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読み切り短編集  作者: おしるこ


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43/61

誕生日プレゼント

「まだかなぁ…」


先輩にプレゼントを渡したくて…ずっと待っている

もしかして…入れ違いで帰っちゃったとか?


〈あれ?瀬名じゃないか どうかしたのか?〉

「先輩を待っていたんです!

元信先輩…あの…これ…

お誕生日…おめでとうございます…!」

〈…俺に?〉

「あ…ご迷惑…でしたか?」

〈そんなわけないだろ 俺のために用意してくれたんだろう?ありがとな〉

「はいっ!」

〈…まだ時間あるのか?〉

「え?はい」

〈俺、今からバイトなんだ

俺のバイト先連れてってやるから 来いよ〉

「えっ、お邪魔では…?」

〈いいんだよ 帰りも送ってやるから心配すんな〉

「はい…ありがとうございます!」


【Restaurant  petit coffret】


〈ここ、座ってろ ちょっと待ってな〉

「はい!」

先輩が奥に向かっていく 座ってていいのかな

〈…ほら、どうぞ〉

「わぁ…すごぉい…」

〈召し上がれ〉

「いただきます…んんっ!おいひいー!」

〈お前はうまそうに食うなぁ〉

「だっておいしいんですもん!あれ?そういえば

バイトの時間は大丈夫なんですか?」

〈ん?あーバイトなんかねーよ 

俺んちに連れてきたかっただけ〉

「え!?先輩のおうち!?」

〈上に住まいがあるんだ 食ったら部屋行くぞ〉

「え?えぇー!?」

〈一応店なんだ、騒ぐなよ〉

「あ…はい…」


先輩のおうち、レストランなんだぁ

ハンバーグおいしかったぁ…


〈ほんとにうまかった?〉

「はい!毎日食べたいくらいです!

ごちそうになっちゃって…すみません」

〈へぇ?毎日、ねぇ?〉


!!!食いしんぼうみたいな発言しちゃった

…恥ずかしい…取り消したい…


〈これ、ありがとな 開けていいか?〉

「はい、どうぞ」

〈おぉ…キーケースか 革の色いいな 

さっそく使わせてもらうわ〉

「よかったぁ…」


〈お礼しないとなー俺も〉

「そんなそんな…おいしいハンバーグごちそうになっちゃいましたから!それだけで…」

〈俺には教えてくんないの?誕生日〉

「あ…えっと…その…」

〈ん?まさか過ぎてんのか?〉

「あ、いえ、今日…なんです…」

〈なにっ!?もっと早く言えよ!〉

「す、すみません…」

〈じゃあ、何してほしい?何でもいいぞ〉

「え?えっ!?そんな急に言われても…」

〈…お前は俺に言いたいことあるだろ?〉

「え!?あ…あの…」

〈うん〉

「好きです…ずっと好きでいさせてください」

〈お前さぁ…〉

「え?」

〈そこは、付き合ってください!とかだろ〉

「そんな、わたしなんかが…先輩となんて」

〈…お前がいいんだけど 俺は〉

「…え?」

〈じゃなきゃ、家に連れてきたりしねーよ 鈍感〉

「先輩…」

〈んでもまぁ、ずっと好きでいていいぞ〉

「え?」

〈俺も、ずっとお前を好きでいるからな〉

「…倒れそうです」

〈なんでだよ〉

「せんぱーい…」

〈よしよし 泊まってけよ?今日〉

「ふぇっ!?」

〈誕生日、祝ってやる〉

「あ、ありがとう…ございます…!あ、でもご家族もいるのに、急にお泊りなんてご迷惑では…?」

〈へぇ?ふたりきりがいいってわけだ?〉

「なっ!そ、そういうのではなくて…!」

〈じゃあ、そうだな…バイクでそこらへん行くか〉

「バイクの2人乗りですか!?

憧れだったんですっ!」

〈…可愛いヤツ…〉

「え?なんです?」

〈なんでもねー キーケース持って行くぞ〉

「はいっ!」

〈その前に、お前専用のメット買いに行くか

近いから 行こうぜ〉

「はい!」




〈よし…これでいい ほら、乗れよ〉

「あの、先輩にくっついちゃっていいんですか?」

〈いいぞー つーか逆にしっかり掴まれよ

あぶねーから〉

「はい では…」

〈じゃ、行くぞ〉

「はいっ」


ドキドキする…先輩とおそろいのヘルメットで

こんなにくっついてるなんて…

付き合えることだけでも奇跡なのに…


〈ここ、俺の秘密の場所〉

「わぁ…きれーい…」

〈この時間は、夕焼けで波がキラキラして綺麗なんだ お前に見せたかった〉

「素敵ー…」

〈…お前だけだからな ここに連れてきたのは〉

「え?なんですか?」

〈こいつ…〉

「ん?」

〈…この先に、ホテルあんだよ 行こうぜ〉

「!!せ、先輩、その、あの…」

〈ばか!ラブホじゃねーよ 一緒にいたいからそこに泊まるだけだ…〉

「あ…わたしったら…」

〈…手ーださねぇとは言ってねぇけどな〉

「え?」

〈もうちょっとゆっくりしたら行くかー〉

「はい!」



〈おい〉

「な、なんですか…」

〈…こっち向けよ〉

「だ、だめです…」

〈なんで〉

「…は、恥ずかしいから…」

〈じゃあ、お前はそのままでいい〉

「え?」

〈こうしてやる〉

お、押し倒され…っ!!!


〈瀬名〉

「は、はいっ」

〈誕生日おめでとう…

お前が入学してきた頃からずっと好きだった…〉

「先輩…」

〈だから〉

「え?」

〈もう我慢しねぇ 好きだ…瀬名〉

「…ひゃうっ…せん、ぱ…」

〈…〉


ーーーーー


〈俺、もうすぐ卒業だけど、お前のこと置いていくの嫌だな〉

「大丈夫ですよ…1年なんてあっという間です」

〈はぁ…なげーよ 1年だぞ?〉

「講義終わったら会いに行きますから!」

〈…うちにバイトしに来いよ〉

「雇っていただけますかね?」

〈…あ、嫁入りでもいいぞ?〉

「先輩ってば…」

〈離れたくねぇな…〉

「…先輩って結構デレデレさんなんですねぇ」

〈…嫌か?〉

「いいえ 可愛らしいです!」

〈お前…1回抱いたら随分余裕じゃねーか〉

「愛されてる実感が持てたからですかね!」

〈…生意気!〉

「えー!」

〈…余裕なくなるくらい、俺のこと想っとけ〉

「…いつもそうですよ?」

〈!!…ったく…瀬名〉

「はい」

〈今日は寝かせねぇから覚悟しておけ〉

「…もうっ!」


【半年後】


〈瀬名ぁ…おせーよ!〉

「無茶言わないでくださいよぉ…これでも走ってきたのにー」

〈こっち来いよ〉

「先輩…んんっ」

〈んん、ん… よし、元気でた 仕事すっか〉

「はいっ!」

〈瀬名、その前に…味見するだろ ほら〉

「んんっ…わぁ、今日のデミもおいしいです♪」

〈指だろ?うめーのは〉

「しーっ!!聞こえちゃいますよっ!

じゃぁ、ホール行ってきますね」

〈おう〉


「オムライスひとつ、ハンバーグ2つ入りまーす」

〈はーい〉

「…こちらお先にスープとサラダになっております」

<いつもありがとねぇ、瀬名ちゃん おじさんの癒やしだよぉ 休みの日に飯でもどう?>

「ごめんなさい…そういうのはお断りしてまして

ごゆっくりお召し上がりくださいね」


〈…〉


「お先にお飲み物お持ちしました 

ハンバーグとビーフシチューすぐにお持ちしますね」

{今日も可愛いねぇ、瀬名ちゃーん 何時にバイト終わるの?送って行くよー}

「ごめんなさい、お迎えに来てもらってるので…

お料理、もうしばらくお待ちくださいね」


〈…ちっ〉




〈なぁ、瀬名ー〉

「どうしました?」

〈…〉

「先輩?ご機嫌ななめですねぇ」

〈ホールやめてキッチンにいろよ〉

「わがまま言わないでくださいよぉ…わたしがお料理が壊滅的にだめなのわかってるでしょう?」

〈ナンパ野郎ばっかりじゃねーか〉

「ついていきませんから…ね?」

〈当たり前だ!!〉

「先輩」

〈なんだよ〉

「先輩だけですから、ずっと」

〈瀬名ぁ…俺も…お前だけだけどよ

はぁ…やっと半年かよ〉

「あっという間でしょ?」

〈やっと、だ〉

「こうして一緒にいられてうれしいです」

〈なぁー早く結婚しようぜ?〉

「はい」

〈ほんとか!?〉

「卒業したら…すぐにでも!」

〈おう!瀬名、明日は講義ないんだっけ?〉

「はい!1日中お店にいられます」

〈じゃあ、でかけようぜ〉

「え?」

〈店はさっき確認したら大丈夫そうだし な?〉

「はいっ 楽しみにしてます!」


【翌日】


「素敵…!」

〈ここ!いいだろ?〉

「はい、よく見つけましたね」

〈予約もしてあるんだ〉

「ほんと!?」

〈おう 4月にな 俺たちの結婚式だ

桜も咲くんだぞ〉

「うれしい…」


素敵なチャペル…海が見える披露宴会場もある

そっか、ここで結婚式挙げるんだ…


〈瀬名?なんで泣いてる…どうした?〉

「うれしくて…」

〈これからもうれしいこと、たくさん増えるぞ〉

「うんっ!」

〈そろそろ帰ろうか〉

「はーい」


おそろいのヘルメットを被り

バイクに跨って、わたしたちはおうちに帰る


"ブチッ"「え?今落ちたの…キーケース…?」

〈おいっ!?瀬名!手ー離すな!〉


【?日後】


〈お前がくれたキーケース結局見つからなかった…

何回も探しに行ってるんだけど…すまん〉

泣かないで…先輩

〈早く目を覚ましてくれ…頼む…〉

わたしはここにいますよ

〈瀬名…お前がいないと…俺…〉

先輩…大丈夫ですから ずっととなりにいますよ

〈瀬名…瀬名ぁ…!〉

「…ん…ここ、は…」

〈あ…瀬名!?瀬名が…誰か…誰か来てくれっ!〉

「…あなた…だれ?」

〈…え〉


【元信point of view】


やっと目を覚ました瀬名は記憶をなくしていた

あれから、仕事の合間に毎日瀬名に会いに行った

2ヶ月くらいかけて、やっと心を開いてくれるまでになった時は本当にうれしくて…

記憶が戻ったわけではなかったが

元気で生きていてくれればそれでよかった



あれから半年近く経った


今日も瀬名に会いに来た 

まだ記憶は戻っていない

〈はい、瀬名ちゃん これ!プレゼント〉

「いいの!?」

〈うん、お誕生日おめでとう〉

「ありがとう!開けていーい?」

〈いいよ〉

「わぁ…可愛いキーケース!」

〈気に入った?〉

「うん!元信さん!ありがとう」

〈俺もおそろいの買ったんだ ほら〉

「おそろいなんだぁ…!うれしい!

でも、なんだろ…見たことあるような

…このキーケース…」

〈瀬名ちゃん?どうかした?〉

「…やだなぁ…先輩 ちゃん付けなんてしたことないでしょう?」

〈せ、瀬名…?〉

「先輩…!」

〈会いたかったぞ…瀬名ぁ!〉

「お誕生日おめでとうございます!先輩!」




タイトル〘誕生日プレゼント〙



                    Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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