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読み切り短編集  作者: おしるこ


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31/61

■◯組の若は初恋を拗らせている

『なにしてんの』


初めてみた…


どんな時でも、誰の前でも

いつもニコニコしているあなたが


冷たい目をして


怒りをはらんだ顔を隠しもしないなんて…




〔いいなぁー清水くんと幼馴染みで、小さい頃からずっと一緒にいたんでしょ?〕

〈そうだね 産まれた病院も一緒だったからー〉

〔なにそれ!?どんだけ一緒にいたのよ!

じゃあもういいよね?〕

〈え?〉

〔清水くんのこと!わたし、好きなの

告白していいよね?〕

〈…いいんじゃないかな〉

〔えー?清水くんのこと好きなんじゃないの?

それとも、わたしが告ってもうまくいかないと思ってる?〕

〈そんなこと…!〉

〔…残念でした♪清水くんはわたしを受け入れてくれるの…絶対に〕

〈…そう…〉


すごく自信満々に、そう言い放った彼女は

クラスでも人気者で…

私の幼馴染みが好きなんだって


そりゃ…私だって好きだよ…


でもさ


近くにいすぎて…

そういう雰囲気になったこともない


幼馴染みなんて

そんなに良いものじゃないよ


〔あ!清水くぅん!ちょっと話があるの〕

『ん?早川さん、何かな?時間かかりそう?

オレ、これから委員会があるんだけど…』

〔すぐ終わる…かな…?15分くらい!時間くれない?〕

『15分なら…大丈夫 あ、ちょっと待って』

〔え?〕

『麻耶』

〈ん?〉

『1時間くらい待てる?一緒に帰ろう 母さんに用事頼まれてるんだ』

〈あ、うん わかっ、た…〉

うわぁ…早川さんが睨んでる…

こわいよ…


『早川さん、行こうか』

〔はぁい!〕


2人が教室を出ていった…ふーっ…


それにしても…すごく自信満々だったなぁ…

羨ましいくらい


私も、そんな風に自信持ちたいよ


【春馬point of view】


…このパターン…

告白だろうか




チッ…だっるー…

ただでさえ委員会もあるってのに


早川だっけ…?

コイツ、たまに麻耶のこと睨みつけてるんだよな

オレが気づいてねぇとでも思ってんのかよ


告白なんかしてきたって

受けるわけねーだろ 


『それで?何かな?』

〔あのね…清水くんが好きなの!

付き合ってもらえませんか!?〕

…

『ごめんね 気持ちは嬉しいんだけど…

今は恋人を作ってる余裕がないんだ』

〔えー?断っちゃっていいんですかぁ?〕

『…なんだい?言いたいことがあるならはっきりどうぞ?』

〔わたしが断られたらねぇ?トモダチが、あなたのだーいじな麻耶ちゃんをどうにかしちゃうかもぉ〕

『…それは脅しかな?』

〔お願いしてるのぉ…わたしと付き合ってくれるわよね?春馬くぅん〕

『…』

〔ねぇ、聞いてる?春馬く…〕

"バァンッ"

〔ひっ…〕

『名前で呼んでいいのは麻耶だけだ…クソ女が…

調子のんなよ』

〔…え…?〕

『二度とオレのことを名前で呼ぶんじゃねぇ

つか、話しかけんじゃねぇぞ

あと、麻耶に指一本でも触れてみろ…お前らのこと、地獄の底まで追い詰めて…潰してやる

あーあと、さっきから録画回してるみてーだけど…?

別に晒しても構わねぇぞ

麻耶が危険な目に遭うかもしれないんだったら、

いい子ちゃんのままではいられねぇからなぁ?』


ワイシャツのボタンを開けて肩を見せた


『早川さん…これ、なーんだ?知ってる?』


〔…う、そ…〕


俺の肩には、■◯組の代紋が彫られている

この辺の人には馴染み深いだろーから

知らねぇわけねーと思うが


あーあ…せっかく今まで隠し通せてたのに

あとちょっとで卒業だったのになぁ

ま、別にどうでもいいや 


『そういうことだから オトモダチにもよろしくね…早川さん?』

〔…〕


さてと 委員会に行く前に…

嫌な予感がするから教室に寄ってから行くか


『麻耶…っ』


は?


麻耶が誰だか知らねぇ奴と一つのスマホで動画を観てる

…顔、近すぎんだろ


『なにしてんの』

〔え?あ、春…馬…?え?どうしたの…?〕

『えーっと、アンタは?誰?』

{え…っ、いや、すんませんっ!!}

〔あ…〕

男がダッシュで教室から出ていった

『…麻耶、あの人の方が良かったのかな?』

〔…〕

可愛い 必死に首を横に振ってる

『何をしていたの?』

〔あ…子犬の動画を観てたの

春馬に見せようと思って…〕

『そっか オレに見せようとしてたのに、他の奴に見せてたの?』

〔ごめんね…〕

『ううん、いいんだ そうだ!委員会、一緒に行ってくれる?』

〔え?いいのかな…部外者だけど…〕

『いいんだよ おいで』

〔うん…〕


しっかりと手を繋いで、麻耶と歩き出した


【麻耶point of view】


…


『なにしてんの』


初めてみた…


どんな時でも、誰の前でも

いつもニコニコしていたあなたが


冷たい目をして


怒りをはらんだ顔を隠しもしないなんて…


どうやら、他の人と一緒に動画を観たことを怒っているみたいだった


同じクラスの下野くん

春馬が待っててって言ってたから

教室で動画を観ながら待ってたの


そうしたら、途中で下野くんが入ってきて

私が1人だったから一緒に待っててくれるって

言ってくれていたんだけど…

悪いことしちゃった…

春馬を見て驚いてた


春馬がよろこんでくれそうだなぁ…

そんなふうに思いながら動画を観ていたんだけどな


あんなに怒ってたのに…今は涼しい顔をしてる


いつも通りの春馬だ…


〔春馬〕

『なぁに?麻耶』

〔そういえば早川さんとのお話しどうだった?〕

『ん?告白されちゃったんだけど断ったんだ』

〔そう…なんだ…〕


あれ…自信あるって言ってたのに…

『どうしたの?気になる?』

〔うん…あ!えっと…〕

『ねぇ、麻耶』

〔え?なに?〕

『そろそろ素直に気持ちを伝えてくれてもいいんだけどなぁ?オレから伝えてもいいけど』

〔春馬…〕

『ただの幼馴染みはそろそろ卒業したいなぁ

麻耶はそうは思わない?』

〔…私も…〕

『よかった!同じ気持ちなんだね

さてと、委員会もサッと終わらせて帰ろうか』

〔うん!〕


この言葉通り、委員長の春馬は

議題もまとめてあったらしくて

サッと終わらせていた


今回で最後だったようで、

次の委員長にファイルや書類などを任せていた

30分くらいかな

引き継ぎも済んだようで…


『ごめんね 麻耶 放っておいて 帰ろう』

〔うん!〕


…また、手をつないでくれてる


さっきもそうだった


今までずっと一緒にいたのに

初めての事だった


今日だけで私達の関係は一歩も二歩も進んだみたい


『そうだ!麻耶』

〔ん?〕

『もうすぐ卒業だから 話しておきたいことがあるんだ』

〔なぁに?進路のお話し?〕

『うん うちの家業のことなんだよね

ちょっとうちに寄ってくれる?父さんも待ってるから』

〔春馬パパも?何…?

遠くに行っちゃう、とかじゃない、よね…?〕

『違う違う!安心してよ!ずっとそばにいるからさ』

〔よかった…!〕


どんなお話しなんだろう…

久しぶりだなー春馬のおうちにお邪魔するの


ほとんど、うちに来てばっかりだったもんね!




そう…私はまだ知らない



これから話される


春馬の"家の家業"の内容と


私との結婚が親同士ですでに決まっていること


そのために、私に近づこうとしていた男子たちが

悉く転校を余儀なくされていたということを…




タイトル〘■◯組の若は初恋を拗らせている〙


 

                     Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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