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読み切り短編集  作者: おしるこ


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記憶の住人

「好きです!付き合ってください!」


〔…ごめんなさい 君のこと、よく知らないし…〕

「それなら、知ってください!友達になりましょう?」

〔え?うーん…友達……わかった〕

「ありがとうございます!

じゃあ、一緒に帰りましょ?」

〔え?いきなり?〕

「友達だもん!」

〔う、うん〕


とんでもなく可愛い子が、いきなり告白してきた

なんで?挨拶くらいしかしたことないのに


〔あの、荒木さんはどこの駅なの?〕

「▲■駅です」

〔じゃあ、近いんだね となりだ〕

「そうなんですね!じゃあ遊びに行けますね!」

〔え?うちに…来るの?〕

「いえいえ、

休みの日にどこかにでかけましょう?」

〔あ、うん…え?〕

「だめ…ですか?」

〔あ、いや…だめでは…〕

「よかった!Rile交換しましょ♪」

〔あ、うん…〕


なんで…なんでこんなにグイグイくるんだ?


「ありがとう!じゃあ、私降りるので…また明日」

〔あ、うん、また…〕


ふー

なんだか、思いがけないことばかりで疲れた…

ん、Rile

"土曜日、空いてますか?"

もう!?歩きスマホじゃないだろうな!?


"空いてます"


"お昼ご飯食べましょう!何食べたいか考えといてくださいね!"


"荒木さんの好きなものでいいよ"


"じゃあーオムライスがいい!"


"うん、お店探しておくから"


"いいんですか!?ありがとう!ではまた明日"


オムライスか…駅前に、おいしいって評判のお店が

あったな…

予約いるのかな、調べて…


え


なんでこんなにノリノリなんだ、僕は…

いつの間にか彼女のペースに…


…調べておくか…


【詩織point of view】


…うまくいかなかったけど、友達にはなれた


あの時、助けてくれたあの人


ずっとあの時の駅前を探してた

見つけられなくて、諦めようとしたとき

会社で見つけて


まさか同じ会社にいたなんて…


稲垣創さん


■〇駅だったら、見つかるわけないよね…


でもちょっと、やりすぎちゃったかな…

それでも、あなたが好きなんだもん


土曜日…デートだ♪楽しみだなぁ…

とりあえずは明日会社でも会えるし

また、一緒に帰れたりするかなぁ




「おはようございます」

〔あ、お、おはよう〕

「昨日はありがとうございます」

〔あ、ううん…〕

「稲垣さん、あの…」

《詩織ちゃーん、おはよーちょっと、何してんの!早く来なよ》

「げ…はーい 稲垣さん、また…」

〔あ、うん〕

「なんですかー…」


【創point of view】


なんか…荒木さん嫌がってたな…

花田さんのこと、苦手なのかな


さて、書類まとめておくか…


{稲垣くん、これ、総務に持っていってくれないか}

〔あ、はい わかりました〕


総務なら階段で行ったほうが早いな


ん?話し声…


「やめてください…」

《ねぇ、詩織ちゃーん おとといのミス、俺が直さなかったらやばかったよー?》

「そ、それは…すみません…気をつけます…」

《お礼、してくれてもいいんじゃないかなぁ?》

「…」

《ねぇースカート長くない?もう少し短くてもいいよなぁ?…こーーんな風に…》

「や、やめて…」


〔違反していない制服の指導まで…ずいぶん仕事熱心なことだ〕

《…あぁ?誰だよ、関係ねーだろ?》

「い、稲垣さん…」

〔僕、そちらの部長に意見できる立場ですけど…

進言してみようかなぁ…?〕

《え…ぶ、部長に?あんた…や、あなたは…その…》

〔…息子ですけど?〕

「え!?」/《なっ!》

〔どうします?〕

《…や、やだなぁ…戻りますから…はは…》


〔ふーっ〕

「稲垣さん!ありがとうござ」

〔君も!あんな男の言う事聞いてこんなところまでついてくるなんて!僕が通りかからなかったら…〕

「…すみません」

〔あ!いや…すまない 大丈夫かい?〕

「はい…」

〔…部長の息子ってのは内緒なんだ しーっ、ね〕

「はい…」


あー…元気ないな…

〔あ!〕

「え?」

〔お昼、一緒にどうかな?〕

「え…いいんですか!?」

〔うん!行こう 入口で待ってるから〕

「はい!」

〔じゃ、またあとで〕

「はい、また!」


…なんとか、元気でそうかな…?

それにしても…

花田龍彦、か 次、彼女になにかしたら…




「稲垣さーん」

〔荒木さん、そんなに走らなくても…〕

「だ、だって…うれしくて…」

〔…そっか 行こう〕


「あの、稲垣さん」

〔ん?〕

「ごめんなさい…内緒だったのに…」

〔いや、いいんだ …本当は父の名前なんか使わなくてもいいようにならないといけないんだけどね〕

「…でも、また助けていただきました ありがとうございました」

〔…また?〕

「…あ…覚えてない、ですよね いいんです」

〔…〕


僕が、荒木さんを…助けた?

そういえば、前…同じようなことが…

いや、でも、あれは…荒木さんじゃなかったような…


〔あ、ここ 僕の行きつけなんだ〕

「わぁ…楽しみです!」

〔僕は、さば味噌煮定食にしようかな〕

「私は、アジフライ定食にします!」

「うん、サバ味噌とアジフライお茶2つください」


【詩織point of view】


頼み方が慣れてるー本当に行きつけなんだー


〔荒木さん〕

「はい?」

〔あーいうの、もしかして何回かあったの?〕

「あ…」

〔同じ人?〕

「…はい」

〔そうか もう、そんなことにはならないと思うから安心して〕

「はい」


注意してくれるのかな…よかった…


〔それと…〕

「ふぁい?」

〔あ、食べながら聞いてくれたらいいよ〕

「ぁ、はい」

〔帰りだけど…送っていくよ〕

「え?」

〔心配だから〕

「あ…ありがとうございます…!」

〔おいしいでしょ、ここ〕

「はいっ!あ、食べます?ここ、口つけてませんから」

〔いいの?じゃあ、遠慮なく…〕

「はい、どうぞ」

〔え?〕

「あ…」


あーん、ってしてるみたいになっちゃった…

「すみませ、」

〔おいしいね、ありがとう〕

「!!あ、はい…」

うそ、食べてくれた…


〔こっちも食べたいよね?〕

「はい!気になってたんです…!」

〔はは はい、あーん〕

「…ん、おいしいれす!」

〔うん よかった〕


しっかり、あーんって言った…

こういうの、慣れてるのかなぁ…

面倒見いいもんね 素敵…

元カノとか、たくさんいたのかな…




「だめです!お金…」

〔いいんだよ 僕が誘ったんだし、先輩だからね〕

「あれ?先輩、なんですか?」

〔だって、荒木さん24でしょ?僕30だから〕

「え!?」

〔…見えないかな?〕

「はい」

〔…がっかりした?〕

「いいえ!」

〔はは そっか よかった〕

「ごちそうさまです ありがとうございます」


童顔だ…

年下、とまでは思ってなかったけど

6歳も上なんて…誰も信じないよ…


あ、でも確かに部長も結構童顔だもんね

似てるのかも…


〔じゃあ、終わったら迎えに行くから〕

「はい!」

〔あとでね〕

「はい、またあとで」


〚ねぇねぇ、荒木さん!稲垣さんと付き合ってるの?お昼一緒だったじゃん!〛

「ううん!友達!」

〚そうなんだ!?稲垣さんってどんな人なの?〛

「優しい人!」


【創point of view】


…僕と別れた彼女が、同僚に話しかけられて、

付き合ってるの?っていう問いに

はっきりと友達って言ってるのを聞いてしまって


いや、間違ってはいないんだ

友達なんだから


それなのに、なんでだろう

胸が痛い


友達、か

…自分で断っといて、なんだかなぁ


さ、仕事だ

彼女を送って行くから…定時で終わらせる

あいつが何するかわからないからな…


〔部長、お話しがあります…〕


【詩織point of view】


よし!誤字もない!ミスもない…よね!

部長に出してこよう


「部長、できました よろしくお願いします」

《お疲れ あ、花田くん、ちょっと… 

荒木さんは戻っていいよ》

「はい!失礼します!」


…ん?部長に連れられて花田さんが部屋を出ていった


〚荒木さーん〛

「はい」

〚ごめーん ちょっとこっち手伝ってー〛

「はい、今行きます」




ふーっ バタバタしたぁー あ、よかった

定時に間に合った…

確か迎えに来てくれるって言ってたよね?

待ってていいのかな?

やっぱ、迎えに行こ!早く会いたいしっ


フンフン〜♪

近道ー階段で行こ


《詩織ちゃーん》

「え?あ、花田さん…お疲れさまです」

《疲れちゃったよぉ 癒してくんね?》

「え?や、やめてくださ…んんん」


やだ!口塞がれてる…

さわら、ない、で…


〔荒木さん!どこだ!?〕

稲垣さん!ここです!たすけて…


〔あ、いたっ!彼女を離せ!!〕

《うるせぇ!クビになったんだ!このくらいいいだろうが!!》

〔…お願いします〕


稲垣さんがそう言うと

後ろから警備員さんや警察の人が来て

花田さんは連れて行かれた


「稲垣さん…」

〔もう大丈夫だからね〕


私たちは事情を聴かれたあとに帰れることになって

少し遅くなったけど、稲垣さんと一緒に帰った


〔ごめん…僕が遅くなったせいで〕

「いえ…私がおとなしく待ってればよかったのに…」

〔こうなるんじゃないかと思って、手配しておいたんだ〕

「花田さん、クビって言ってましたけど…」

〔うん 僕が話したからね〕

「そうだったんですか…」

〔こうなるかもしれないことは予想できてたのに

危ない目に合わせて…ごめん〕

「だ、大丈夫…ですから」


【創point of view】


焦った…

総務に行ったら荒木さんがいなくなってたから…

きっと、僕のこと探してたんだろうな…


こんなに震えてるのに、

笑顔で大丈夫、なんて言うから…


〔僕のうち、来る?〕

なんて言っちゃったんだ

「!…はい」

〔うん じゃあ通り過ぎるね 次で降りよう〕

「はい…」


一応、明日も休みにしておいたんだ

少しでも元気になってくれるといいけど…


…黙っちゃったな 

そりゃそうだよな 口塞がれてた…

くそっ…


〔荒木さん、行こう〕

「はい」


僕は荒木さんの手を引いて、自宅まで向かった

途中でコンビニに寄って帰ってきた


〔どうぞ〕

「お邪魔します…」


「ひろーい…」

〔…どこでもいいよ?座って〕


え

なんか、端っこにちんまり座っているんだが


可愛いな…


〔あ、あの荒木さん?〕

「はい?」

〔こっち、おいで?〕

「あ、はい…」


ソファに座って、となりをトントンってしたら

恥ずかしそうに近づいてきた

あんまり緊張しないでくれよ

僕までうつる…


〔何か飲み物…あったかいのがいいか ちょっと待っててね〕

「はい」


ココアがあったから牛乳入れて…っと

「いただきます…」

〔どうぞ〕

「おいしー」


ふーっ

それにしても…可愛いなぁ


…なんで僕なんだろ

また助けていただきました って言ってた


うーん…


あ!!


〔君は…可愛いんだから 薄暗いところを一人で歩いちゃいけないよ〕

「…!思い出して…くれたんですか?」

〔ごめん…お化粧してて、髪切ってたんだね

わからなかった〕

「いいんです…あの時からずっと…好きでした」

〔そっか…ありがとう〕

「…はい」


〔ねぇ〕

「はい?」

〔申し訳ないんだが、友達やめてもいいかな〕

「あ…ご迷惑かけちゃいましたもんね」

〔ううん〕

「ありがとうございました 楽しかったです」

〔違う違う〕

「え?」



〔友達じゃなくて、恋人になってくれないか?〕




タイトル〘記憶の住人〙


  Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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