抑えられぬ想い
「課長!今日もお昼ご一緒していいですか!?」
…毎日、こう話しかけてくる女の子がいる
なんで僕を誘ってくるんだろう
お金も彼女が自分で払っているし
まさかこんな歳上のおじさんを好き、なんてことはないだろう
とはいえ…
こう毎日お昼を共にしていると
こちらも意識しないわけがないわけで…
いやいやいや…15も歳下の子だぞ!?
はぁ…たまに断ってはいるんだが…
悲しそうな顔をされると…どうしても…
《だからさー要するに好かれてるってことだろ?》
〔いや…別に何も言われてるわけではないんだよ
嫌だろ 好かれてると思い込んでたら
全然そんなことなかった、とかさ…〕
《でもよー 俺は誘われたことなんか1回もないんだぜ?他のやつらもそうだ お前だけ!
好かれてる以外にないだろ》
〔え!?みんなは誘われてないのか!?〕
《…鈍いんだよ、お前は…変に堅いっていうかなんていうか…ちょっとくらい手ーつけちゃえばいいのに》
〔な!何を馬鹿なことを…!!〕
《俺が聞き出してやろうか いい加減俺たちも
とっととくっつけよって思ってんだから》
〔い、いやいや…絶対にやめてくれ!
それこそ、彼女に嫌な思いさせるわけには…〕
《あーあーめんどくせーな!》
〔…〕
はぁ…人の気持ちが目に見えて分かればいいのに
【鈴木point of view】
どうしたら伝わるんだろう…
こんなに毎日お昼をお誘いしているのに…
やっぱり歳下すぎる?
そもそもストライクゾーンに入ってないのかな
嫌われてはいないと思う…
でも、会社の部下以上にはなれない
あー!もう!こんなに苦しいなら振られてもいいから気持ちを伝えて終わりにしてしまいたい…
思い切って帰りに飲みに誘ってみようかな…
《よぉ、鈴木ちゃん》
「お疲れさまです!東海林さん!」
《まだ落ちねぇの?アイツ》
《しょ!東海林さん…しーーーっ!!!聞こえちゃったらどうしてくれるんですか!!》
《いいじゃん 聞こえた方が
アイツ、全然気づいてねぇもん》
「…やっぱりそうですよね」
《でもなぁ》
「?」
《鈴木ちゃんのこと意識してるぞ?》
「ほ…本当ですか!?」
《ちょ、声でかいぞ!?》
〔あれ?どうかしたの?〕
わぁ!!喜多嶋さん…!!聞かれてないよね!?
《な、ななな…何でも…ないです…》
〔?そっか!そろそろお昼だよ 3人でどう?〕
《俺はパス 今日は愛妻弁当があんだよ》
「…!」
待って!この流れで置いていかないで…!
思わず、東海林さんの袖を掴んだ
〔…〕
《ほらほら、2人で行ってこいよー
じゃーな!喜多嶋 鈴木ちゃんのこと頼むな》
〔あ、あぁ…鈴木さん、行こう?〕
「は、はい…」
せっかくおいしいお店に連れてきてもらったのに
ドキドキしちゃって…
いつもみたいにおしゃべりできなかった
「ごちそうさまでした おいしかったです」
〔…どうかしたの?今日は全然しゃべらなかったね〕
「あ…いや、その…」
東海林さんが変なこと言うから…意識しちゃって…
〔あ!もしかしてさ…東海林のこと…?〕
「え?」
〔僕でよければ、いつでも相談にのるよ!〕
「いえ、あの…!」
〔あ!でもさっき愛妻って言ってたな…彼女出来たのかな 後でリサーチして…〕
あ…やっぱり意識なんてされてないんだ
少しでも私が好きだったら
東海林さんのことが好き、なんて
思うわけないもの…
"ガタンッ"
〔あれ?どうしたの?もう行く?〕
「…1人で帰ります 失礼します」
〔え?あ!!待って…〕
お金を払ってお店を出た
なんで?毎日頑張って誘ってるのに
ずっと…課長のことだけを見てたのに
ずっと…好きなのは…
〔鈴木さん!待って…僕の分までお金…!〕
課長の声が聞こえてるけど
なんか、もう…
勝手に好きになったのに、
自分を受け入れてもらえないからって
こんな風に考えるようになっちゃって
自分のことが嫌になる
午後からは仕事に集中した
忙しくしていないと…
涙が止まらなくなりそうだったから
《鈴木ちゃーん》
「東海林さん…お疲れさまでした 帰るんですか?」
《おう、お疲れ なぁ、ラーメン行こうぜ》
「…いいですね!行きます!」
いつもだったら断ってたんだけど…
なんかもう、1人でいたくなくて
ついてきちゃった
でも、おいしい…!!
えっ、このお店 いつも課長と通ってた時に見てたお店だよね
入ってみたいって言ってた!
あとで課長に教え…
あ…
《…》
ん?さっきから東海林さんスマホを気にしてるなぁ
「どうかしました?何かあるんですか?」
《あ!きたきた!よし!移動だ!》
「え!?東海林さん!?」
《すぐだから!ついてきな》
「ちょ!ちょっと…もう!」
引っ張られて連れてこられたのは…
居酒屋さんだった
個室?なんで…?
〔はぁー どうしたらいいんだよぉー西澤ぁ〕
え!?課長の…声?
東海林さんを見るとにやにやしながらスマホを見せてきた
"アイツ、酔っ払わないと本音言わねぇんだわ
やっと酔ったらしいから!少し黙って聞いてな"
…本音って何?
あんまり聞きたくないような…
聞きたいような…
〚まぁまぁ…喜多嶋、落ち着けって…そんなに好きなら気持ち伝えればいいのに〛
〔できるわけないだろう…はぁ…嫌われちゃったんだろうか…〕
え…?そんなに好きなら…?え!?
〚お前が気持ち伝えないなら、俺ナンパしちゃおうかなー〛
〔ばっ!!西澤ぁ!鈴木さんは…僕が…大事にしてる人なんだぞぉ…〕
!!!
鈴木って…私のことだよね…?
〚大事、ねぇ…?あれ?鈴木さん?〛
〔え!?あ!どこ…?〕
《ほら!行くぞ!》
「東海林さん!?ちょ…」
部屋のふすまを開けたら
総務の西澤課長と課長がいて
〔ほんとだぁ…夢かな…〕
《俺もいんだけどな…おい、しっかりしろよ
連れてきてやったんだからよ》
〔東海林もいたのか…え?なんで?あ!手を離してくれ!鈴木さんはこっちにおいで〕
「あ…はい…」
〚鈴木さん、お疲れ あと、頼んでいいよね?〛
「え!?西澤課長!?帰っちゃうんですか?」
〚家族が待ってるもんでね じゃ、よろしく〛
《金は払って帰るから心配しなくていいぞーじゃーな!お二人さん》
「え!?東海林さんまで!?ちょっと待ってくだ…」
〔鈴木さん…?帰っちゃうの…?〕
「…………帰りません…」
〔よかったぁ〕
…なんか…ふにゃふにゃしてて可愛い…
いつもしっかりしてるところしか見たことないから…
好き…
【喜多嶋point of view】
…ん、なんだ…?
腕が痺れてる…
いい匂いがする…
え!?……は!?
〔鈴木さん!?〕
「ん…」
おいおいおいおいおいおい!!
な、な、なんで…こんなことに…!?
思い出せ…
僕は確か…西澤と飲みに行って…
あれ…どうしたんだっけ…?
なんで鈴木さんが…!?
あ!服…着てる…
はぁー…良かった…
「…課長?」
〔!!!!!あ、鈴木さん…〕
「おはようございます…記憶、ありますか?」
〔ごめんね…何にも覚えていなくて、今必死に…〕
「あの、課長…」
〔え?〕
「私…課長が好きです」
〔…あ、〕
「酔ってるのをわかっていて、ついてきてしまってすみませんでした」
〔いや…あの、僕は…〕
「ご迷惑なら、もうお誘いもしませんし…
ちゃんと言ってください」
〔…迷惑なんて思ったことはないよ
僕だって…君が好きだから〕
「課長…」
〔あ、昨日はすまなかったね お金、用意しておいたんだ〕
「ありがとうございます…あの、課長?」
〔ん?〕
「本当に何にも…覚えてないんですか?」
〔え!?僕、何かやらかした!?〕
「…いいえ」
〔えっと…?〕
「昨日、あの後…」
↷居酒屋にて
〔鈴木さん…?帰っちゃうの…?〕
「…………帰りません…」
〔よかったぁ ねぇ、僕の家に来ない?近いんだ〕
「え?でも…」
〔帰したくないなぁ…〕
「…はい」
〔お会計終わってたぁ…〕
「西澤課長と東海林さんが払ってくれたんです」
〔そうなんだぁ お礼言わないとなぁ っと…〕
「あっ!課長、あぶないですよ…」
〔んー…手、繋いでくれる?〕
「いいんですか?」
〔もちろん〕
「はい…」
〔さっきねぇ…東海林に手を掴まれてるのを見て
不安になっちゃってさぁ
僕が、ずっとそばにいたいなぁって
手を…君の手を、ずっと繋いでいたいなぁって〕
「課長…うれしいです お願いします」
〔鈴木さん〕
「はい」
〔好きだよ〕
「私も好きです!」
〔嬉しいなぁ…あ、ここー 鍵は…あった
鈴木さん、お願い〕
「あ、はい 開けましたよ」
〔ありがとうー入って〕
「お邪魔します…」
〔シャワー浴びなきゃだけど…後ででもいいか…
ごめんね 鈴木さん 付き合って〕
「え?」
"ドサッ"「ひゃっ」
〔鈴木さん…好きだ…むにゃむにゃ…〕
「…で、今、です…」
…………………やらかしてるじゃないか…
〔ごめんなさいっ!!押し倒してたなんて…
本当にごめんね!あ!シャワー先に浴びる?〕
「いいんです…幸せでしたもん」
〔…そう言ってもらえると…〕
「シャワーお借りしますね」
〔うん!タオルと…あ、これ!これならパジャマ的な感じで着られるんじゃないかな〕
「ありがとうございます…洗濯機、お借りしても…」
〔もちろんだよ!こっちこっち!〕
はぁ…彼女がシャワーを浴びている間に
西澤と東海林に連絡はしておいた
はぁ…
それにしても…
本当にいいのかな…
嬉しすぎて…
「課長?」
〔あ…僕もシャワーしてくるよ ドライヤー使って〕
「はい」
シャワーを浴びながら
朧げな記憶を辿る
鈴木さんに抱きついて眠っていたような…
あ
反応してしまったソレをどうにか落ち着けて…
リビングに戻る
「おかえりなさい」
〔ただいま…〕
「?どうかしました?」
〔あ…ごめん…見惚れちゃって…〕
「!!」
スッピンだぁ…って思ったら
ジッと見てしまった
可愛いなぁ…少し幼く見えるんだ
〔鈴木さん〕
「はい」
〔スキンケアとか、足りないよね 買い物とか行く?〕
「はい!」
その後、コンビニに行って食事やら何やらいろいろ買ってきたんだけど…
〔あの、鈴木さん〕
「はい」
〔できれば、課長はやめてくれないか?〕
コンビニで課長ー!!なんて呼ばれてちょっと恥ずかしかったんだよな…
「…あ…名前で呼んでもいいですか?」
〔もちろんだよ 僕もいい?舞子ちゃん〕
「はいっ!龍史さん」
幸せだ…
いいのか…こんなに幸せで…!
〔これ?塗るの?〕
「はい!」
〔僕がやってみてもいい?〕
「お願いします!龍史さん」
〔うん…〕
ソファに座りながら後ろから腕を伸ばして
顔に化粧水をつける
あーすべすべ…
あ!やっば…
「あ、あの…龍史さん…その…あたってます…」
〔…ごめん〕
「大丈夫です…あの、寝てる間も…その…ずっと…」
〔…舞子ちゃん〕
「は、はい…」
〔もう一回シャワー浴びることになっちゃうけど、いい?〕
「…はい!」
今まで抑えつけていた気持ちをぶつけるように
それでも大事に…大事に…
すべすべを堪能した
あー…
年甲斐もなく、若い女の子に夢中になって
貪るように身体を重ねてしまった
「龍史さん…」
〔…ごめんね、やりすぎちゃった…〕
「ほんとですよぉ…どうするんですか?この跡…」
〔面目ない…〕
「私もつけたいです」
〔へ!?〕
「いいですよね?同じところにつけても!」
〔は、はい…〕
【次の日】
《…お前さぁ…》
〔…〕
〚おぉ…さすがに俺もそこまでつけてきたことはないなぁ〛
〔ファンデーションを塗って隠してくれたんだけど…ここだけは隠しきれなくて…〕
《まぁいいんじゃないの?お揃いのキスマとか
…高校生かよ くくっ…》
〔…〕
〚そう言ってやるなよ 散々拗らせてやっと付き合えたんだ そのくらいしたくなるだろ
おもしろいし〛
《そう言ってやるなよ くっ…!!》
〔うるさいぞ…〕
「ごめんなさい…誂われちゃいましたね…」
〔いいんだよ それよりさ〕
「はい?」
〔今日も帰したくないんだけど…いい?〕
「…はい!」
タイトル〘抑えられぬ想い〙
Fin...
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