は?]
〔あ!その低い声最高です!目が覚めました!
午後からは頑張りますからー!
お昼行ってきますっ〕
[…まだ話は終わっていないぞ?]
〔え〕
[ランチタイム中にしっかりお説教してやろうな]
〔ほんとですかぁ!?〕
[何でよろこんでるんだ…行くぞ 鈴宮]
〔はぁーい!〕
相変わらず仲がいいな、あの2人は
付き合ってるんじゃないか?なんて噂になっているくらいだ
《主任、鈴宮ちゃんに甘いからなー》
「あ、矢中さん まぁ、叱らないでしょうね
ただ、ランチ一緒に食べたいだけかも」
《だよなー俺もそう思う》
「じゃあ、僕もお昼行ってきます」
《あ!たまには一緒にどうだ?》
「あれ?矢中さん今日はお弁当ないんですか?」
《2人で寝坊してさ あいつは同じ部署の子と食べるから1人なんだよ 行こうぜー》
「はい」
矢中さんおすすめの定食屋に連れてきてもらった
《それで?どうなんだよ》
「?なにがですか?」
《鈴宮ちゃんのこと好きなんじゃないの?》
「…やめてくださいよ」
《取られちまうぞ?あれじゃー》
「それならそれで、いいですよ」
《ふーん なら何も言わねーけどさ》
「男の恋バナなんて聞いてもおもしろくもなんともないでしょう?」
《おもしれーじゃん?知り合いのなら》
「…ご自分はどうなんです?」
《俺?知ってんだろ 結婚してんの!》
「…見ましたよ?事務の女の子をナンパしてるの」
《げっ…わかったわかった!もう聞かない!
だから、俺のことも忘れてくれ!!》
「いいですよー!ごちそうさまです!」
《しっかりしてんなー…》
まぁ、それは冗談として
この人、何人もナンパしてるんだよなー
バレても知らないぞ…
となりのフロアに奥さんいるのに…
さてと、打ち合わせの準備しないと
[竹中くん]
「主任、どうしました?」
[矢中と飯行ってたんだ?]
「はい おいしいお店を紹介してもらいました」
[そうなんだー あ、そうそう
午後のメーカーさんとの時間15時だったよね?]
「はい、そうです なので14時には出ようかと」
[うん 俺も行くから]
「主任もですか?」
[うん 頼むね]
「はい」
…何で?主任がついてくるなんて珍しい
時間通り、14時
主任と一緒にメーカーさんの本社に向かう
もちろん僕が運転してるんだけど…
[帰りはさ、俺が運転するよ]
「?いや、僕が…」
[いいからいいから じゃ、行こうか]
「あ、はい」
打ち合わせが終わったのが16時半だった
少し時間はかかったけど
滞りなく進んだし
主任、何も発言しないし…ついてくることなかったんじゃないかな
何でついてきたんだろう
[よし!じゃあ帰ろうか]
「はい 運転お願いします」
[そうそう、ちょーっと寄ってくとこあるからさ
付き合ってよ]
「え?あ、はい」
どこ行くんだろ…
会社とは逆の方向だな…
まだ仕事残ってるんだけどなぁ…
車で移動すること30分
え…なんで?中華料理屋さん?
「え?ここ、ですか…?」
[そ!]
「…お腹空いてるんですか?主任」
[腹も減ってるけど、俺たち直帰にしたから]
「え!?」
[さ!何食べる?遠慮しないで頼んで!]
「いや、えっと…主任?」
[なんだい?]
「僕、まだまとめなくてはならない書類が…」
[□▲さんのでしょ?月曜でいいから!]
「はぁ…主任がそうおっしゃるなら…」
[さっ!食べよ]
【主任point of view】
目の前で少し不服そうに飯を食べてる男
竹中真守はどうやら鈴宮利奈に惚れてるらしい
社員の恋仲に口を挟む気はない
ないのだが…
鈴宮が彼が好きだって昼間話してたから
気持ちを確かめてみようと誘ったんだが、
話してくれるようなタイプではなさそうだよなー
[そうそう 竹中くんはさ]
「はい」
[好きな子とかいるの?]
「…今日はそういう話が多いですね
さっきも矢中さんに聞かれました」
[そうなんだ それはすまない で、どう?]
「いるかいないか、と言われれば…いますね」
[そっかーうちの会社の人?]
「…えぇ」
[そっかそっかー誰か聞いたら答えてくれる?]
「それはちょっと…でも、どうしてですか?」
[うーん…好奇心?]
「…主任はどうなんですか?」
[俺ー?俺はさ、仕事が恋人だから?]
「…そうでしたか」
[あんまり向いてないんだ 女の子と付き合ったり、一緒に住んだり?]
「そうなんですか?」
[いろいろあったからねーこれでも]
「鈴宮さんのこと…」
[うん?]
「好きなのかと思っていました」
[おいおい…何歳差だと思ってるんだ]
「さっきもランチ行ってましたよね?」
[説教しろっていうからさーたっぷりしといたよ]
「主任がですか!?」
[なんだよ…俺だって叱るときは叱るぞ?]
「意外です」
[なんでだよ…]
「矢中さんと、主任は鈴宮さんに甘いからって話してたんですよ」
[えー?そうかー?君は矢中と仲良いもんな
あいつ女の子の話ばっかりだろ]
「そうですね」
そんな話をしながら食事を終えた
誰かは言わなかったなー ふーん?
[さーて そろそろ帰るか]
「はい あ!僕、車返しておきますから」
[いいよ 俺が行くから]
「あ…じゃあ、ご一緒していいですか?」
[いいけど どうした?]
「忘れ物しちゃって」
[そっか じゃあ、行こうか]
【竹中point of view】
本当に何しについてきたんだ、主任は…
僕の好きな人なんか聞いてどうするつもりだったんだろう
車を返した主任は帰っていったけど
僕はまだ書類が残っていたから
タイムカードは切ってあるけど
そのまま、仕事を始めた
[あーやっぱり]
「主任!?帰ったんじゃなかったんですか?」
[下で待ってたのに来ないんだもん
こんなことじゃないかと思ったよ ほら、帰るよ]
「いや、でも…」
[か え る ぞ!]
「はい…」
[さ、行こっか]
「え?どこにですか?」
[俺んち]
「え!?な、なんでですか!?」
[別れたらまた会社向かいそうだし]
「いやいや、帰りますから…」
[いいから行くぞー]
「…はい…」
なんなんだ、本当に…!
今日の主任、強引すぎないか?
[コーヒーでいい?]
「あ、はい…いただきます」
[ねぇねぇ]
「はい?」
[君の好きな人ってさ 俺だろ]
「!!!!」
な、な、なんで…隠せてると思ってたのに…
[うんうん やっぱりなー]
「い、いや、その…」
[隠さなくていいぞ 俺も好きだから]
「え」
[聞こえなかった?俺も好きだっていっ…]
「き!聞こえてます…から」
[今日さ、どうして俺がついてったかわかる?]
「いえ…正直本当に謎でした」
[昼飯食ってるときに鈴宮が君を好きだって言い出してさ
なんか、嫌な予感したから そばにいたかった]
「嫌な予感、ですか?」
[もしかしたら、君も好きなのかと思ったから]
「あぁ…」
[でも、杞憂だった 君が好きなのは俺だから]
「…どうしてわかったんですか」
[なんとなくそうだろうなとは思ってたけど
確信したのは名前を言わなかったから]
「?」
[鈴宮だったらそういうだろうし
どうとでも言えたはずなんだ うちの部署の、とか他の部署の、でもいいけど
それでも、ちゃんと目を見て言ってくれたから
確信したよ 俺って言えないだけだって]
「…あのー」
[ん?]
「主任は、どうして僕を…?」
[んー]
「主任なら、今までだって何人にも…」
[興味ないよ そんなの]
「え…?」
[言っただろう?"女の子と付き合うのは向いてない"って]
「あ…」
[君とは一緒にいて楽だからね]
「楽?ですか?」
[うん うまく言葉に出来ないが…
こうして話してるだけで落ち着くんだ]
「…ありがとうございます…」
[答えになったかな?]
「あの、もう一つ…どうして家に連れてきてくれたんですか?」
[そりゃ離す気ないから]
「…本気にして、いいんですか?」
[冗談で言ってると思った?]
「もう傷つきたくないんです 散々好きだって言われてたのに、その後にやっぱり嘘、とか
なんか違った、なんてことが多々あったので」
[そいつら並べて説教してやりたいくらいだ]
「主任…」
[それで?]
「はい?」
[しっかり聞きたい 君の口から]
「…主任が好きです」
[あー良かった]
「?」
[ちゃんと君の口から聞きたかった
不安だったからね]
「不安?ですか?」
[俺は君が、俺のことが好きなんだって思ってよろこんでたけどさ
フロアで鈴宮が好きだって噂になってたからね
心変わりでもしたのかと思ってさ]
「そんな噂になってたんですか!?」
[うん
その噂のせいで、鈴宮が本気になったんだよ
で、ランチの間ずーーーっと君のどこが好きだの、協力してくれだのってうるさくてな]
「…困りましたね」
[だから、恋も大事だがまずは仕事をちゃんとしろ!って言っておいた 会議中に寝てんじゃねーってさ]
「そうだったんですか」
[俺としては
君の気持ちさえわかれば、安心だからね]
「主任…」
[名前で呼んでいいよ?]
【主任point of view】
「和臣さん…離しませんからね」
[おっと…目つきが変わったね?]
「あなたは知らないんですよ
僕が、あなたをどんなに好きかってこと」
[ふーん?ゆっくりわからせてくれよ]
「えぇ…」
真守はネクタイを外すと俺の腕を縛って満足げに
見下ろしている
[…その顔、ぞくぞくするねぇ]
「もっと見せてあげますよ…」
俺の腕の中で寝てる真守は
会社で見てるまんまの少し幼い印象だ
それにしても…
まったく…ずいぶんねちっこいな
可愛い顔して…
僕だけを見て…なんて切なげに言うんだから
はぁ…
君は知らないんだろうな
俺が、君しか見てないってこと
お願いされなくたって
ずーっと君だけを見てるし
離すつもりはないからね
さて、
明日は休みか
誰にも見せてない一面 見せてあげようか
ーー先ほどまで俺を縛っていたネクタイは
今は真守の腕に硬く結ばれている
タイトル〘知らない一面〙
Fin…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




