鈍感な想いを捕まえて
『来週だけどよー』
「…もうこれで最後にする じゃあね」
『は?おい、ちょっと待てっ』
これでいいの
もう振り回されたくない
どれだけ身体を重ねても
それ以上になれることはないんだから
"なぁ、さっきのどういうことだよ ちゃんと説明しろ"
"なんで急にそんなこと言い出すんだよ"
"おい、とりあえず話しよう?"
Rileの通知がうるさい
わたしの話なんて聞こうとしなかったくせに
元々そういう設定にしているから
通話はできなくしている
それでも通知は来る
本当はブロックすればいいんだけど
…未練、かな…
はぁ…切るならちゃんと切らないといけないのに
それでも、もう会わないと言えたことだけでも…
わたしにとっては大きな進歩だ
今川龍とは2年もこの関係を続けてきた
わたしはもちろん好きだけど…
彼はそうではない
何人かいるセフレのうちの1人だから
最初はそれでよかった
でも…欲がでてくるもので…
他のセフレを切って欲しい
セフレじゃなくて恋人にして
わたしだけを見て…って
そんなこと言えないし、そんな気持ち見せたくないだから離れることにした
そんなとき
《あのっ…早川春さん!好きです!
付き合ってもらえませんか?》
そう声をかけてくれた人がいた
「ごめんなさい わたし、好きな人がいるので…」
《なら、友達!ね?それならいいでしょ?
嫌がることはしないって約束するから》
…少し強引だけど、
今までそんなこと言われたことなかったから
「じゃあ…友達…で」
なんて言ってしまった
次の休みは、その人と出かけることになっている
でも、異性の友達…って何するの?
食事とか?
とりあえず彼のことを忘れるために
仕事中もプライベートも忙しくしておきたかった
【土曜日】
《春さーん!こっちこっちー!》
「あ…こんにちは…って名前で呼ぶの?」
《だめだった?俺のことも名前で呼んでよ》
「ううん…そんなことはないけど…えっと、わたしはまだ名字で…慣れたら呼ばせてもらうね」
《おっけー!食事どこ行こっか 春さん、何が好きなの?》
「あ、わたしはなんでも…武田さんの好きなもので」
《えー?俺の好きなものかー じゃあ…イタリアンにしよっか》
「うん」
武田さんは明るくて大人な感じかな
わたしが働いてる喫茶店によく来てくれているお客さん 挨拶したり世間話をしたことはあったけれどどうしてわたしに声をかけてきてくれたのかな
《春さん、こっちも食べる?》
「ありがとう…武田さんも、ピザ取ってね どうぞ」
《シェアして食べると余計においしいね》
「うん!」
《今日は来てくれてありがとう、春さん》
「え?」
《断られると思ってたから》
「そんな…あ、あの」
《ん?》
「どうして、わたしに…?」
《ずっと言いたかったんだけどね》
「ずっと…?」
《そうだよーずっと好きでした》
「あ…」
《今は友達でいいけど、俺のこと知ってもらって、ちょっとでも付き合ってもいいかもって思ってくれたらうれしいな》
「あの、約束は…できないけれど…」
《大丈夫だよ わかってるから》
「うん…」
《ねぇ、食事終わったらさ、海沿い歩いてみない?》
「うん!」
わかっている
比べるのが失礼なことは
でも、全然違う
彼とは…
『おい!』
「あ…」
《…知り合い?》
「うん…」
『話がある』
「待ってよ、わたし今 この人と…」
《春さんは今俺とデート中なんですよ
遠慮してもらえます?》
『…デート…へぇ?』
「武田さん、行こ…」
『春!』
「…え?」
名前なんて…呼んでくれたことなかったのに…
『本当に後悔しないのか?』
「…」
《春さん、俺のことなら気にしなくていいよ?》
「…わたしは今あなたとデート中なんだから!
行きましょう」
《うん》
『あー…そうかよ』
【龍point of view】
何で急に会わないなんて言い出すんだ
返事も返してこねぇし
今日は記念日だから、俺は…
それでも、あの男を選ぶのか…?
見せつけるみてーに、わざとらしく手ーつないで
行きやがって…
【春point of view】
《…春さん》
「あっ、ごめんなさい…」
《手はつないでてもいいけど…春さん、今どんな顔してるかわかる?》
「…え?」
《好きな人、なんだね あの人が…》
「…ごめんなさい 失礼だよね」
《何言ってるんだよ 友達じゃないか なんでも話してよ》
「武田さん…」
《春さん、ここじゃなんだから俺のうちにおいでよ 近くだから相談に乗るよ》
「ありがとう…」
《さ、ここだよ 入って》
「あ、うん お邪魔します…」
《それで?春さん さっきの彼とはどうしたの?》
「あ、うん…あのね…」
セフレだったこと、好きだからそれ以上になりたいけどなれないから離れようとしたことを話した
《…セフレ?》
「あ、うん…」
《春さんどうしてもっと自分を大事にしないの?》
「…」
《俺なら…そんな想いさせないのに》
「え?」
《春さんっ》
「え?た、武田さん!?」
《あの人と散々してたんだろ?
なら…俺とだっていいじゃないか》
「や、武田さん、やめて…」
《可愛いなぁ…ずっと…こうしたかっ…》
「離してっ」
《なんでだよ!俺ならこれからずっと…》
「帰りますっ…」
《あ…っ!待って、春さんっ!!》
どうして…
「龍…っ 怖いよ…」
電話、しちゃった…
『何があった!?…そこで待ってろ!すぐにいく』
『春!』
「龍…」
『どうしたんだ?まさか、あいつに?』
「…」
『早く乗れ…いいから』
「ん…」
『…似合わねぇ"おめかし"なんかしやがって』
「…え?」
『…そこにある上着 着とけ ったく』
「うん…」
『あのなぁ…お前はナチュラルメイクが1番可愛いし、俺がそんな露出の高い服なんか着せたことあったかよ』
「…え?」
『そのカバンの中見てみな』
「え?…これ…うそ…」
『お前、今日が何の日か忘れたのか?』
「え?何かの…記念日?え?あの…わたしセフレなんじゃ…」
『はぁ!?お前は俺の彼女だろうが!?
2年前の今日、お前が告ってきたんだろーが!?』
「セフレだと…思ってたし…そういうのは…もっと早く言ってよ…」
『話聞こうとしなかったのは誰だよ』
「そっちでしょ」
『お前だろ、ばか』
「だってわたし、ずっと…龍のこと…」
『わかってたから、それ買ってきたんだろ
サイズだってちょうどいいはずだぞ
ほら、指出せ …な?』
「ほんとだ…ありがと…」
『でもなーお前 他の男にほいほいついてってこのザマだもんなぁ?』
「…ごめんなさい…」
『…何もなくて…本当によかった…ばかやろうが…』
「…」
『なぁ、春?』
「ん?」
『この2年間のこと、よーく思い出してみ?
俺はお前がセフレだなんて言ったことも、そんな扱いをしたことも1度もないぞ』
「え?」
『そもそもだ、お前がセフレでもいいからって言ってきただけで、俺は最初から付き合ってるつもりでいたしな』
「え?どういうこと?」
『こっちが聞きてぇよ…
他のセフレなんか最初から切ってるし、
休みの日は1日中お前と一緒にいるのに、どこに他の女と会う時間なんかあんだよ』
「だって!龍が他のセフレが…とか新しい彼女なんていらないとかそういう話、
ずっと聞かせてきたんじゃない!」
『新しいのなんていらないだろ お前がいるんだから セフレの話は…まぁ、なんだ ちょっと盛った』
「いやいや…だって、わたしのこと好きとか言ってくれたことないし!」
『…言わなくたってわかるだろ…』
「わかんないよ…!」
『はぁ…あーーーっもう!
1回しか言わねぇから、よく聞けよ!?
俺は春が好きだ 愛してる
だから離れるなんて許さないし、絶対に離さない
…わかったな?』
「…うん」
『お前が俺のことを好きなのは見てればわかるから
言わなくていいぞ …照れるしな』
「…ねぇ」
『なんだよ』
「ツンデレすぎない?」
『はぁ!?』
「これからはちゃんと言ってよ…お願い」
『…わかったよ あっ、あいつの連絡先消しとけよ』
「うん」
『あ、待て いい、俺が消す スマホ貸せ』
「自分でできるよ?」
『俺がやる 他の男のも消してやる…』
「職場の人は消しちゃだめ!」
『…ちっ おい、終わったらそれも書いとけよ』
「え?どれ?…え!?婚姻届!?」
『指輪、受け取るんだろ?結婚指輪だから、それ』
「龍…」
『これで離れられないな?俺から』
「急に束縛してくるじゃん…なんなの」
『誰のせいだ ばーか』
タイトル〘鈍感な想いを捕まえて〙
Fin…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




