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読み切り短編集  作者: おしるこ


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42/61

また生まれ変わっても、あなたと…

「何度生まれ変わっても

貴方様を心よりお慕い申します」



そう言ってくれたではないか



数え切れぬ輪廻、

そなたに瓜二つのおなごに会えても

ある時は兄妹、ある時は教師と生徒

あるときは祖父と孫…


近い環境になれたとしても

そなたは他の男を選んだ


幾星霜を経ても、

そなたが余を愛してくれたことなど…



余はいつになったら、

またあの頃のそなたに会えるのだ



こんな想いをするくらいなら…いっそのこと

そなたのことなど忘れ


…っ

今何を言おうとした…?



その時、心の奥にいた

笑っていたそなたが、悲しそうな顔をして

「……ずっと………………しまって………から…………………たんですね…ごめんなさい」


そう言って、余の側から離れていく


待ってくれ…そなたがいなければ、余は…




【??回目】


[待ってくれっ!!!]


はぁ…はぁ…ゆ、夢…?

あちー…今何時だよ…


なんだよ…朝方じゃねーか…

まだ眠れる、か


何の夢を見ていたのかは覚えていない

汗だくで目が覚めた俺は、

シャワーを浴びて 寝直そうとした


…だめだ 眠れない


あーでも、5時か…いいや たまには早起きして

早めに会社に行くか

途中で朝飯買うか食ってから行ってもいいしな




いつもより1時間早く駅につき、ホームで電車を待つ


へぇー空いてるんだな ま、この時間だしな…

普段より断然快適だとは思うが毎日なんかとても

じゃないけど無理だな


…なんだ?

視線を感じる


俺がそっちを見ると、スーツを着た女がこちらを見ている

目が合ったら逸らされて

なんだよ…知り合いでもねぇのに


タイミングをずらして、もう一回見ると

今度はばっちり目が合った


女は顔を真っ赤にして、下を向く


え?なに?そういうこと?


[やぁ 君さ、どっかで俺と会ったことない?]

「!!覚えていてくださったんですか!?」

…は?

[あ?いや…えっと…誰だっけ?]


その時、

笑顔を見せてた女が急に悲しそうな顔をして

「……ずっと……………しまって…………から……………………たんですね ごめんなさい 人違いでした」


そう言うと、俺の側から離れていった


…人違いで俺のことずっと見てたのかよ

俺が振られたみてぇじゃん 

まぁいいけど


でも…あの悲しそうな顔…


なんだか一日中ずっと、喉の奥に骨が刺さってるような そんな気持ちで過ごしていた


[お疲れー]

"ドンッ"「きゃっ」

[うわっ、申し訳ない!すげー散らばったな…]

「大丈夫です、申し訳ありません こちらこそ前をよく見ていなかったものですか…ら…」

[これで全部か…?あ、もしかしてあんた、朝の?]

「…はい」

[同じ会社で働いてたのか ずいぶん朝早くから出社してるんだな]

「…仕事が…遅いものですから

あっ、書類拾っていただいてありがとうございます

失礼します」

[待った]

「え?」

[俺が持っていく こんな量、女一人に運ばせるとか…あんた、どこの課?]

「…総務、です あの、大丈夫ですから…」

[総務か…丸山のとこだな

いいから!俺の後ろにいろ]

「!…は、はい…」


[おい、丸山!]

〔おーお疲れ なんだぁ?珍しいな、お前がここに来るなんて〕

[お前よー…

こんな量の書類を女一人に運ばせるなよ]

〔え!?あれ!?3人に頼んだよね!?

齋藤さん、他の子たちはどうしたの?〕

[あー…そういうことか]

「ち、違うんです!…あの、私が勝手に…」

[齋藤さんっていうの?君さ、月曜から俺んとこ来な 人事課!]

〔お前、何を勝手に…〕

[辞令出してやる!月曜からだ!わかったな?]

「は、はいっ」

〔ったく…代わり、誰かよこせよ?〕

[わかってるよ じゃあ、帰るわ あんたも来な]

「え?あ、は、はいっ」


俺は女…齋藤、だっけ?を連れて

飯を食いに来た

[勝手に連れてきて悪かったな 用事とかなかったのか?]

「はい…大丈夫です…」

[そうか 好きなもの頼みな]

「あ…はい」

[あんた、どこから通ってんの]

「■◯駅です」

[はぁ!?あんなとこから通ってんの!?]

「はい…」

[何時に出てんだよ、家]

「あの…5時半、です…」

[あんた、ちゃんと睡眠取ってんのか?

あーちょうどあの駅が乗り換えなのか

それにしたってあんな時間から出勤しなくたって

あーーーー!

だめだ!俺んち 連れて帰るからな]

「ふぇっ!?あ、いや、それは…」

[取って食やしねーよ 毎朝7時半に出れば余裕で間に合う 部屋、余ってるから わかったな?]

「…どうして、そこまでしてくださるんですか?」

[なんでだろうな 俺にもわからん]

「…」

[よし、食ったら行くぞ]

「は、はい…」


女を連れて俺の家に帰ってきた

なかなか入りたがらなくて大変だったけど

なんとか中に入れた



[この部屋、好きに使っていいぞ

とりあえず今日は布団もねーから、俺のを使え]

「あの…やっぱり、私…帰りま」

[明日お前の家に荷物取りに行くからな]

「え!?」

[今レンタカー予約したから わかったな?]

「は、はい…」

[あんた名前なんだっけ?]

「齋藤、胡々です…」

[さいとう、ここ、だな?ちょっと黙ってろよ…

あー俺だ…総務から一人こっちに異動させる

月曜からだ あぁ 齋藤胡々 で、一人うちから

総務に異動させるから テキトーに引っ張っといて じゃあ

よし…終わったぞ]

「…」

[あ?なんだよ]

「あの…電話一本で決まってしまうものなんですか?」

[普段はありえない]

「え…」

[たまにはいいんだよ 理由なんていくらでも作れるしな]

「…すみません お手数おかけして」

[ずっと考えてたんだよ]

「?」

[あんた、朝以外にもどっかで俺と会ったことあるよな?]

「…いえ」

[目が泳いでんぞ 本当のこと言え]

[…信じてもらえませんから]

「信じるよ」

「…!」

[お前の言うことなら、信じる]

「本当、ですか?」

[おう 話してみ]

「あ、あの…」


胡々はぽつり、ぽつりと話しだした


俺が元戦国大名で、彼女が俺の正室

亡くなるまで未来永劫愛します、と約束していて

何回目かの輪廻を経て、また俺に会えたという

今までは忘れていたけど、今回は今までのことも

含めてすべて覚えていて

朝、俺の顔を見て嬉しくてずっと見てた


…だぁ!?おいおいおいおい

そんな話を信じろってのか?こいつは…


「うつけ者だと、お思いになりましたでしょ…」

[いや、まぁ あ!いや!そんなことは…]

「いいんです…貴方様は、いつの世でも私を覚えていてくださったのに…私は…

だから、きっと もう忘れてしまったのですね」


悲しそうな顔をして微笑んだ彼女を見た


その時だ




その時、笑っていたそなたが悲しそうな顔をして

「私がずっと忘れてしまっていたから呆れちゃったんですね…ごめんなさい」


そう言うと、余の側から離れていく


待ってくれ…そなたがいなければ、余は…




ーーあの時の夢の映像が広がったら

昔からこれまでの想い出で頭の中がいっぱいになる


[余は…やっと…そなたに 会えたんだな?]

「信長様…!?」

[…胡蝶]

「あぁ…信長様…」

[うつけは余の方だ…よりにもよって

そなたのことを 忘れていたなんて

…おおうつけ者だ…]


やっと

やっと、会えた…

俺はこの女を二度と離すまいと、

固く固く、抱きしめていた


[…現代で余は違うな]

「そ、そうですね…」

[今の名は胡々と言ったな?]

「はい 貴方様は…」

[織田信司、だ]

「信司さん…」

[これからはまた一緒だ

もう、離れないでくれ]

「はい…ずっと…ずっと、お慕い申しております」




タイトル〘また生まれ変わっても、あなたと…〙


 

                    Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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