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読み切り短編集  作者: おしるこ


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25/61

嘘から始まった恋

「好きです!付き合ってください!」

{ごめんなさいっ!!}


うわぁ…盛大に振られてる人がいる…

誰だろ…

3階の窓から見下ろす

あー…同じクラスの奥山くんだ

相手も同じクラスの早川さん


どうすんだろ まだ1学期始まったばかりなのに

気まずくないのかな


ま、私には関係ないし いいけど


そう


私にも好きな人がいる…

忘れられない人


2年の終業式の日、

告白しようとした日に彼に彼女が出来た

告白もしていないのに、振られたのだ


3年になってからは、別のクラスになってくれて

正直ありがたかった


また同じクラスとか無理だもん


私は1組 彼…東野くんは5組

会うことはほとんどないだろうし


まぁでも…いつまでも振られた人をずっと想ってるってのもね


切り替え早くできたらいいのになぁ


〈あれ?まだいたんだね〉

〔んー〕

〈どっか寄ってく?〉

〔いや 今日は帰るよ〕

〈そっか じゃ、駅まで行こ!〉


この子は親友の紺野穂波 東野くんの彼女になった

私が彼を好きだということを知らない


親友だもん

小学生からずっと一緒にいたんだもん

この気持ちだけはバレるわけにいかない


〔今日彼氏は?〕

〈部活なんだー〉

〔そっかーまだ引退じゃないもんね〕

〈うん 引退しても受験もあるからね

ゆっくりデートするのはいつになるのかなー〉

〔大学、近いとこにするの?〕

〈ううん わたしは◯大だけど、彼はたぶん…他県に行くから〉

〔そうなんだ 離れちゃうんだね〕

〈将来がかかってるからね しょうがないよ〉


しっかりしてるなぁ…

わたしだったら遠距離なんて無理だ


〔あ、じゃあ ここで また明日ね〕

〈うん!またねー!〉


駅から電車に乗るのは穂波

私は歩いて帰る


「ねぇ」

後ろから声をかけられた さっきの奥山くんだった

〔?わたし?〕

「そう さっき見てたろ」

〔あー…うん〕

「いい趣味してんだな 覗きとか」

〔…あのねぇ あなたの声が大きいからでしょ〕

「…必死だったんだよ」

〔いいんじゃない?青春みたいで〕

「なぁ」

〔なに〕

「付き合わない?振られたもん同士」

〔…は?〕

「あんた、東野のこと好〔だめっ!!!〕

こいつ…何で知ってんのよ…

穂波も含めて、誰にも話してなかったのに!!

「ふーん…紺野は知らないんだ」

〔…誰かに話したら〇す〕

「こわー」

〔…〕

こいつを置いて歩き出そうとした、その時

腕を引っ張られる

「待てって」

〔…なに〕

「紺野にバラされたくないなら、俺と付き合えよ」

〔はぁ!?ちょっと待ってよ、

あんた、さっき告って振られてたんだよ?

それなのになんでわたしなの!?

頭おかしいんじゃないの?〕

「どう思われようがいいんだよ いいから付き合え じゃなきゃ、明日紺野にバラす」

〔…っ サイテー〕

「OKってことでいいんだよな?」

〔…付き合うって何するの?まさか、本当に恋人みたいなことするってわけじゃないわよね?〕

「あー…こゆこと?」

〔へ…?〕

キス、されてる…ちょっと待ってよ…

路上なんだけど…

〔な…何すんのよ!この…っ!〕

振り上げた手は、いとも簡単にこいつに掴まれて

手を繋いで歩き出す

な…なんでこんなことに…


〔どこいくのよ〕

「俺んち」

〔はぁ!?行かないし!〕

「デートしよーぜ」

〔しないし!帰る!〕

「…大輔と俺、仲良いんだぜ」

〔っ!!!〕

耳元でそう告げてきたこいつは

わたしの手を離さずに歩き続ける


はぁ…言うことを聞くしかないのか

…何考えてんだろ この人


【奥山諒太point of view】


早川千怜は俺と大輔の幼馴染みだ

俺、初めて告るから緊張しちゃって…

告白の練習してもらってただけなのに


まさか、本人に見られてるなんて思わなかった


そこで俺は…禁断の手を使うことにした


だって、"振られた"場面を見られてんのに

本人にまた告白するわけにいかないだろ


つか、帰宅部のあいつが居残ってたのは

大輔のこと…見てたからだろうな

サッカー部は、グラウンドで部活中だからな


あいつが大輔を見てる時

俺もあいつのこと見てたから好きなんだってことはすぐに分かった


あーあー そんなに好きかよ…


でも俺だって…

諦めらんねぇし


絶対に振り向かせてみせる!


と思って、家まで連れてきちまった


けど…


さっきキスしちゃったんだよな…


やべぇ…焦りすぎた…


今からは、大事に…する 嫌われたら…困る


「名前で呼んでいい?」

〔別に…いいけど…〕

「美里…みさ…みーちゃん…美里ちゃん…」

〔…ちゃん!?〕

「呼び捨ての方がいいか?」

〔いや…何でも…いいけど…あんた名前なんだっけ〕

傷つくぞ さすがに…去年も同じクラスだったろ…

「諒太」

〔んー…りょうちゃん〕

「…っ!!」

〔ん?なに〕

やべぇ…顔真っ赤になってそう、俺

「なーに?みーちゃん」

〔ちょ…呼んだ…だけだし…〕

「付き合ってるって話していいよな?」

〔あんたさ…さっきも言ったけど告って振られたばっかなのにいいの?もう他の女と付き合うとか〕

「気にすんなよ」

千怜には話してあるしなぁ

〔…あっそ いいよ、じゃあ…〕

「じゃあ、よろしくな!みーちゃん!」

〔…はい〕

「…名前呼んで」

〔…りょーちゃん〕

「うんうん あ、何か食ってく?うちのかーちゃんの飯うめーぞ?」

〔いや、そんなご迷惑…〕

「俺の彼女なんだから、気にすんなよ

かーちゃん、よろこぶし!」

〔…じゃあ…ごちそうになります…〕

「おう かーちゃん、飯1人増える!うん、彼女!」

〔っ!!〕


【秋野美里point of view】


最初は何てやつだ!って思ったけど…


ご飯をご馳走になったり、お母さんとお話しさせてもらったりして


なんだろう


この人…りょーちゃんのイメージが変わった


お母さん想いで優しくて

家のお手伝いもたくさんしてそうだった


わたしも一緒にお手伝いというか

ご飯のお礼がしたくて

食器洗いを願い出たんだけど…

りょーちゃんの方がうまいかも


「悪いな、やってもらっちゃって」

〔あ、ううん…ご飯ご馳走になっちゃったし…おいしかったぁ!〕

「ありがとな!助かる」

〔うん…〕


何ていうか…わたしの思い違いでなければ…

もしかして、りょーちゃんってわたしのこと好き?

いや…でも…

さっき振られてたし…


でも…この笑顔もそうだし

お母さんに嘘つける人じゃないと思うんだよね…


〔大丈夫だよ、帰れるよ〕

「駄目に決まってるだろ 送るから」

〔…じゃあ、途中までにしよう 帰り、心配だから〕

「…っ、彼氏らしいこと…させてくれよ」

〔…うん ありがと〕


…この、顔も

さっき、初めて名前を呼んだ時の顔も


うるさいくらいに伝わってくる

"お前が好きだ"って


これは、思い違いなんかじゃない…


「なぁ」

〔ん?〕

「明日から迎えに行っていい?」

〔え…いいの?〕

「…嫌がるかと思った 俺が行きたいんだよ」

〔うん、じゃあ、お願いしようかな〕

「…どうした?」

〔え?〕

「あ、いや さっきと違うからさ

俺はこっちのみーちゃんの方がいいけど!」

〔…真剣に…向き合おうとしてるだけだよ〕

「…すげー嬉しい」

〔!〕

抱きしめられてる…


これ、やっぱり…

これが嘘だったら相当な詐欺師だよってくらい…


そっちがその気なら…

わたしも真剣に応えるよ


〔りょーちゃん〕

「ん?…あっ!すまん!嫌だったよな」

〔ううん〕

「え…」

〔彼氏が抱きついてくれたんだもん うれしい〕

「…そか 手、つなご」

〔うん〕




「あー意外と近いんだな…」

〔毎日来てくれるんだったら近い方がよくない?〕

「!たしかに!それもそうだな」

〔でも、無理しないでね?〕

「…1秒でも早く会いたいから」

〔ありがとう りょーちゃん〕

「じゃ、また明日な」

〔あ…〕

「ん?」

〔…  また明日ね!送ってくれてありがと

帰り…気をつけてね〕

「お、おう…」


ほっぺにちゅーして家に入った

恥ずかしかった…


着いたよってRileが来たから

お礼をして、お風呂に入った


りょーちゃんもお風呂に入ってきたみたいで

"通話しない?"

ってきた

"いいよー"

と送ると、すぐに通話に切り替わる


「もし?」

〔さっきまたねーって言ったばかりなのに〕

「だってよー声聞きたいじゃん」

〔…うん、わかる〕

「…無理、してねぇか?」

〔してないよ〕

「それならよかった」

〔ありがとう、りょーちゃん〕

「なんだよ」

〔優しいんだね もっと早く知りたかったくらい〕

「まったくなー こんなイケメンが近くにいたのによー」

〔自分で言った!〕

「誰も言ってくんねーもんよ」

〔イケメンだよ 性格が〕

「おい!顔って言え!」

〔あははっ!〕


それから2時間くらいかな

ずっと笑いながらしゃべってた

笑いすぎて涙でちゃったもん 楽しかったー


「なんか…切りたくねぇ」

〔ね、楽しかったもん でも、また明日会えるよ〕

「そだな…早く起きて、早く行くわ」

〔起きられるのー?〕

「俺にまかせとけよ!」

〔うん!楽しみにしてるね!〕

「…おう じゃ、明日な…」

〔うん!〕

「…」

〔…切ってよ〕

「やだよ」

〔りょーちゃんがかけてきたんだから、切って〕

「みーちゃんが切れよ」

〔…じゃ、せーので赤いボタン押そうか〕

「わーった いくぞ?せーの…」

〔…〕

「押せよ!」

〔無理!〕

「何してんだよ」

〔ほんとにね もぉー〕

「…順番な 今日は俺 次はみーちゃん」

〔…わかった…〕

「その声やめろよ 可愛いから」

〔も、もう!〕

「じゃあ、明日な」

〔うん、おやすみなさい〕

「おやすみ 美里」"ピッ"


あ、ずるい…何それ、もう…照れるよ…


眠れるかな…




"ピピッ…ピピッ…"

はいはい…アラーム…

あっ、りょーちゃんが来るんだ!早く起きて準備しなきゃ!!


母親に早いわねーなんて言われながら、バタバタと支度をして、家を出た


「よっ!」

〔りょーちゃん、おはよ〕

「おはよ 起きられたな?」

〔うん!〕

「ちょっと早いから、ゆっくり歩いて行くか」

〔はーい〕


手を繋いで学校へと向かう


〔ねぇ、りょーちゃん〕

「ん?」

〔昨日ズルしたでしょ〕

「なにがー?」

〔切る前に美里って呼んだ〕

「気のせいだろ?」

〔もうー〕


〈あれ?美里…と、奥山くん?〉

〔あ、穂波と東野くん おはよ〕

《あれ?なんで?諒太、彼女いたの?》

〔付き合ってるから、わたしたち〕

「っ…」

〔ね?りょーちゃん〕

「あぁ… お前らも、朝デート?」

〈うん!今日はサッカー部の朝練がないから〉

〔そっかそっかー邪魔しちゃ悪いから、わたしたちは行こっか〕

「お、おう じゃーな、大輔」

《おうー》

〔あとでね、穂波〕

〈うん!あとでねー〉




〔ちょっとー〕

「…」

〔何で何も言ってくれなかったの?〕

「いや…」

〔…わたし、りょーちゃんの彼女なのに〕

「…ご、ごめん!そう、だよな…」

〔…〕

「ごめん、みーちゃん…許して」

抱きしめられてる

きっと、東野くんをみて遠慮したんだね

〔あのね〕

「うん」

〔わたし、もうりょーちゃんじゃないとダメなの〕

「…みーちゃん」

〔もし、振られたからってやつだけだったら

やめよう?わたし、真剣に付き合いたいの

諒太と!〕

そう言って抱きつくわたしの背中を

ぎゅって抱きしめてくれた

「ごめんな」

〔…え〕

「あ、違う 別れるとかじゃなくて!

元々、俺が好きなのはみーちゃんだったんだ」

〔…え?だって、あの告白は…〕

「練習してた 告るなんて、初めてで…どうしていいかわからなかったから あっ、千怜は、俺と大輔の幼馴染みなんだ だから、みーちゃんへの気持ちも知ってる」

〔…そうだったの…?〕

「うん でも、みーちゃんの気持ち知ってたから

それでも諦められなかった

付き合えば、好きになってくれるかもしれないって淡い期待を込めたんだ…」

〔…まんまと引っかかっちゃったよ〕

「…ごめんな 初めから、好きだって正直に言えば

よかったのに」

〔もういいの 好きになっちゃったんだもん〕

「美里…好きだ ずっと…好きでした」

〔ありがとう、りょーちゃん わたしも好き!〕

「…やべー…キスしていい?」

〔…〕

「!」


わたしからしちゃった


だって…こんなに好きにさせて…

悔しいから!


「みーちゃん」

〔…ん?〕

「サボる?」

〔ダメに決まってるでしょ!〕

「駄目かー」

〔りょーちゃん〕

「んー?」

〔大好きっ〕

「俺もーみーちゃんが大好きだ」

〔あ、声大き…〕

「やべ、ごめん…」

〔ううん、いいよ!みんなに見せつけちゃお〕

「…おう!」


教室に行くと、あの、大好きだ!が聞こえてたみたいでクラスメイトがからかってきたけど

2人でバカップルみたいにしてたら

サーッと引いていった


〈めちゃくちゃラブラブじゃん!いつから付き合ってたのー?私聞いてないけどぉー〉

〔え?昨日だよ〕

「うん」

〈え!?ほやほやだー!〉

〔うん!すごい楽しくてこまる〕

「困るのかよー」

〔だって通話切れないし…〕

「あ、バカ!」

〔内緒だった?〕

「…いいけど」

〈ふふ ごちそうさま♪いいなー彼氏が同じクラスにいるのー私も会いたいよー〉

〔呼んじゃいなよ!〕

「紺野が呼んだら 大輔、すぐ来そうだよな」

〈えー?来るかな?あと7分くらいで朝礼だけど〉

「来る!」

〈Rileしてみる!〉

〔どうかな…〕


廊下をバタバタと走る音が聞こえてきた

《穂波!》

〔すごー!〕

「やっぱなー」

〈来てくれた!大ちゃんっ〉


抱きつきに行った穂波を見送って

〔やっと2人っきりだね!なんてー〕

「みーちゃん、悪い顔してる」

〔嫌い?〕

「…大好きだぞ 美里」


耳元で言うのはずるいよ りょーちゃん


「そろそろチャイム鳴るな」

〔あ、りょーちゃん〕

「ん?」

〔…お昼休みにちゅーしよ〕


「…!!!み、みーちゃん…」

耳元攻撃!やり返してみた

〔んー?〕

「…あとで覚えてろよ」


あ…りょーちゃんの目の色が変わった


やばいかも…


タイトル〘嘘から始まった恋〙


 

                     Fin...


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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