また生まれ変わっても、あなたと…
「何度生まれ変わっても
貴方様を心よりお慕い申します」
そう言ってくれたではないか
数え切れぬ輪廻、
そなたに瓜二つのおなごに会えても
ある時は兄妹、ある時は教師と生徒
あるときは祖父と孫…
近い環境になれたとしても
そなたは他の男を選んだ
幾星霜を経ても、
そなたが余を愛してくれたことなど…
余はいつになったら、
またあの頃のそなたに会えるのだ
こんな想いをするくらいなら…いっそのこと
そなたのことなど忘れ
…っ
今何を言おうとした…?
その時、心の奥にいた
笑っていたそなたが、悲しそうな顔をして
「……ずっと………………しまって………から…………………たんですね…ごめんなさい」
そう言って、余の側から離れていく
待ってくれ…そなたがいなければ、余は…
【??回目】
[待ってくれっ!!!]
はぁ…はぁ…ゆ、夢…?
あちー…今何時だよ…
なんだよ…朝方じゃねーか…
まだ眠れる、か
何の夢を見ていたのかは覚えていない
汗だくで目が覚めた俺は、
シャワーを浴びて 寝直そうとした
…だめだ 眠れない
あーでも、5時か…いいや たまには早起きして
早めに会社に行くか
途中で朝飯買うか食ってから行ってもいいしな
いつもより1時間早く駅につき、ホームで電車を待つ
へぇー空いてるんだな ま、この時間だしな…
普段より断然快適だとは思うが毎日なんかとても
じゃないけど無理だな
…なんだ?
視線を感じる
俺がそっちを見ると、スーツを着た女がこちらを見ている
目が合ったら逸らされて
なんだよ…知り合いでもねぇのに
タイミングをずらして、もう一回見ると
今度はばっちり目が合った
女は顔を真っ赤にして、下を向く
え?なに?そういうこと?
[やぁ 君さ、どっかで俺と会ったことない?]
「!!覚えていてくださったんですか!?」
…は?
[あ?いや…えっと…誰だっけ?]
その時、
笑顔を見せてた女が急に悲しそうな顔をして
「……ずっと……………しまって…………から……………………たんですね ごめんなさい 人違いでした」
そう言うと、俺の側から離れていった
…人違いで俺のことずっと見てたのかよ
俺が振られたみてぇじゃん
まぁいいけど
でも…あの悲しそうな顔…
なんだか一日中ずっと、喉の奥に骨が刺さってるような そんな気持ちで過ごしていた
[お疲れー]
"ドンッ"「きゃっ」
[うわっ、申し訳ない!すげー散らばったな…]
「大丈夫です、申し訳ありません こちらこそ前をよく見ていなかったものですか…ら…」
[これで全部か…?あ、もしかしてあんた、朝の?]
「…はい」
[同じ会社で働いてたのか ずいぶん朝早くから出社してるんだな]
「…仕事が…遅いものですから
あっ、書類拾っていただいてありがとうございます
失礼します」
[待った]
「え?」
[俺が持っていく こんな量、女一人に運ばせるとか…あんた、どこの課?]
「…総務、です あの、大丈夫ですから…」
[総務か…丸山のとこだな
いいから!俺の後ろにいろ]
「!…は、はい…」
[おい、丸山!]
〔おーお疲れ なんだぁ?珍しいな、お前がここに来るなんて〕
[お前よー…
こんな量の書類を女一人に運ばせるなよ]
〔え!?あれ!?3人に頼んだよね!?
齋藤さん、他の子たちはどうしたの?〕
[あー…そういうことか]
「ち、違うんです!…あの、私が勝手に…」
[齋藤さんっていうの?君さ、月曜から俺んとこ来な 人事課!]
〔お前、何を勝手に…〕
[辞令出してやる!月曜からだ!わかったな?]
「は、はいっ」
〔ったく…代わり、誰かよこせよ?〕
[わかってるよ じゃあ、帰るわ あんたも来な]
「え?あ、は、はいっ」
俺は女…齋藤、だっけ?を連れて
飯を食いに来た
[勝手に連れてきて悪かったな 用事とかなかったのか?]
「はい…大丈夫です…」
[そうか 好きなもの頼みな]
「あ…はい」
[あんた、どこから通ってんの]
「■◯駅です」
[はぁ!?あんなとこから通ってんの!?]
「はい…」
[何時に出てんだよ、家]
「あの…5時半、です…」
[あんた、ちゃんと睡眠取ってんのか?
あーちょうどあの駅が乗り換えなのか
それにしたってあんな時間から出勤しなくたって
あーーーー!
だめだ!俺んち 連れて帰るからな]
「ふぇっ!?あ、いや、それは…」
[取って食やしねーよ 毎朝7時半に出れば余裕で間に合う 部屋、余ってるから わかったな?]
「…どうして、そこまでしてくださるんですか?」
[なんでだろうな 俺にもわからん]
「…」
[よし、食ったら行くぞ]
「は、はい…」
女を連れて俺の家に帰ってきた
なかなか入りたがらなくて大変だったけど
なんとか中に入れた
[この部屋、好きに使っていいぞ
とりあえず今日は布団もねーから、俺のを使え]
「あの…やっぱり、私…帰りま」
[明日お前の家に荷物取りに行くからな]
「え!?」
[今レンタカー予約したから わかったな?]
「は、はい…」
[あんた名前なんだっけ?]
「齋藤、胡々です…」
[さいとう、ここ、だな?ちょっと黙ってろよ…
あー俺だ…総務から一人こっちに異動させる
月曜からだ あぁ 齋藤胡々 で、一人うちから
総務に異動させるから テキトーに引っ張っといて じゃあ
よし…終わったぞ]
「…」
[あ?なんだよ]
「あの…電話一本で決まってしまうものなんですか?」
[普段はありえない]
「え…」
[たまにはいいんだよ 理由なんていくらでも作れるしな]
「…すみません お手数おかけして」
[ずっと考えてたんだよ]
「?」
[あんた、朝以外にもどっかで俺と会ったことあるよな?]
「…いえ」
[目が泳いでんぞ 本当のこと言え]
[…信じてもらえませんから]
「信じるよ」
「…!」
[お前の言うことなら、信じる]
「本当、ですか?」
[おう 話してみ]
「あ、あの…」
胡々はぽつり、ぽつりと話しだした
俺が元戦国大名で、彼女が俺の正室
亡くなるまで未来永劫愛します、と約束していて
何回目かの輪廻を経て、また俺に会えたという
今までは忘れていたけど、今回は今までのことも
含めてすべて覚えていて
朝、俺の顔を見て嬉しくてずっと見てた
…だぁ!?おいおいおいおい
そんな話を信じろってのか?こいつは…
「うつけ者だと、お思いになりましたでしょ…」
[いや、まぁ あ!いや!そんなことは…]
「いいんです…貴方様は、いつの世でも私を覚えていてくださったのに…私は…
だから、きっと もう忘れてしまったのですね」
悲しそうな顔をして微笑んだ彼女を見た
その時だ
その時、笑っていたそなたが悲しそうな顔をして
「私がずっと忘れてしまっていたから呆れちゃったんですね…ごめんなさい」
そう言うと、余の側から離れていく
待ってくれ…そなたがいなければ、余は…
ーーあの時の夢の映像が広がったら
昔からこれまでの想い出で頭の中がいっぱいになる
[余は…やっと…そなたに 会えたんだな?]
「信長様…!?」
[…胡蝶]
「あぁ…信長様…」
[うつけは余の方だ…よりにもよって
そなたのことを 忘れていたなんて
…おおうつけ者だ…]
やっと
やっと、会えた…
俺はこの女を二度と離すまいと、
固く固く、抱きしめていた
[…現代で余は違うな]
「そ、そうですね…」
[今の名は胡々と言ったな?]
「はい 貴方様は…」
[織田信司、だ]
「信司さん…」
[これからはまた一緒だ
もう、離れないでくれ]
「はい…ずっと…ずっと、お慕い申しております」
タイトル〘また生まれ変わっても、あなたと…〙
Fin…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




